渡部 峰明 院長の独自取材記事
わたなべ内科・呼吸器クリニック
(横浜市金沢区/能見台駅)
最終更新日:2022/12/12

重症喘息発作を起こした患者の回復を目の当たりにし、感銘を受けたことから呼吸器を専門にしたという「わたなべ内科・呼吸器クリニック」の渡部峰明院長。大学病院や地域の基幹病院で診療に携わる中で、より身近な立ち位置で呼吸器やアレルギーの専門家が診療を行い、重症化を防ぐ必要性を感じたことから開業を決意したという。喘息やCOPDを始めとした呼吸器疾患について、大人はもちろん子どもや高齢者まで幅広い層に対応している。在宅酸素療法が必要な患者のために訪問診療が可能な体制も整え、日々パワーアップしていく同院について、特徴や地域医療への意気込みを聞いた。
(取材日2018年10月9日)
身近なクリニックで手軽に、しかも専門的な診療を提供
まず、開業までの経緯を教えてください。

もともとは工学部や建築学部への進学を考えていたのですが、そのタイミングで母が病気を患ってしまって。そこから医療に興味を持ち、方向転換して医学部に進みました。研修医時代、つらそうにしていた重症喘息の患者さんがみるみるうちに良くなられていくのを見て、「やりがいのある科だ」と感じ呼吸器科に入局。大学病院時代は、特に肺がんや喘息、COPD等の治療に力を入れていましたね。また医師を志した時からいずれは開業し、患者さんと近い立場で地域のよき相談相手になりたいと思っていましたので、大学の医局で過ごした後は横浜旭中央病院に勤め、経験を積みながら開業の準備も進めました。能見台は子どもから高齢者まで幅広い方がお住まいで、私の専門性も生かせると思い、この地での開業を決めました。
開業の際にはどのような点にこだわられましたか。
何よりも温かい雰囲気のクリニックにしたかったので、内装には明るく優しいカラーを選択しました。また、検査や治療のための設備にもこだわりました。中には一般病院でも導入事例が少ない、空気の通り道が呼吸時にどれくらい抵抗しているかといったことを調べられる専門的な機器も導入しています。これにより、喘息やCOPDのより精密な検査が可能となりました。質の高い医療を提供するために設備は必須だと考えていましたので、そこは惜しまず投資をしました。重症の方で通院困難になってしまった場合には、訪問診療にも対応できる体制を整えています。加えて、喘息やアレルギーは小児患者さんも多いため、お子さんやご両親にも親しんでもらえる、通いやすいクリニックであることを意識しています。トイレはベビーカーや車いすでも入れるよう広くし、おむつ台やキッズチェアも設置。日当たりの良い場所にはキッズスペースも用意しています。
先生の診療方針についてお聞かせください。

まずは安心できて、温かみを感じる医療がモットーです。患者さんはクリニックに来院している時点で、緊張していたり不安な気持ちを抱えている場合がほとんどです。患者さんが相談しやすいような雰囲気をつくり、不安を軽減してあげることによって、より治療に集中できる環境をつくって差し上げたいのです。また診察では難しい専門用語を使わずに、内容をわかりやすく砕いた言葉でお伝えしています。勤務医時代、クリニック通院の段階で専門的な医師による適切な治療を受けられていれば、悪化を防げただろうと残念に思うケースを多く見てきました。ですから地域の方々に当院をパートナーとして信頼していただくことで、患者さんが呼吸器やアレルギーについて地元で適切な治療が受けられるようにしたいと思っています。そして、本当に重症な患者さんの治療に病院が専念できるよう、病院との連携も重視しながら地域に貢献していきたいですね。
呼吸器とアレルギー、内科領域の病気に適切に対応
力を入れている治療を教えてください。

