紀田 康雄 院長の独自取材記事
きだ内科クリニック
(城陽市/久津川駅)
最終更新日:2026/04/13
城陽市平川にある「きだ内科クリニック」は、糖尿病をはじめとする生活習慣病から、一般的な内科疾患まで幅広く患者を受け入れている地域密着型のクリニックだ。紀田康雄院長は、日本糖尿病学会の糖尿病専門医として糖尿病の診療に携わりながら、糖尿病について深く研究もしてきた糖尿病のスペシャリスト。豊富な経験と知識を生かし、患者のライフスタイルや意思を尊重した診療を行う。「糖尿病の主治医は私ではなく患者さん自身。そのことに気がつき、治療のスイッチを入れられた時からが本当の意味での治療が始まるのだと思います」と紀田院長は話す。今回はそんな紀田院長に、糖尿病治療や医療にかける思い、クリニックの今後の展望など、話を聞かせてもらった。
(取材日2026年月3月24日)
豊富な経験と知識をもとにした、糖尿病のかかりつけ医
開業の地として、この場所を選んだのはなぜですか?

開業するにあたって、ここを含めて候補地はいくつかありました。その中でここに決めたのは、勤務医として勤めていた病院からさほど遠くなかったこと、環境が良いこと、そして何よりも駐車スペースが十分にあって患者さんが通いやすいだろうということ。私のもとに来てくださる患者さんは高齢で公共交通機関を使わない方も多いため、車を止めやすいことは重要だと考えました。ここなら、自分で運転してくる高齢の方にも余裕を持って駐車してもらえますし、心配せずに来ていただけているのではないかと思います。こちらで開業してみると、来院してくださる患者さんは気持ちが良い方々が多く、この場所で開業して良かったなと思っています。
勤務医として豊富な経験をお持ちですが、開業したことで変化したことはありますか?
私の場合は、自分で開業して「良かった」と感じることが多いですね。もちろん開業したことで、仕事の量は増えたように思いますが、そのすべては「自分がしたいこと」のためにすることですから、全然大変だと感じることはありません。自分の考えやこだわりを守ることもできますし、とにかく快適に仕事ができる環境が整いました。また、私は長く研究もしているのですが、研究についても同じことです。病院勤務でないと研究の発表がしづらくなる一面はあるかもしれませんが、発表するためだけの研究ではなく、自分のため、患者さんのために研究しているわけですから。これも問題ないと考えています。勉強はどこででもできますしね。
先生は糖尿病が専門で、糖尿病の研究も長くされているそうですね。

そうですね。日々多くの糖尿病の患者さんの診察に携わるとともに、糖尿病の原因や糖尿病血管合併症の疫学、特徴や危険因子、生命予後などを研究してきました。そういった経験をフルに生かして、「糖尿病かかりつけ医」として診療をしていきたいと考えています。当院を受診してくださる患者さんの多くは糖尿病を主訴として来院してくださっています。糖尿病は非常に多くの方が患っている病気で、さまざまな新しい治療薬も出てきました。やはり一番大切なのは、食事療法や運動療法など生活習慣の改善です。一人でも多くの患者さんに、重症化せず、元気で過ごしてもらえるためにも自分のこれまでの経験や研究を生かしていけたらと思っています。
ライフスタイルを大切に、まずは小さなチャレンジを
先生が糖尿病治療において、大切にしていることはなんですか?

