藤岡 光 院長の独自取材記事
Johnny Dental Clinic
(広島市中区/立町駅)
最終更新日:2022/01/14
広島市中心街、本通商店街から少し奥に入った立町のビル内に位置する「Johnny Dental Clinic」。周辺には飲食店も多く、人が行き交うにぎやかな立地。広島県内のさまざまな方面からアクセスしやすいため、県内遠方から来院する患者も多いという。院長を務めるのは、患者からも「ジョニー先生」の愛称で親しまれている藤岡光先生だ。院内は歯科医院と思えないくらい重厚でシック、スタイリッシュな空間が広がる。藤岡院長に、クリニックづくりへのこだわりや、診療にかける思いについて、じっくり話を聞いた。
(取材日2021年11月30日)
院長の愛称の「ジョニー」を冠したクリニック
院名が特徴的ですが、どのようにつけられたのですか?
私は高校生の時、ボブというニックネームで呼ばれていました。見た目がアメリカ人のようだという理由からでしょう。それを大人になってから歯科医師の仲間に話したら、その中の友人の一人がボブではなく、ジョニーと呼び出したんです。なぜボブがジョニーに変わったのかは今でもわかりません(笑)。でも、私もそれを気に入ってしまいました。それで開業時に院名として採用したんです。その後、現在は歯科医師の仲間内でもニックネームのジョニーで親しんでいただき、患者さんからもジョニー先生と呼ばれていますよ。
この地域に開業した理由や、クリニックづくりでこだわられた点を教えてください。
この地域は、広島の真ん中に位置するので、いろいろな場所からアクセスがとても良いんですよね。患者さんの通院しやすさを考えて、この場所を選びました。また、クリニックの内装は、東京の美容室のような空間をイメージしています。以前、東京に長く住んでいて、おしゃれな美容室にも通っていたので、影響を受けていることもあります。もともと東京23区で開業を考えていた時期もありました。そこでこの地域でも、テーマパークのようなエンターテインメント性があったり、エステサロンのような豪華さがあったりして、患者さんがリラックスして楽しく過ごせるような空間をつくることにこだわりました。
開業の経緯を教えてください。先生はもともと歯科医師をめざされていたのですか?
東京の大学病院の口腔外科で4年間勉強した後、もともと廿日市で父が歯科医院を開業していましたので、6年ほど私もそちらに勤務していました。しかし広島に私の専門である口腔外科の医師が少なく、外科領域の病気で困られている患者さんを1人でも助けたいという思いから開業を決意しました。さらにアクセスの良さを考えて別の場所で開業しようと思ったのです。私はもともと勉強ができるタイプではなかったし、将来はプロ野球選手になりたいという夢があったのですが、その夢はかなわず、そこから歯科医師になるために必死で努力を重ねました。
中でも口腔外科を選んだ理由はあるのでしょうか。
私には恩師がいるのですが、その先生が、口腔がんのエキスパートなんです。現在は銀座で開業されていて、東京の大学病院の口腔外科入局が最初の出会いです。以降、私が開業する際も花を送ってくださり、今も私のことを気にかけてくださる先生で、私にとって、とても大きな存在です。その先生との出会いと、忘れられない1年目に関わらせていただいた舌がんの患者さんとの出会いが、現在専門としている口腔外科を選ぶきっかけとなったと言えます。
患者に負担の少ない治療の提供を心がける
特に印象に残っている患者さんはいますか?
先ほどお話しした、歯科医師1年目に関わらせていただいた、末期の舌がんの患者さんです。病院嫌いな方で、お世話をする際、医師や看護師が手を焼くこともあったそうです。でもたくさんお話しするうちに、私のことは気に入ってくれて、採血や点滴を他の看護師ではなく、私にやらせてくださるようになりました。余命わずかの重篤な状態で、「先生だから聞くけど、私はいつまで生きられるのか」と真剣に聞かれたこともありました。歯科医師としてこのような患者さんと対峙することは学びが多く、鍛えられましたね。亡くなった時、私は遠方に住んでいたのですが、連絡を受けタクシーに飛び乗って駆けつけました。1年目で、大したことはできなかったのですが、ご家族の方が「本当にお世話になりました」と頭を下げてくださいました。この経験は今でも思い出します。その方との出会いがあって、口腔外科を専門にして頑張っていこうと思い、今に続いています。
こちらならではの診療の特徴はありますか?