呼吸器疾患は幅広く診ることができますが、喘息治療には特に力を入れています。喘息は、典型的なヒューヒューゼーゼーと息苦しい症状だけでなく、「咳が長引く」というだけでも罹患しているケースがあります。そういった方にも適切な検査・治療を行うことによって、長年苦しんでいる症状を鎮めることにつながります。大人の場合は薬の選択等をご本人とよく相談しながら決定し、お子さんの場合は親御さんとも相談しながら、病気を管理し成長を見守ります。また、喘息は高齢者にも多いんです。最悪の場合命を落としてしまうこともあり得ますので、その予防にも取り組んでいきたいですね。さらに、運動部の学生やアスリートの喘息診療をしていることも特徴かもしれません。私自身も高校大学とラグビーをしてきて、喘息が原因で引退を選択してしまう人を見てきました。適切な治療で問題なく運動ができる状態が見込めますから、ぜひ助けになりたいと思い始めました。
診療において工夫されていることなどございますか。
喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に使う吸入剤に対して、詳しい吸入指導を行っていることでしょうか。吸入剤は使い方が複雑で、せっかく処方してもうまく服用できていないことや、使い方がわかりづらいからと服用を中止してしまう例も少なくありません。これにより、本当はよくなるはずの症状がなかなか改善しない、使用中止により大きな発作を起こしてしまう、といった問題にもつながってしまいます。そこで専用のカウンセリングルームや資料を用意し、吸入方法やポイントなどを実際に吸入器を触っていただいたりしながらお伝えするようにしています。高齢の方でも2回~3回繰り返せばだんだん上手になられますし、お子さんの場合は、補助器具などを用いて吸入剤をうまく吸えるように指導しています。そして、よくなったからといって患者さんの判断で服用をやめることがないよう、説明の仕方なども工夫しています。
COPDとはどんな病気ですか?

煙草の煙などによって肺が炎症を起こし、呼吸がしにくくなってしまう病気のことを言います。潜在的な患者さんが多い病気ですので、坂道での息切れや、長引く咳など気になることがあったら相談してほしいですね。実際に、開院初日の第一号の患者さんも、COPDが疑われる方でした。ゼーゼーと呼吸が苦しそうで、検査をして薬を処方したところ、1週間後「呼吸も歩くのもかなり楽になった。これからもずっと通いたい」と言ってくださって。開業して本当によかったと感じました。また、働き盛りの方に多いのが、睡眠時無呼吸症候群です。ご家族からいびきを指摘されて受診される方が多い印象です。居眠りなど日中の活動に影響を及ぼすだけでなく、高血圧や心血管系障害の発症や悪化につながるとも言われていますので、気になる方は積極的な治療をお勧めします。
子どもから高齢者まで、患者の立場を大切にした診療を
アレルギー科も標榜されていますね。

アレルギーの治療も、呼吸器と並んで注力している分野の一つです。院内で各種アレルギー検査もできますし、アナフィラキシーショックの際に使うアドレナリン自己注射製剤を処方することもできます。食物アレルギーの方の中には、過去に軽いじんましんが出てしまったりして「食べていいのかどうかわからない」というお悩みをお持ちの方も多いです。そういった方には、食物摂取のアドバイスも行っています。内科領域のアレルギーについて専門的な診断・治療を行っているクリニックは意外と少ないようですので、なかなか症状が治まらないなどお悩みの方がいらっしゃれば、お役に立てるかと思います。
先生のプライベートについても少し教えてください。
高校大学とラグビー部で過ごしてきましたので、ラグビーは大好きですね。最近は子どもがまだ小さいので、休みの日は家族と過ごすことが多いです。出身は愛媛県なのですが、この辺りも緑が多く、落ち着いていていい所だなと思っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

当院は、呼吸器内科とアレルギー科を中心に、内科全般に対応しています。特に、3歳から高齢の方までの喘息の診断、治療、指導のほか、食物アレルギーや花粉症など内科的なアレルギー診療に力を入れています。喘息の方はもちろん、長引く咳や痰、咳で眠れないなどの症状がある方は一度ご相談いただければと思います。喘息やCOPDの患者さんがインフルエンザにかかると重症化してしまいますので、予防接種も積極的に行っています。お子さんの喘息やアレルギーでお悩みの親御さんも多いのではないでしょうか。私も3人の娘がおり、子育ての大変さは毎日経験していますので、アドバイスできることもあると思います。どんなことでも、気軽に相談していただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインフルエンザワクチン/3400円
※横浜市公費でも対応も可能