澁谷 辰之進 院長の独自取材記事
しぶや歯科医院
(川越市/鶴ヶ島駅)
最終更新日:2026/01/15
「患者さんがご自身の口腔内の健康に興味を持っていただくことが大切」と話すのは、「しぶや歯科医院」の澁谷辰之進院長。鶴ヶ島駅から徒歩1分のアクセス至便の立地で歯科医院を営む。院内に入ると、木を多用したぬくもりのある空間が広がり、待合室には広々としたキッズスペースも。歯科、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科を標榜し、2021年からは訪問歯科診療を始めるなど、幅広い診療内容を特徴としている。2022年には3台のユニットにマイクロスコープを導入。先進的な機材を駆使し、丁寧でわかりやすい説明や提案を行うことで、歯科に対する患者のリテラシー向上に努めている。技術研鑽に余念がない澁谷院長に、診療への思いなどを聞いた。
(取材日2024年9月19日)
丁寧な説明で患者が主体的に治療に臨めるように導く
最初にクリニックの診療方針を教えてください。

診察や検査を行い、問題点を指摘し、治療計画を立てる過程で、患者さんが安心して治療を受けられるように丁寧に説明することを心がけています。その上で、医療保険が適用される保険診療に加えて、希望に応じて自由診療の提案も行っています。多くの患者さんは「治療のことはよくわからないので、先生にお任せします」と言われますが、患者さん自身が口腔内の状態をしっかり理解する必要があると思っています。今の状態になったのはなぜなのか、今後どうしていきたいのか、そして治療が終わった後は何に注意しなければならないのかといった、口腔内の健康に対してビジョンを持ってもらうことが重要です。その結果、患者さんが主体的に治療に臨み、二人三脚での治療をめざしています。
2022年にはマイクロスコープを導入したと聞きました。
以前、歯科医療に関する学術発表の資料に、マイクロスコープで撮影した画像が使われているのを見て、これからは技術向上のために必須になると感じたのが導入のきっかけです。3台のユニットに導入し、併せて椅子の前に設置していたモニターも50インチの大型の物へ変更しました。ここにマイクロスコープで撮影した患者さんの口の中の画像を映すことで、問題を自分のこととして捉えてもらい、今後の治療について一緒に考えられるようにするのが狙いです。マイクロスコープは歯科衛生士によるPMTCなどの予防歯科でも使っています。患者さんに手鏡でプラークのある場所をご確認いただいても見えにくいのですが、拡大した画像を大型モニターに映し出せばはっきりとわかります。それにより今の状態に驚くと、セルフケアへのモチベーションにつながるのではないかと考えています。
治療でのマイクロスコープのメリットは?

肉眼の約20倍まで拡大して見られるので、精密な治療ができることです。特に虫歯における根管治療では、肉眼では見えにくい、細菌に感染して壊死した神経や汚染物質をしっかり取り除くために有用です。また、マイクロスコープ専用の小さな器具を使い丁寧な治療が望めるため、歯を削る量にしても必要最小限に抑えられると考えています。そして前述のとおり、静止画や動画として記録できることも大きなメリットです。処置前後の画像を患者さんに見比べてもらうことで、きちんとした技術を持つ歯科医師であることを訴求できますし、マイクロスコープを使った処置は患者さんにとって大きな意味があると思っています。
口腔内に興味を持たせ、予防に対する意識の変化を促す
診療において大切にしていることは何ですか?

マイクロスコープを導入した理由の一つは、患者さんに自分の口腔内のことをよく知ってほしいと思ったからなのですが、大画面に自分の歯の悪い部分が映し出されると、気分を害される患者さんもいます。その際は、私たちの考えが適切に伝わるように丁寧なコミュニケーションを図るようにしています。また、治療計画を立てる時は患者さんのためになるように長期的な視野に基づいて実施しますが、中には今痛いところだけを治療してくれればいいと希望される方もいます。ですので、二人三脚で治療することが理想ではありますが、こちらの提案を押しつけることがないように気をつけています。
さまざまな取り組みによって患者さんの意識に変化はありますか?
口腔内の状況が、患者さん自身が思っていたよりも悪いことを知ると意識は変わるのではないでしょうか。もともとこの地域には健康への意識の高い方々が多いと知られているのですが、開院当時と比べると、健康に投資できる患者さんはさらに増えているような印象です。予防のために定期検診を受ける方が多いほか、セカンドオピニオン目的で来られる方、マイクロスコープのことをどこかで知って来られる方もいます。歯科は通院が続くといった面倒なイメージを持たれやすいのですが、定期検診が虫歯や歯周病の予防につながることは知られるようになってきました。口は体の入り口で、呼吸や発声する器官の一部でもあり、感染症のリスクにもさらされています。そのような複雑な器官ですので、定期的にメンテナンスを受けて健康を維持することは、自然な考えであることを患者さんには常に伝えています。
マイクロスコープに限らず、先進的な素材や器具、機材の導入に積極的ですね。

