加藤 秋成 院長、加藤 理絵子 先生の独自取材記事
加藤眼科医院
(新宿区/高田馬場駅)
最終更新日:2022/11/15

高田馬場駅戸山口から徒歩2分、飲食店やオフィスビルが立ち並ぶ一角にある「加藤眼科医院」。3代続く医師の家系を継ぐ加藤秋成院長と娘の加藤理絵子先生を中心に、複数の医師によるアメリカ式のグループ診療で、幅広い眼科疾患に対応する眼科医院だ。穏やかで知的な印象の加藤院長は、これまでに数多くの白内障手術、網膜剥離・硝子体手術に携わってきた経験を持つ。大学病院で培った知識と技術を身近な町中の医院で提供したいという思いで同院での診療にあたり、多くの地域住民から信頼を得ている。2020年からは、大学病院で研鑽を積んだ理絵子先生が同院の診療に参加。患者に寄り添い、誠実に医療と向き合いながら、質の高い医療を追求する2人に歴史ある眼科医院の話を聞いた。
(取材日2022年3月7日)
手術や専門性を要する医療をワンストップで提供
長年地域に根差しているんですね。

【加藤院長】先代がこの地で1950年に開院し、私は1995年に院長に就任しました。医院自体は今年で73年目で、長く地域に根づいていることもあり、3世代にわたって来ていただいている患者さんも多いですね。地元の支持があるということは、たいへん喜ばしいことだと思っていますが、患者さんは近隣だけでなく、遠方からも多くいらっしゃいます。スタッフは20人ほどいますが、十数年と勤めてくれていて、看護師さんをはじめスキルの高いスタッフばかりです。
【理絵子先生】私は2年前から当院での診療に参加しています。それまでは、帝京大学医学部附属溝口病院に勤務していました。勤務先の病院が眼底の網膜を専門としていたことから眼底の病気に数多く携わり、緑内障は得意としている分野の一つです。
こちらの医院の特徴を教えてください。
【加藤院長】手術や専門性を要する治療まで対応しています。現在、当院には5人の日本眼科学会眼科専門医が在籍しており、主治医制ではなくアメリカのようなグループ診療体制で診療を行っています。患者さんが自由に医師を選べ、病気の見逃しをしにくいというメリットもあります。患者さんを5人の10個の目で診るということになりますね。白内障の日帰り手術をはじめ、手術は主に私が執刀していますから、診療ができない時はほかの先生にお願いするため、どうしてもグループの診療体制を取らざるを得ない事情もありますが、そのほうが医療の質が担保でき、客観的で適切な医療ができるという観点からこの方式を採用しています。
かかりつけ医院で手術を受けられるのですね。

【加藤院長】東京都の場合、大きな病院がたくさんあるため手術を行わない眼科医院もありますが、私はもともと手術を専門にしてきたこともあり、良い医療の提供は開業当初からの方針です。身近なかかりつけ医の側面と、専門的な手術にも対応できることが当院の特徴ですね。特殊なケースは、大学病院など適切な医療機関を紹介していますが、白内障や一般的な網膜硝子体疾患などは日帰り手術を行っています。また、眼科レーザー治療や各種手術も適応があれば対応するなど、ワンストップで大抵のことは完結できるようにしています。また、眼科の場合、薬を院外処方にしている医院が多いのですが、当院は院内処方にこだわっています。診療を終えたらあちこち行かずに帰宅できるというのは、特にお年寄りにとってはメリットが大きいのではないかと思います。
患者との信頼関係を大切にした誠実な医療の実践
どんな患者さんが多いのですか?

