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伊藤 裕人 院長の独自取材記事

パシフィックデンタルクリニック

(鎌倉市/和田塚駅)

最終更新日:2024/11/13

伊藤裕人院長 パシフィックデンタルクリニック main

江ノ島電鉄線の和田塚駅から徒歩4分、JR横須賀線の鎌倉駅より徒歩10分、若宮大路に面したメディカルビルの2階にある「パシフィックデンタルクリニック」は、患者の健康のために適切な知識と情報を提供し、治療に至らないことをめざす歯科医院。清潔感のある白を基調にした院内は、個室のカウンセリングルームや半個室のユニットを備え、プライバシーに配慮した落ち着いた雰囲気だ。患者の健康な歯を「守る」こと、そして「タングタイ」、日本では舌小帯短縮症と呼ばれている病気の周知と診療に注力する伊藤裕人院長。タングタイに関する情報を伝えるため、歯科医師へのセミナーや関連する洋書の翻訳にも取り組んでいる。爽やかな笑顔が印象的な伊藤院長に同院の特徴や歯を守るためのアプローチについて詳しく聞いた。

(取材日2024年10月3日)

タングタイの正しい知識を、困っている人へつなげたい

まずは、クリニックの特徴について教えてください。

伊藤裕人院長 パシフィックデンタルクリニック1

当院は開業時から一貫して、削ったり詰めたりする「外科的治療」ではなく、健康なお口を守るための「内科的治療」に力を入れています。外科的治療とは削る、埋める、抜くなどを指します。インプラント治療や、う蝕の部分を削ることも外科的治療になります。歯科における「内科的治療」とは、教育をして環境を整え、生活習慣を変えることであると僕は捉えています。現在の歯科は、この「内科的治療」が主流になりつつあります。定期的にチェックして、生活習慣を整え、健康な口腔環境を維持していただくことが最善といえるでしょう。医科であれば、そこにお薬というコントロールが入りますが、歯科においては教育と指導が柱になります。一般的な予防歯科は、この10年、15年で浸透してきているので、当院のスタンスとしては「予防」は当たり前の前提として診療に取り組んでいます。

診療で大事にしていることは何でしょう?

患者さんのライフスタイルやこれまでの背景などをしっかりとお聞きした上で、患者さんの困り事に対してお口の専門家としてサポートできることがあれば介入するという形です。例えば歯並びが乱れていても特段困っていない患者さんの場合、「矯正をして歯を守ることをめざす方法もあれば、矯正をせずに今後起こり得る疾患を予防していく方法もあります」と、どちらもリスクと併せて伝え、患者さんご自身が自分のお口の状態を理解した上でどうしていくかを一緒に決めていくようにしています。今では、歯科は全身の健康に深く関わりを持つということがわかってきています。ですので、歯科とは関係ないと思われるような体の不調や睡眠の問題、仕事や運動など日常の活動などをお聞きした上で、歯科の範囲を超え他の専門家と連携し患者さんをサポートできるよう心がけています。

先生は舌小帯短縮症の診療に注力されているそうですね。

伊藤裕人院長 パシフィックデンタルクリニック2

舌小帯短縮症の医学的な病名はアンキログロシア-ankyloglossia-ですが、海外では一般的にタングタイ-tongue tie-と呼ばれており、主な原因は先天的な要因だということがわかっています。本来、口の底と舌は舌小帯と呼ばれるスジでつながっていて舌が動くのですが、そのスジが短かったり、舌や口の底とのくっつきが強く残った状態が舌小帯短縮症です。生まれつきなので、本人はそれが当たり前になっていて気づきにくいことが問題です。また、上唇小帯症といって、上唇のスジが短い子もいて、唇が動きにくい状態なので、赤ちゃんの時にお母さんのおっぱいをうまく吸うことができず授乳障害の原因になることがあります。

歯科の領域を超え、患者さんのためにできることを

舌小帯短縮症ではどのような症状が現れるのですか?

伊藤裕人院長 パシフィックデンタルクリニック3

舌小帯短縮症(タングタイ)は程度によって、サ行・ラ行・タ行などの発音がうまくできない、いびきや無呼吸などの睡眠障害、口呼吸、顎の成長障害による歯並びの乱れ、歯ぎしりなどとの関わりがあることがわかっています。ただ単にスジが短いことが問題なのではなく、これらの症状が問題であり、さらにはタングタイに関する知識や治療が医療従事者や一般の方々に周知されていないことが問題だと考えています。歯科では必ず口の中を診るので、舌小帯短縮症のチェックをする場所としてはとても向いています。自覚がなくても実は問題を抱え困っている方に正しい情報を伝え、希望であれば改善へ導くのが専門家のすべきことだと思い、日本や海外の先人から学んだ知識や技術をセミナーなどを通し広めるほか、クリニックにて治療にも取り組んでいます。

舌小帯短縮症に取り組まれたきっかけは?