まずは患者さん自身が自分の病気を理解し、「治すんだ」というスイッチを入れられるようにすることではないでしょうか。私は糖尿病の主治医は患者さん自身であると考えているので、本人の意思を尊重しながら診療をしていますね。ライフスタイルや考え方など、人それぞれ違いますので、治療方法を一方的に押しつけても良い結果は生まれません。あれを食べるな、これを飲むな、運動しろ……と言われても、窮屈になりストレスがたまる。実現できなければ負い目を感じてしまい、病院に来にくくなってしまう。これでは意味がないんですよ。これまでのスタイルを変えることは大変だと思います。だからこそ、いきなりすべてを変えるのではなく、一つ一つ変えられるところを変えていく。小さなチャレンジをする。まずはそれで十分だと思います。
これまで慣れ親しんでいる習慣を変えることは、誰にとっても大変ですよね。
そうなんです。いきなり変えようとすると2〜3日は頑張れても、つまづいた時に「やっぱり無理だった」とすべてをやめてしまうようなことになりかねません。「頑張ろう」と思う気持ちが強ければ強いほどそうなってしまいがちなんです。ですから、患者さんの性格やライフスタイルをよく聞いて「これならできるんじゃない?」という落とし所を見つけたり、できなかった時のリカバリー方法を一緒に考えたりすることが大切です。病気だからとすべてを取り上げるのではなく「このくらいならいいんじゃない?」と一緒に考え、失敗しても「次はこうしてみよう」と是正していくことが、自分の中の「病気を治すんだ」という気持ちのスイッチを入れることにつながっていくと思います。
糖尿病治療は長期にわたる治療で、患者さんと二人三脚で行う必要があるのですね。

そうですね。食事にしろ、運動習慣にしろ、一朝一夕にはいきませんからね。クリニックを受診する患者さんは、まずは「治したい」という気持ちを持っているわけですから。その気持ちに大小はあれど、病気や体調に関して不安があるという点においては同じ。私たちは医師として、その気持ちに寄り添い、より良くする手助けをしていくことが仕事です。患者さんがうまくできなければ次の方法を考えるのは当然のこと。糖尿病治療に取り組むパートナーとして、お互いに信頼関係を築ければ良い治療ができるのではないかと思います。そのためにも、まずはいろいろなことを理解し合えるように話し合うことが重要です。
「病気だから」と孤独を感じないようにサポートしたい
クリニックには栄養士さんもいらっしゃるとか。

糖尿病の治療において、食事は重要です。しかし、外来で私が直接話をする時間は限られてしまうため、当院では栄養士による食事相談ができるように体制を整えています。今や超高齢社会ですし、核家族化も進んでおり、独居の高齢者も増えています。すべての患者が、病気に気を使った食事を取ることができる環境にあるとは言えません。そこで、糖尿病患者向けの宅食やお総菜などもうまく組み合わせながら、少しでも楽に、楽しく食事ができるようにアドバイスをしています。食事には経済的な面も大きく影響しますので、とにかく無理のない範囲で行うことが大切です。私には話しにくいことでも、栄養士や看護師になら話せる場合もあると思います。クリニックの誰でも、話しやすい人に話してもらえたらうれしいです。
今、糖尿病で闘病中の方に、先生からアドバイスやメッセージをお願いします。
クリニックに来てくれる患者さんにはよく話をするのですが、糖尿病だけなら、直ちに命に関わる病気ではないんですよ。命を落とす病気は他にもたくさんある。だから過剰に怖がる必要はないけれど、さまざまな合併症の予防のため、長い目で取り組むことは必要です。だから、通院中に糖尿病のことや自分のことをよく知って、1日でも長く来てくださいとお願いするんです。患者さんには高齢の方も多いので、診察室に入ってきてくれて顔を見るとホッとします。予約の時間にいらっしゃらない独居の方には、心配になって電話をしたりすることもあります。医院全体でサポートしますので、病気だからと孤独を感じることなく、私たちを仲間として一緒に頑張っていきましょう。
それでは最後に、今後の展望や目標を聞かせてください。

私はクリニックはレストランと同じだと思っています。料理人が最高の料理を出すように、私は患者さんにベストを尽くし、最高の医療を提供したい。そのための準備にはいくらでも時間をかけるし、どこまでも学ぶ努力をしなくてはいけないと思っています。来てくれた人が安心し、満足できるクリニックにしていきたいです。さらに、地域の他クリニックとの連携をもっと深めていければと考えています。地域の医師がお互いの得意分野を十分に発揮して診療することができれば、それは地域の皆さんにもメリットが大きい。地域の医師たちがお互いに協力し合えるような関係性を築いていけたらなと思います。これからも、一人でも多くの人の健康に関与できるよう頑張っていきます。