歯科技術は日進月歩で進化していますので、その技術を身につけるためには先進的なツールが役立ちます。歯科用CTや口腔内スキャナーのほか、治療時になるべく痛みを感じさせないためにレーザーも導入しました。根管治療ではできるだけ神経を残せるよう、歯科用セメントによる歯髄保存治療も提供しています。歯科医師は患者さんから先生と呼ばれますが、本当の意味での先生になるには日頃の技術研鑽は必須で、そのための勉強に終わりはありません。また、機器の導入目的として省力化も挙げられます。例えば歯型を採るための印象材は、歯科衛生士が手で練るよりも機械を使ったほうが早くできます。これは楽をさせたいというより、効率化で得た時間を患者さんに向き合うことに使ってほしくて採用したものです。技術の研鑽だけでなく、患者さんの気持ちに寄り添うことも重視しています。
訪問歯科診療で口腔内の環境を整え、地域に貢献を
訪問歯科診療にも力を入れていると聞きました。

通院できない方が一定数いらっしゃるため、歯科衛生士を帯同して患者さんのご自宅を訪問する訪問歯科診療を2021年から始めました。歯科は命に関わる疾患が少ないと思われがちですが、厚生労働省のデータでは高齢者の死因の上位になっているのが誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎は、食べ物と一緒に口腔内の細菌や唾液が誤って肺に入り、炎症が起きる疾患で、リスクを減らすには口腔内のケアが重要なのです。寝たきりの方はセルフケアが難しいですし、ご家族が介護をしている場合は口の中にまで意識を行き届かせることは簡単ではありません。訪問歯科診療では、口腔内の清掃や口の機能低下によって生じるオーラルフレイルの予防や改善に注力しています。
訪問歯科診療では他にどのような処置が受けられるのでしょうか?
まずは口の中をきれいにすること、噛めるような状態にすることを最優先の目的に置きます。虫歯治療、補綴治療、義歯の作製・調整など、院内で行う大半の一般歯科治療と同等の治療が可能です。在宅の患者さんの多くは、口の中以外にも基礎疾患をはじめとしたお悩みを抱えていますから、何かお困り事はないかお聞きしたり、ご家族との関係性を気に留めてあげたり、メンタルケアも意識してお話ししています。得た情報や気づいたことは必要に応じて患者さんのかかりつけ医に提供するなど、医科歯科連携には常に気を配っています。
最後にこれからの展望を聞かせてください。

当院の理念の一つに「患者さまの人生を豊かにしていくこと」を掲げているとおり、生涯を通じてのかかりつけの歯科医師になりたいと思っています。そのためにも現状に満足せず、精進していくことが大切ですから、院内の設備や業務についてもAIやDX化を積極的に取り入れていくつもりです。世の中が便利になり社会の管理化が進んでいるにもかかわらず、孤独死は増加傾向にあるといわれます。その背景を考えると、訪問歯科診療が担う役割は大きいのではないでしょうか。歯科医院の数はコンビニより多いそうですが、私は良いことだと思っています。なぜなら身近にあると気軽に通いやすくなりますし、多くの歯科医院が訪問歯科診療を始めれば地域貢献になるからです。訪問歯科診療についてケアマネジャーさんがよく知らないケースもあるので、今後は啓発活動にも力を入れていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/38万5000円~、マウスピース型装置を用いた矯正/30万円~、ホワイトニング/3万3000円~、歯髄保存治療/3万3000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

