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今村 洋 理事長の独自取材記事

千葉セントラルパーククリニック

(千葉市中央区/葭川公園駅)

最終更新日:2025/07/08

今村洋理事長 千葉セントラルパーククリニック main

千葉駅のロータリーを出て大通りを東南に進んでいくと、左手にモニュメントのたたずむ中央公園が見えてくる。公園を抜けた先、道路向かいのビル2階にあるのが、「千葉セントラルパーククリニック」だ。周辺には官公庁や文化施設が点在し、それを取り巻くように飲食店が立ち並ぶ。およそ1年半前にオープンしたという院内は、清潔感のある白を基調としていて、今村洋理事長のベテラン感を後押しする、落ち着いた空間。訪問診療に力を入れており、数多くの通院が難しい患者の健康を支えている。全国的に高齢化が進み、寝たきりによる通院困難が問題になる中、今村理事長はどのような想いでこのクリニックをオープンしたのだろうか。同院の特徴やこれからの展望を聞いた。

(取材日2025年6月11日)

外来から導入する自然な流れの訪問診療

まず最初に、先生の医師としてのご経歴や、クリニックについての概要をお聞かせください。

今村洋理事長 千葉セントラルパーククリニック1

1983年に大学を卒業して、東京女子医科大学附属足立医療センター(旧・東京女子医科大学附属第二病院)の外科に入局しました。23年ほど在籍し、消化器がんや乳がんを中心に診療を行っていました。その後は一般病院の管理医師となりましたが、10年前に在宅医療の分野に入り、8年前から千葉で診療を始めました。所属する響心会の事業は、当院を中心に、幕張のデイケアクリニックなどを展開し、連携を行っています。私は現在、当院の理事長を務め、訪問診療では数多くの患者さんをケアしています。外来については週3日間診療しており、月曜と金曜は健診を含めた一般外来、火曜は内視鏡検査を行っています。

地域の特性や、外来に来る方の年齢・症状について教えてください。

この建物は千葉駅から歩いて10分ほどで、千葉市中央公園前の広い道路に面した場所にあります。周辺は繁華街で、飲食店が多く、近くには県庁もありますので、官公庁の職員もいらっしゃいますね。子どもの診療はしていないので、基本的に来院されるのは成人です。外来は、自分で通院できる生活習慣病や、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの方が中心です。火曜は内視鏡検査をやっていますので、消化器の治療中で、定期的に検査が必要な患者さんをフォローしたりもしています。訪問診療は外来とセットで営むのが原則だと考えていまして、外来で診ていた方が通院困難になった場合に、訪問診療に移行していくというコースが一般的です。外来と訪問診療は併用できませんが、通院で信頼関係ができている患者さんを、その延長で訪問診療する、というのは自然な形ですよね。

訪問診療では、どのような症状の方をケアされていますか?

今村洋理事長 千葉セントラルパーククリニック2

寝たきりに近い高齢者が中心です。疾患としては、脳血管障害、認知症、運動器疾患、がんの終末期が多いです。脳血管障害は、麻痺などの症状が見られることもあります。認知症の程度は人によってさまざまで、日常生活はなんとか家族や介護を受けて生活できるという方もいれば、ほぼ寝たきりの方も。運動器疾患は、例えば大腿骨頸部骨折を起こした方や、重症な関節疾患があって動けない方がいます。がんの終末期では、治療ができないほど進行している方や、手術や抗がん剤で治療したけれども、残念ながら再発したという方もいますね。そのような場合は、緩和ケアとして疼痛の管理などを行い、食べることができなくなった場合には点滴によって栄養を補います。また、寝たきりによる床ずれのために皮膚のケアをしたり、排泄の管理も行います。リハビリテーションも熱心にやっていて、拘縮予防など、日常生活に戻るためのサポートもしています。

高齢化が進む社会のニーズと医療界の課題に向き合う

訪問診療に力を入れようと思われたきっかけは何だったのでしょう?

今村洋理事長 千葉セントラルパーククリニック3

高齢化が進み、急性期病院の医療が非常に逼迫しているという事実に直面したことがきっかけでした。大学病院の外科の医局にいましたが、手術や終末期の方はなかなか受け入れてもらえないですし、大きな病院では患者本位の治療がやりにくいという実態があります。患者さんが、家庭や、家庭に近い施設で最期を迎えられるように、診療が終わった後の介護の受け皿があればと思ったのが、訪問診療に参入したきっかけです。それから、2000年に介護保険が発足したというのも大きいですね。今は保険によって、訪問看護師や訪問ヘルパー、訪問リハビリ、訪問入浴などを活用できます。患者さんが必ずしも病院にいなくて良くなったんです。

先生は訪問診療についてどのような想いで取り組まれていますか?