当院の特徴としては、術前の採血、抗生物質の点滴、またリラックスして治療を受けていただくための「笑気吸入鎮静法」を取り入れていることですね。採血については、患者さんに糖尿病や脳梗塞、心臓の手術歴などがあると、血液が固まらないように抗凝固薬を飲まれていることがあります。そういった方は、日本口腔外科学会で規定している特定の数値をクリアしていないと、抜歯などの処置ができません。通常そのような場合は「まずかかりつけの医師に血液検査のデータをもらってきてくださいね」となりますが、これは患者さんにとって手間がかかりますよね。当院では、その場で採血が行えます。安全に治療を行うために、必要に応じて術前の採血をお勧めする場合があることをお伝えしたいですね。
笑気吸入鎮静法の対象者はどのような患者さんですか?
歯科治療に対する不安感や恐怖心が強い方を始め、老若男女問わず、歯科治療に苦手意識を持つ方にご提供できます。特に血圧が高く、麻酔では脳内の血管に影響が出てしまうような方、不安感で血圧が高くなるような方に、血圧の変動を定期的に測定して全身管理を行いながら治療を受けていただくことができます。全身麻酔などとは違うので、意識のある状態で会話もでき、リラックスした穏やかな気持ちのまま、安心して治療を受けていただけると思いますよ。鎮静状態からの回復も早いので、治療終了後の帰宅にも大きくは影響しないでしょう。
治療で大切にしていることはなんですか?
歯磨きや定期検診に行くなど、患者さんに基本をしっかりと守ってもらうことを重視しています。日本はまだまだ痛くなったら診てもらおうという考え方が一般的ですよね。もっと生活の一部として、美容室やエステサロンへ行くのと同じ感覚で歯科医院へ来てもらいたいですね。そのためにも、当院では痛みを抑えて治療を行うことを重視しています。ただ、患者さんには治療が終わったらそこで終わりではなく、そこからがスタートなんだと伝えています。治療が終わったら、再び治療が必要にならないように予防をしていく。歯の健康に対する患者さんの意識をもっと高めていくことが狙いです。
毎日丁寧に歯を磨くという基本を大切にしてほしい
先生は後進の育成にも注力されていたとお聞きしました。
先ほどお話しした恩師の計らいで、私は歯科医師1年目から、大学で口腔外科の国家試験対策についての授業を持ち、教壇に立たせてもらいました。歯科医師をめざす試験間近の6年生の授業をしていたんですね。プロ野球選手への夢を諦めた後は、実は教師になるのが夢だったので、恩師がその夢をかなえてくださったんです。数多くの学生を指導しました。その後、広島に帰ってきてからは歯科衛生士の学生実習を3年ほど担当していました。約430人いた教え子は全国いろいろなところで活躍していると思います。
休日はどのように過ごしていますか?
休日もあれこれと患者さんや治療のことを考えていますね。「あの入れ歯は痛かっただろうか」「明後日はあの患者さんの治療だけど、調子はどうかな」など考えを巡らせ、たまに患者さんが夢にも出てきます(笑)。でもそれこそが開業した醍醐味でもあるので、それも楽しんで仕事に向き合っています。
読者へのメッセージをお願いします。
予防のためにはきちんと歯磨きをしましょう、ということに尽きます。歯ブラシへのこだわりなども大切ですが、それよりも基本に戻って、丁寧に毎日磨くことがいかに大切かを伝えたいです。何分を1回の歯磨きに費やしているか、考えてみてください。美しい歯を持つ方はたいてい20分以上と答えると思います。また、「口腔は身体の一部であり、疾患からの回復はまさに全身状態が関与する」という言葉があります。体調が悪いときにいくら治療しても、歯はしっかり治りません。悪い状態は口の中だけでなく、全身につながっているからです。だから患者さんには、よく「治療中は体調を整えてください」とお伝えします。口は体の玄関口です。きちんと管理して歯だけでなく、体全体の健康を守っていきましょう。