芳本 岳 院長の独自取材記事
岳歯科クリニック
(京都市伏見区/六地蔵駅)
最終更新日:2024/10/04

京都市伏見区桃山町、国道沿いにある「岳歯科クリニック」。美しいガラス張りの外観で、吹き抜けの待合室を備えている、真新しいクリニックだ。芳本岳院長は、自身が「歯科恐怖症」だったことから、患者の恐怖心や痛みに最大限配慮しながら、保険診療、自費診療に関わらず、歯の一つ一つにこだわって徹底的に治療を行うことにこだわる。もともと美術関係の仕事を志していたという芳本院長に、歯科医師になった経緯や、歯科恐怖症の経験、そして現在の診療方針について、じっくりと話を聞いた。
(取材日2020年3月2日)
「歯科恐怖症」を経験した歯科医師だからこその配慮を
芳本院長が歯科医師になった経緯を教えてください。

実はもともとデザイン関係の仕事に就きたくて、美術系の大学へ進学しようとも考えましたが、歯科医師の父の勧めもあり医療系に進むことにしました。大阪歯科大学に入学しましたが、私は本当に歯科が怖くて大嫌いで、歯科医師になるなんてありえないと考えていました。実際、臨床研修後は、アパレルや飲食店で働いていた時期もあります。その頃、偶然出会った歯科医師と話すうちに、自分だからこそできる歯科治療があるのではと歯科の世界に戻りました。今となっては、歯科医師という職業は一番自分に適した職業だと感じていますし、患者さんの一番の理解者として向き合うことができるのではないかと思います。
院長は「歯科恐怖症」だったそうですね。
子どものときに甘い物が好きでよく虫歯になりましたが、父の治療が怖くてなかなか治療に行けず。痛みが強くなってから激痛の中で治療をしなければいけなくて、さらに歯医者に行くのが怖くなっていきました。他の歯科医院に行ったものの恐怖心は消えず、予約を取っても中に入れない。うろうろしていたら怪しまれて警察に通報されたこともありました(笑)。優しい先生を探して、小児歯科に力を入れる歯科医院を見つけては、小さな子どもに混じって治療を受けていました。
歯科が怖いという方は大勢いらっしゃると思います。どう接していますか。

歯科医師は、自分の歯もきれいに保っている先生が多いです。それ自体は良いことなのですが、自分の歯が痛くなった経験がないことで患者さんの怖さや痛みを理解しきれないところがあると思います。ですが私は、患者さんがなんとなく伝える痛みでも、具体的によくわかるんです(笑)。歯医者が怖いという気持ち、我慢してきた痛みを理解できることは、歯科医師としての私の強みだと感じています。どんな症状でも、歯に対して一つ一つにこだわって徹底的に治療しているのは、歯科が怖くても我慢して通院しているのだから上手に治してほしいと私自身が思っていたから。今も、初志を忘れず治療に取り組めているのは、歯医者が心底怖くて嫌いだった経験があったからこそです。
治療以外でも、歯科への恐怖を減らす工夫をされているそうですね。
そうですね。一般的な歯科医院のデザインですと、やはり緊張される方もいらっしゃると思います。そのため、なるべく心地良い空間をつくりたいという気持ちから、設計やインテリア選びはほとんど自分で行いました。他にも、待合室などで流している動画は患者さんに関心を持って見てもらえるようにすべて私が制作しています。
残せる歯はすべて残し、痛みを最小限にすることに尽力
治療の特徴やコンセプトを聞かせてください。