【理絵子先生】患者さんの平均年齢は70歳ぐらいですね。最近は、テレビの健康番組を見て「自分はこの病気ではないのか」「これが心配だ」と言って受診される方もいらっしゃいます。中には「緑内障は目が見えなくなる病気なんでしょ」などとおっしゃる患者さんもいます。昔は緑内障と白内障の区別がつかない人も多かったので、皆さんの健康や病気に対する意識が高くなっているように思いますね。
【加藤院長】社会全体が高齢化していますし、眼科は高齢の方が受診されることが多い診療科なので、当院では予約制ではなく来ていただいた順番で診療しています。白内障の手術は70代の方が一番多いですしね。お年寄りはインターネットで予約を取るということをしませんし、予約の取り直しが面倒くさいという理由で通院をやめてしまい、診療・治療を中断してしまうという懸念もありますから、いつでもウエルカムというスタイルです。
診療で大切にしていることは何でしょう。
【加藤院長】今はネットの時代ですから、ご自身で診断名を決めて、治療を決めて来られる方がまれにいらっしゃいます。しかし、そのとおりの治療が適していないこともありますから、お互いの信頼関係が大事だなと思いますね。そのために、最初は患者さんの話の内容、既往、症状をしっかり聞き取ることを心がけています。そして、適切な治療へ最短距離で結びつけるよう尽力しています。
【理絵子先生】人それぞれ心配なことがありますから、いくらこちらが診断して薬を出しても、心配なことがわからない限りは、来たかいがないじゃないですか。その人が一番心配なことを聞いて差し上げて、それに対してしっかりと答える。信頼関係を築くためにもコミュニケーションは大切ですよね。院内の医師同士のコミュニケーションも大事にしていて、皆で意見交換をしたり、父とはごはんを食べながらディスカッションしたりしています(笑)。
お互いに尊敬されている部分を教えてください。

【理絵子先生】患者さんがみんな父を褒めてくれるんですよ。「お父さんは素晴らしい先生なんだ」と、ものすごく褒めてくださる。そこはすごいなと思いますね。患者さんが求めているものをしっかりと医療で還元しているからこその言葉なのだと思います。私も地元の方々にそんなふうに言っていただける存在になりたいですね。
【加藤院長】人間、一人で全部オールマイティーというわけにはいかないので、娘には私にはない性格もありますし、客観的な視点は信頼が置けるなと思っています。医療というのは常に進化している状況です。新しい知識や技術に関しては、若い人のほうが吸収が早いので、それも良い点ではないでしょうか。
患者からの感謝の言葉一つ一つがやりがいに
医師を志したきっかけを教えてください。

【加藤院長】最初は医師をめざしていたわけではなく、大学受験の時も医学部ではなく理工学部も受けました。家業を継ぐとはあまり思っていませんでしたし、たまたまこの道に進んだという感じです。ただ、母方の祖父の代から医師の家系ということもあってか、母親からは手に職を持てということは小さい頃から言われましたね。
【理絵子先生】私は公務員になろうと思い私立の法学部に進学し、そこを卒業してから医学部を受け直しました。大学生の時に、医師をしていた祖母が亡くなり、その時に患者さんが来られて「先生、ありがとう」とみんなから感謝されている姿を見て、医師というのはすごい仕事だなと思ったことが方向転換をしたきっかけでした。
医師としてやりがいを感じられるのはどのような時ですか?
【加藤院長】そうですね。やりがいを感じ始めたのは、やはり実際に医師免許を取ってからでした。自分でも満足いく手術や治療ができ、患者さんにも喜んでいただけた時に、医師としての仕事の意義や、やりがいのある仕事なのだということを感じます。
【理絵子先生】白内障の手術をした後の患者さんの様子を見た時ですね。生活していく上で、視力に頼っている部分はとても大きいですから、「2度目の人生が始まった」といっても大げさではないと思います。自分の行った医療が患者さんの喜びに直結していると思うと、眼科医になって良かったと思います。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【加藤院長】質の高い医療を提供するということと、患者さんが満足できるような医療を心がけていきたいということです。気楽に安心して来院していただき、私自身は働ける限り診療を続けていきたいですね。日本は全国どこでも受診できるシステム、フリーアクセスになっていますから、気楽にどこでも受診していただければと思います。当院に来ていただいた患者さんには、しっかりと満足感のある治療を提供していきたいですね。
【理絵子先生】祖母が90歳まで診療を続けていましたから、父も同じぐらいまで現役でいてくれるのではないでしょうか。患者さんに対しては、ご不安なことがあるのでしたら寄り添う努力をして、解決へと導いていきたいと思っていますので、安心して来院していただきたいですね。