訪問診療でできることは病院と同一ではなく、患者さんのすべてをカバーできるわけではありません。具合が悪くなった時、必要があればすぐに医師や看護師が行けるのが病院ですが、訪問の場合は、当然すぐに行くことはできません。物理的な距離感が心配だという方もいらっしゃるでしょう。また、訪問診療が始まっても、絶対医療機関に行かないというわけではなく、検査や処置や手術が必要になった場合は、医療機関に行くという判断になります。患者や介護者が何を希望するかは、病態によって常に変わっていきますので、当事者のニーズをリアルタイムで把握していくということが大切です。加えて私が心がけていることは、急性期病院に、できるだけ負担をかけないように、ということです。急性期病院の先生方は、今とても疲弊していますので、こちらで対応できるケースはきちんと処置していこうという気持ちを、常に持っています。

医療界全体のことを考えているんですね。患者さんとの関係性づくりで、大切にしていることはありますか?

今村洋理事長 千葉セントラルパーククリニック4

まずは、「患者さんの訴え」すなわち「困っているところ」をくみ取れるように気をつけています。それ以外にも、日常の生活に関する話など、些細な会話を大事にするようにしています。例えば独居の方なら、体の調子以外にも「最近お子さんは来てくれるの?」と聞いてみたり、お墓参りに行った話が出れば、「どこまで行ったの?」と尋ねたり。外来よりもじっくり話が聞きやすいです。また訪問診療は、完全にアウェイでその家に行くので、家の中を見ると生活のいろいろなことが発見できるんです。もし玄関に自転車やゴルフクラブがあれば、昔はそんなことをしていたんだね、という話にもなります。病気だけでなく、生活全体を診る上で、非常に役に立っています。

情報共有と連携が生み出す手厚い医療

クリニックの診療体制について教えてください。

今村洋理事長 千葉セントラルパーククリニック5

今は、常勤の医師が3人、非常勤の医師が4人いますが、キャパシティーとしては精いっぱいなところです。看取りがある場合は、24時間体制になることも多いので、外部の医師にも委託しています。主治医が倒れた時の患者の共倒れというのは、やはりあってはならない状況なので、医師もオンオフを切り替えることが大切ですね。患者に検査や処置が必要な場合は、他の医療機関と連携していますので、そこに相談できる仕組みになっています。具体的には、稲毛病院や千葉医療センター、青葉病院、海浜病院、千葉大学医学部附属病院などとつながりがあります。

クリニックの特色や強みは何でしょう?

医師、看護師、事務、ソーシャルワーカー、ドライバーなど、スタッフの連携がしっかり取れているということです。訪問は必ず医師と看護師の2人で行き、両方の立場で患者さんの話を聞いて、お互いにフォローし合うのを原則にしています。また重症の方については、スタッフ全員が把握できるように、メッセージアプリを使って連絡を取り合います。異常はすぐにメッセージアプリで報告し、場合によっては往診したり、救急搬送しましょうと判断をしたり。チームとして迅速に情報を共有して動くことができるのが強みですね。おかげで、どの医師もすべての患者さんを診ることができますし、各自の専門性に縛られずに幅広く対応できて、良い運営ができていると思います。

最後に、今後の展望と地域や読者の方々へのメッセージをお願いします。

今村洋理事長 千葉セントラルパーククリニック6

外来は始まってから1年と数ヵ月です。まだ十分に認知されておらず、来院患者数は多くないので、これから力を入れていきたいです。また地域の皆さん、読者の皆さんには、気軽にクリニックに来ていただけたらうれしいです。いきなり訪問診療に入るというのは、患者やご家族、それから僕たち医師にとっても心配なことなんですね。ぜひ、事前にクリニックに来てみてほしいです。ご本人が来られなくても、ご家族だけでも大丈夫です。すべての処置を訪問診療で行うのは難しいので、ある程度納得して診療に入っていただくためにも、ぜひ気楽に相談にいらしてくださいね。

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