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森澤 巌 院長の独自取材記事

もりさわメンタルクリニック

(松山市/松山市駅)

最終更新日:2021/10/12

森澤巌院長 もりさわメンタルクリニック main

緑豊かな花園町通りにある「もりさわメンタルクリニック」。森澤巌(もりさわ・いわお)院長は、愛媛大学医学部を卒業後、精神科医療を提供する松山市の真光園や、在宅医療に取り組む千舟町クリニックで経験を積んだ後、2018年に開業した。「温もりのある精神医療の実現」を理念に掲げ、患者の症状や気持ちに寄り添い、その生活を支えることに注力している。「精神症状を和らげるためには、まずゆっくりと休むこと、心身のメンテナンスが大切です」と話す森澤院長に、どんなときに受診すればいいのか、どんな診療をするのかなど、精神科医療に対する気になることを聞いた。

(取材日2020年6月25日)

街のオアシスのような癒やしのメンタルクリニック

待合室も診察室も緑がいっぱいで、とても癒やされます。

森澤巌院長 もりさわメンタルクリニック1

ありがとうございます。患者さんに少しでもリラックスしていただくための前提として、まずは自分がリラックスできる空間づくりをしようと思って……。それで、設計士さんと相談して緑いっぱいの場所を計画しました。白い漆喰の塗り壁とたくさんの植物がマッチした病院らしからぬ雰囲気なので、お子さんにも来ていただきやすいかと思います。当院の受付スタッフも、「勤めるようになってからよく眠れるようになった」と言ってくれて評判がいいんですよ(笑)。当院に関わるすべての人にとってリラックスできる空間になればうれしいです。

開業されるまでの経緯を教えてください。

もともと私は医療とはまったく関係のない仕事に就いていたのですが、精神科の医師になろうと愛媛大学医学部を再受験。卒業後、精神科の医師として県内や生まれ故郷である東京の精神科で勤務医としての経験を積み、精神的症状に苦しむ方のお力になれるよう努めてきました。愛媛で開業をしたのは、大学卒業から長く県内で臨床をしてきたので、地域での医療連携が築けていることが一番の理由です。最近とても活気のある花園町通りでの開業を決めました。

どんな悩みを抱えて来られる患者さんが多いのでしょうか?

森澤巌院長 もりさわメンタルクリニック2

一番多いのは不眠です。睡眠は人間の基本ですから、それが不十分になるということは非常につらいことです。それから仕事や学校に行けない、体が動かないといった症状で悩んでいる方の受診も多いです。年代的には、中年期・壮年期の働き盛りの方を中心に、お子さんまで幅広いです。症状としては、働き盛りの方は睡眠障害(不眠症)やうつ病など、お子さんの受診のきっかけは不登校が最も多いですね。また発達障害のご相談も増えています。発達障害の場合、基本的には大きな病院を受診することが一般的なのですが、時間がかかったり、そもそもハードルが高かったりという背景があります。そこでクリニックレベルで相談できる場所として、当院を選んでいただいているのかもしれません。

誰しもが持つ弱さや悩みを、吐き出せる場所に

診療の流れを教えてください。

森澤巌院長 もりさわメンタルクリニック3

当院では、まずはご自身のこと、お悩みやお困りごとをお話しいただく相談の時間を大切にしています。話すのが得意な方、苦手な方、いろんな方がおられるので、その方のペースで自由に話していただきます。これまで誰にも言えなかったお気持ちを打ち明けていただくことに意味があると思っていますから、最初から一問一答、イエスかノーでお答えいただくような閉じた質問をするのではなく、何よりも傾聴、お話を聞くことを最優先させています。そして、相談と併用して薬物療法を取り入れていきますが、精神症状の治療において何よりも大切なのは休養を取ること。休むことに罪悪感を感じて苦しまれる方も多いですが、自分のメンテナンス時間だと捉え、心身ともに休める環境の調整を一緒に考えていきます。

お薬を服用することに不安を感じる方もいらっしゃると思うのですが。

薬を服用することに抵抗のある方もいらっしゃいますから、まず「お薬の服用についてどう思いますか?」と最初にお伺いします。こと精神症状に関しては、薬を服用するときの気持ちが非常に大切。ですから決して押しつけることはせず、ご自身の気持ちに寄り添います。また、薬物療法を始める際は、その作用や副作用をしっかりと説明し、依存性を常に考え、服用を止めるイメージを持ちながら始めていきます。やはりお薬での治療が終わって初めて健康になったと感じる方が多いので、そこをめざしていくのですが、一方でお薬の服用を続けながらでも仕事や家庭での関係性が良好になるのなら、それも一つお薬との付き合い方。理想的なゴールは一人ひとり違いますから、その人に合った方法を一緒に見つけていきたいですね。

訪問診療にも注力されていると伺いましたが、どのような診療をされているのですか?