インプラント治療を多く行っているというと、どんな歯でも抜かれるのではと思われがちなのですが当院はまったく逆で、残せる歯はすべて残す方針です。歯周病治療にも力を入れていて、歯牙移植も実施しています。また、痛みを最小限にすることにも徹底して取り組んでいます。私自身が歯科治療が怖い、麻酔が痛いというのは十分すぎるほど感じてきましたが、麻酔によって、痛みだけでなく怖さの軽減も図れるということも知っています。そのため、麻酔は最大限の配慮をし、時間をかけて丁寧に、痛くないように努めています。
小児歯科ではどのような治療を行っていますか。また、子どもと接する際に気をつけていることはありますか。
虫歯などの一般歯科治療のほか、矯正も実施しています。特にマウスピース型の装置を用いた矯正を多く行っていまして、この方法については指導にも携わっています。診療時にはお子さんと対等に会話するようにしています。子ども言葉で話したり、痛くないよとかすぐ終わるからとか「子どもだまし」のようなことは絶対にしません。今から何をするか、どうして治療するのか、少し痛みがあるかもしれないということも説明し理解してもらいます。それでも、子どもからどうしてもこれだけは嫌だということがあれば絶対にしません。ここで偽ったり、ごまかしたりすると、もう絶対に信用してもらえなくなり、歯科が嫌いになってしまいます。一歩一歩丁寧に信頼関係を築くことが、大人以上に大事だと思います。
歯周病治療にも力を入れていると伺いました。

私は新潟大学で臨床研修を受けたんですが、その時の担当の先生が、歯周病治療や外科手術を多く手がけている方だったんです。私は初めはあまりできのいい研修医ではなくて……先生からずっと隣についているよう命令され、先生の治療器具を毎日手入れする係に(笑)。おかげで先生の治療や手術を学ぶ機会にも恵まれたんですね。歯周病、歯槽膿漏はできる限り早く治療を開始することが大切です。インプラントが駄目になる原因も多くは歯周病なんです。当院では、歯周組織再生療法も行っています。患者さんにはご自身の歯を残していただきたいので、費用面もできる限り負担を抑えられるよう配慮しています。
保険・自費関わらずすべての治療に全力で取り組む
患者さんと接する際に気をつけていることはありますか。

患者さんの言うことを信用しています。例えば、小さい子どもが「ここが痛い」と言ったとします。でも診察しても特に悪いところは見当たらなかった。それでも、お子さんが痛いと訴える以上、痛いという訴えを否定しません。大人の方でも同じなんです。苦痛を感じていることを、うまく表現できない、解釈を誤っていることは少なくありません。他院でどこも悪くないと言われた、という方でも、そう訴える原因は何か、徹底的に調べていきます。
VRによる治療の研究もされているとか。
もともと、一人でAR(拡張現実)による治療方法を研究し続けていました。業者の方と提携し、ARとVR(仮想現実)を融合させたMR(複合現実)技術を使った歯科治療システムの開発に携わりました。歯科医師が、患者さんの口腔内や患部のデータを頭に装着したディスプレイで見ることで、患部の神経や血管の形状をCG画像として患部と重ねながら、手術や治療を行うためのものです。臨床への応用と、教育トレーニング技術への導入をめざして、これからも研究を続けていきます。
今後やっていきたいことはありますか。

このクリニックはネットワークやセキュリティーなど、かなりデジタル化された空間になっていて、治療に生かしています。私は、大学病院や、セミナー、講演会などで指導をしているんですが、そのためのシステムも備えています。私が身につけた技術や知識を、多くの歯科医師やスタッフへ伝えていきたいですし、患者さんへも広めていきたい。そして同時に、私自身も技術の研鑽を今後もずっと続けていきたいです。
歯科への受診を悩まれている方は少なくないと思います。
当クリニックは、保険診療の患者さんも多く来られていますが、中にはできる限りの治療を望まれる方もいます。望まれる治療をこのクリニック内で最大限の高いレベルで行いたい。それを続け、治療経験を積むことは、自費診療の治療だけでなく、保険診療へも必ずフィードバックされていくんです。一つ一つの治療には、保険診療、自費診療関わらず徹底的に取り組み、持っている技術や知識をすべてつぎ込むのが私のポリシーです。私は治療を断ることは絶対にしないようにしています。通院間隔があいても、遠慮なく来てほしいと伝えています。電話やメールで「痛い」というキーワードが入った患者さんは、どれだけアポイントが埋まっていてもすぐに来てくださいと言います。歯科治療が怖い方、何軒もの歯科で断られた方、諦めないで来ていただければうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント手術(1本)/24万2000円~、矯正/30万2500円~、マウスピース型装置を用いた矯正/45万9800円~、セラミッククラウン/8万4700円~、歯周組織再生療法/8万4700円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。