岡本 崇彦 院長の独自取材記事
おかもと歯科こども歯科クリニック
(福岡市城南区/福大前駅)
最終更新日:2025/05/20

福岡市城南区の片江中央公園近くにある「おかもと歯科こども歯科クリニック」。扉の先には掃除、整理整頓が行き届き清潔感あふれる空間が広がる。白と木目を基調とし、高い天井、温かい雰囲気の照明、飾られている絵画や花など、患者がリラックスして過ごせるようにという心遣いを感じるクリニックだ。岡本崇彦院長は大分県生まれ。福岡歯科大学卒業後、大学病院やクリニック勤務を経て、自身が理想とする歯科医療を実現すべく開院した。子ども連れでも通いやすい工夫、高齢者にもわかりやすい診療に努め、0歳から90代まで幅広い年齢の患者が通う。地域の人々の「おいしく噛んで食べる幸せ」を守るため真摯に診療に取り組む岡本院長に、日々心がけていることや注力している治療などを聞いた。
(取材日2024年11月11日)
誰もが安心して通えるかかりつけ医をめざして開院
清潔感、開放感があり居心地が良いクリニックですね。

ありがとうございます。医療機関ですから、掃除をしっかり行い清潔な環境を維持するということはスタッフ全員が常に意識しています。子ども連れの方やご高齢の方も安全に過ごせるよう、またスタッフが的確に動けるよう動線をしっかり確保。ユニットを一つ一つ広めにパーティションで区切ることで、プライバシーにも配慮しています。衛生面では欧州基準でクラスB規格の滅菌器を導入し、高温・高圧の蒸気で治療器具を滅菌。熱に弱いものは別途薬剤による滅菌を、また歯を削るハンドピースは複雑な構造をしているため専用の滅菌機でしっかり滅菌しています。各ユニットで使う水も、クリーンシステムにより飲用も可能なレベルに。歯科医院にとって清潔であることは基本中の基本ですから、すべて新型コロナウイルス感染症の流行前から変わらずやってきたことです。ここ数年は手指消毒用のアルコールを設置し、スタッフはフェイスガードをしています。
待合室だけでなく、個室診療室内にもキッズスペースを設けているのですね。
子どもが小さいうちはなかなか目が離せないため、親御さんはご自身の受診を後回しにしてしまいがちです。もし親御さんご自身の治療のために子ども連れで受診されたとしても、キッズスペースが待合室にしかないと、診療中はお子さんに目が届かなくなってしまいますよね。それでは意味がありません。他の患者さんもいるところに子どもを置いてくる不安もありますし、お子さんも親御さんの姿が見えなくなると不安に感じるでしょう。それなら親子で一緒に個室診療室に入っていただければ安心ですし、他の患者さんも気兼ねなく来院できますからね。
高齢の患者さんも多く来院されるとお聞きしました。

当院の患者さんは近隣から来られる方が大半ですが、年齢層でいうと0歳から90代の方まで幅広いですね。一日の中で時間帯によってお子さんが多かったりご高齢の方が多かったりで、全体的に満遍なく来られます。初診の患者さんの口腔内への意識の度合いはそれぞれ異なりますが、メンテナンスの重要性をお話しすると、口腔ケアに前向きに取り組まれるようになる方が多いと感じます。特に定期的に来られる患者さんは意識が高く、新型コロナウイルス感染症が流行していた時期でもほとんど全員通ってくれました。「おいしく噛んで食べる幸せ」を大切に、健康長寿をめざして患者さんと二人三脚で歩めるのはうれしいことです。
恩師や父から学んだことを胸に、実直に診療に取り組む
診療において大切にされていることをお聞かせください。