実は家族が睡眠障害と噛み合わせが悪いことに気づき、治療と、どうすれば悪化を防げるのかを考えたことがきっかけでした。歯並びに関しては当時はまだ日本ではあまり知られていなかったマウスピース型装置を用いた方法を行い、睡眠の問題は依然残っていました。そこで、海外の素晴らしい先生と出会い、タングタイと睡眠障害の関係と治療法を知ったんです。そのことがきっかけで、同じような人がある程度いることに気づき、当院でもタングタイの問題に取り組み始めました。当院では3~4歳からのアプローチもできます。中学、高校、成人になってから、あるいは高齢者の方に対しても、年齢により異なる症状を聞き取り、相談にも応じています。

どのような対処法があるのですか?

伊藤裕人院長 パシフィックデンタルクリニック4

タングタイに対しては、例えば授乳障害のある赤ちゃんであれば助産師さんによるケア、発音の問題であれば言語聴覚士によるトレーニング、姿勢や運動の問題であればボディーワーカーによるケアでカバーできるケースもあります。そうした歯科での対処が難しい部分は、治療前からそれぞれの専門家とチームを組んでサポートすべきです。それでも舌小帯の外科的処置が必要な方にはレーザーやハサミなどの適した方法にて手術を行いますが、外科処置は最終手段ですね。発音が上手くできない、咀嚼嚥下が上手くできない、呼吸や歯並びなどの原因がタングタイであっても本人はなかなか気づきにくいので、どこかで見つけて治療に結びつくといいなと考えています。ですので、現在は一般的な認知のため、セミナーでの啓発や海外で有名な書籍の翻訳にも取り組んでいます。

知識や技術を超えた人と人との信頼関係を

先生が歯科医師を志したきっかけはなんですか?

伊藤裕人院長 パシフィックデンタルクリニック5

僕が歯科医師を志したのは、歯科医師であった祖父や父の姿を見てきた影響が大きいですね。自分の理想の歯科医師像を探っていた時に思ったのは、世の中には歯医者に喜んで来る人はおらず、外科的な治療も受けたくない方がほとんどであるにもかかわらず、祖父や父が慕われていたのはなぜだろうということでした。そこには「抜く」や「削る」などの、知識や技術を超えた人と人との信頼関係と、温かい愛のある医療があり、そういった歯科医師をめざしたいと思うようになりました。今の時代の歯科では歯を残し守るための知識や技術の提供が当たり前ですが、その上で患者さんとの信頼関係を築き、長きにわたり通い続けていただきたいということが開業当初から一貫して変わらない当院の想いです。

先生ご自身が健康のために取り組んでいることは?

昔から趣味として続いているはサーフィンです。といっても、海で遊ぶだけなのですが(笑)。自然の中で遊んでいると、本来あるべき姿が見えてきます。今日は休みだから良い波が来てほしいと思っても思いどおりにならないこともありますし、いつでもどこでも海で楽しむためには体調管理や状況判断が大切で、そういった周りの環境に自分をいかに適応させるか、その上でどう楽しむかというのが僕が海から学んだ生きる上でのすべての行動の基本です。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

伊藤裕人院長 パシフィックデンタルクリニック6

当院では、まずお話をさせていただいて、専門の目を持ってその方とお付き合いをさせていただくというスタンスで診療しています。患者さんの不安を取り除き、安心していただければ良い関係が築けて診療もスムーズになります。そして、困り事がある時は、専門家を探し頼っていただきたいです。相談した時に何か違和感があれば、それは求めているもの、見ているゴールが違うのかもしれません。そのギャップを埋めるのも専門家の務めです。自分にとって有益な情報を見つけるのが難しい時代ですが、それぞれの患者さんにとって良い歯科医院にめぐり合っていただきたいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

子どもの予防的矯正(マウスピース型装置)/28万円~
虫歯治療:詰め物/4万円~8万円 、かぶせ物/9万円~12万円、インプラント治療/40万円程度 、歯列矯正/ブラケット40万円程度・部分矯正/5万円~15万円、マウスピース型装置を用いた矯正/28万円程度

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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