森澤巌院長 もりさわメンタルクリニック4

ニーズとして多いのは認知症の周辺症状を抱える患者さんの診療です。うつ状態や不眠、また落ち着きがなくなったり、暴力や暴言が出てしまったりという行動・心理症状が出ているために施設や家庭で過ごすことが困難になっている方に対して、現在の生活を維持するための診療を行っています。その方の身体的な状況をまずご本人とご家族、施設の方にお聞きして、食事が取れているか、バイタルサインの変動や一日の症状の移り変わり、生活パターンなどを把握。的確な診断・治療に努めます。ご家族や施設の方を支えることがご本人を支えることにもつながりますから、その想いで治療に臨んでいきたいと考えています。

患者さんとの印象的なエピソードはありますか。

訪問診療で印象的だったのは、精神症状の激しかった高齢の方の診療に、施設のスタッフさんと一緒に取り組んだことです。精神症状の治療には、患者さんの生活パターンや症状の出方などをまず知ることが大事なのですが、その施設のスタッフさんがとても丁寧に記録をしてくれていたんです。それで症状に応じて的確に薬物療法も取り入れながら治療を進めることができました。その方は意思の疎通が難しい状態でしたが、声かけなど施設の方が頑張ってくださいました。この経験から、普段の生活を支えることが大切なのだと改めて感じました。チーム一丸となって、こちらがいかに脇役にまわってスタッフさんやご家族のサポートができるか、そこを大切にしていきたいですね。

患者に寄り添い、心が休まる環境づくりを

お子さんの患者さんに対して、心がけていることはありますか?

森澤巌院長 もりさわメンタルクリニック5

子どもはとても敏感ですから、真剣に向き合っていることが伝わるように。むしろ子どもだからこそこちらの思っていることを本気で伝えるようにしています。そして、お子さんの生活そのものにまずは関心を寄せる。私は結構子どもっぽいところがあるので問題ないのですが(笑)、その子の好きなことに興味を持つことですね。症状のことを聞いているときは口が堅かった子が、好きなことだとお話ししてくれるようになることがあるので、そこから生活の中でどんなふうに症状が出てきているのかが見えてきます。好きなことをしているときなど、症状の出ていない時間をどのように過ごしているかを知ることも重要なのです。

先生がやりがいを感じるのはどんなときですか?

いつも思っているのは、成果を求めないこと、その方を無理に変えようとしないこと。ですから、自分のやりがいを求めないことが大事だと考えています。例えば不登校のお子さんの場合、学校に行けるようになったことが成果ではなく、苦しみを抱えたまま登校するぐらいなら、たとえ学校に行けなくても、その方が家で安心して過ごせるようになったり、生きやすくなったりということのほうが大切。目標として押しつけるのではなく、ご自身の気持ちに添う方向で、外出したいなどの自然な欲求が出てきて、生活を少しでも楽しめるようになったらいいなと。それをサポートするのが私の役目だと思うのです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

森澤巌院長 もりさわメンタルクリニック6

精神的な症状を感じても、恥ずかしくて人に相談できなかったり、自分は弱い人間なのかと思われたりする方が多いのですが、そうではなくて、むしろ自分はいろんなことを受け取りながら今まで頑張ってきたから心が疲れてきた。それが体や心にあらわれているから、ちょっと休憩が必要なんだというサインとして受け取っていただき、休むきっかけにしていただけたら。当院では精神と心の両方で考えていきますので、精神的な症状かどうか迷われたとき、またお仕事との関わり方、学校との関わり方、家庭でどういうふうに過ごしたらいいか……、社会や家庭との関わり方で悩まれた時には、まずはお困りごとの相談という気持ちで気軽に来ていただけたらと思います。

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