大きく2つあります。1つは、勤務医としてお世話になった先生から厳しく教え込まれた、自費診療であっても保険診療であっても、できる中で常にベストを尽くすということ。他の人に見られて恥ずかしくない治療をしなければいけないということです。もう1つは、大学病院で私の指導医だった先生からの「患者さんは困って来ているのだから、何もせずに帰らせては絶対に駄目」という言葉。患者さんが何に困って来られたのかしっかり話を聞いて、できる限りその困り事に対する回答を出してあげなさいと。この2つをずっと心に留めて診療に取り組んできました。また仕事に真摯に向き合う姿勢は医師だった父から学んだもの。夜中の急患にも丁寧に対応する姿は忘れられません。きつくても頑張れる、きつい時に頑張れるのは父の背中を見てきたからだと思います。
お一人お一人に適切な診療を提供するために、工夫されていることは何ですか?
年齢を問わず、視覚に訴えることが深い理解につながると考えています。虫歯が進行しているので治療が必要ですよ、歯茎が腫れているからメンテナンスしたほうがいいですよ、と口で説明しても、患者さんはなかなか実感しにくいもの。治さなければという意識を持つのは難しいものです。ですから、口の中の写真やエックス線画像をお見せするとか、鏡に映して見ていただくといった工夫が必要です。その上で現状をご説明し、しっかり把握していただくことで治療への意識を高められるよう努めています。診療室には大きなモニターがあるので、どこがどの程度悪いのか見てもらうんです。小さなお子さんの場合は親御さんにしっかり伝わるように、ご高齢の方にも正確に理解し、納得して治療に臨んでいただけるように心がけています。十分な納得のもと的確な処置をすることが重要だと考えています。また、診療室も常時換気しているので、安心して通ってもらいたいですね。
患者さんにお口の中の状態を正確に把握してもらうことが第一歩なのですね。

視覚的に確認していただければ、現状についての患者さんの理解度が上がり、治療にも納得して、安心して臨んでいただけます。初めの一歩のところをわかりやすく、丁寧に行うことが重要だと考えています。そのためのツールとして大画面モニターやエックス線画像、口腔内写真などを活用することにより、私がそれぞれの患者さんにとってこれがベストだと考える治療に、患者さんと心を一つにして取り組むことができるんです。
先進機器を駆使し、正確で安全な治療をめざす
マイクロスコープを使った根管治療もされると伺いました。

マイクロスコープは細かい部分を拡大して見ることができるもので、見逃しのない診断と治療をめざす上でとても役立ちます。長年歯科医療に携わってきた中で好きな治療を1つ挙げるとすれば、マイクロスコープを活用した根管治療です。きっかけは、大学病院の補綴科の医局にいた時に、どんなに完璧なかぶせ物をつくっても歯茎がきれいでなければ長持ちしないと気づいたこと。その後、歯周病について学んだ際、歯茎の状態が改善しても根っこの状態が悪ければ歯を丸ごと失うことになってしまうのではないかと考えるようになり、根管治療も非常に大切だと痛感したんです。それからマイクロスコープを使った根管治療を突き詰め、見落としがなく悪い部分を一切残さない治療に徹底的にこだわるようになりました。
新しい機器を導入してさらに根管治療の精度が上がったそうですね。
そうですね、新しい機器は、熱により根管の滅菌処理をするものです。薬液や物理的な削合による滅菌ではなく、熱による滅菌を行います。病巣が大きいケースや、根管に器具・薬剤が入らないような場合に非常に役立ちます。この治療方法はまだ広く取り入れられていないかもしれませんが、きちんと実績データのある方法です。何より、重症でも外科処置をしなくて済む点が最大のメリットだと思います。それと熱による滅菌は、麻酔をして神経を取り除く麻酔抜髄の際の残髄がほとんどないようめざせます。根っこに神経が残っていると痛みますし、平均4~5回通ってもらう根管治療で2回目以降もまた麻酔をして治療をすることになります。そうなると患者さんの負担が大きくなるんですね。ですから、なるべく患者さんのストレスが少なく治療を終えることがめざせる滅菌機器を導入して良かったと思っています。
今後の展望、読者へメッセージをお願いします。

自費診療の根管治療をしたいと思っています。というのも、自費診療だと1人の患者さんに対して十分な時間を確保でき、圧倒的に通院回数が減って早く治療を進めていけるからです。根管治療にもっと集中できたらいいですね。ちなみに当院にはよく気が利くスタッフがそろっていますので何かあれば、私だけでなくスタッフにもお気軽に相談してみてください。お口の不安や疑問は、当院に来てもらうことで大抵のことは解決できると思います。歯科医院に足を運ぶのは勇気がいるかもしれませんが、可能な限り患者さんのご要望を伺いながら治療を進めますので、ぜひ来院してみてください。