小池 智明 院長の独自取材記事
上尾こいけ眼科
(上尾市/上尾駅)
最終更新日:2025/10/02

上尾駅西口から延びる大通り沿いに位置する「上尾こいけ眼科」は、2018年6月の開業以来、地域住民の目の健康を支え続けている。広々とした駐車場は30台まで収容可能で、診察室やトイレ、廊下などはバリアフリーを意識した造りとなっている。入り口正面の壁にあるヒマワリ畑と猫の絵は、開業時に小池智明院長の知人デザイナーによって描かれたものだそうだ。温かな雰囲気に包まれた院内と同じく、「休日は子どもと遊ぶのが息抜きです」と、語る小池院長の穏やかな人柄が反映されている。そんな小池院長に、患者と向き合う姿勢や開業の経緯、患者へのメッセージを聞いた。
(取材日2005年9月8日)
患者に合わせて治療の選択肢を提示する診療スタイル
開業当時と比べて進化した点はありますか?

より良いものや役立つ機器は可能な限り導入しています。特に多いのは、手術に関連する医療機器です。さらに、乱視の矯正や手術後の見え方がどの程度変化したかを判断するためには、正確な測定が欠かせません。そのため、精度の高い測定機器もそろえています。院内環境については、開業当初からバリアフリーに十分対応できる造りを選びました。スタッフもそれぞれの役割を理解し、患者さんの訴えを丁寧に聞いた上で、経験を生かして臨機応変に対応しています。
患者さんとコミュニケーションを取る際に、気を配られていることを教えてください。
わかりやすい説明を心がけ、医療用語だけでなく例え話なども交えながら伝えるようにしています。さらに、治療の経過を画像で記録しています。もともと自覚症状がない状態から治療を始めると、所見が変わっても変化を実感しにくい患者さんも少なくありません。悪化している点や改善している点を視覚的に確認できれば、患者さんも理解しやすいため、画像を比較しながら説明しています。また、問診を進める中でより良い治療が見えてきますが、「この治療しかありません」と一方的に押しつけたり決めつけたりはしません。できる限り複数の選択肢を提示し、患者さんご自身に理解して選んでいただいた治療やケアを行っています。
患者さんに合わせた選択肢を提示するスタイルは、医師になった時から心がけられていたのですか?

強く意識するようになったのは、開業前に勤務していた上尾中央総合病院での経験が大きいと思います。大きな病院に来院される患者さんの多くは、症状が重い方や手術が必要な方々です。一方で、眼科の医師として経験を重ね治療の選択肢が広がるにつれ、できる限り保存的な治療を望む患者さんに関心を持つようになりました。「手術をすればこうなることが望める」「手術をしなければこうなる」「手術をしなくてもすぐに悪化する可能性は低い」といった複数の道を提示するほうが患者さんのプレッシャーも少ないはずです。私の考えるベストと患者さんにとってのベストが異なることもありますからね。白内障のように視力回復が見込める疾患もあれば、緑内障のように改善が難しいものもあります。それをご理解いただいた上で、様子を見るのか、手術をするのか、あるいは別の治療を選ぶのか、患者さんの選択肢を用意するのが私のスタイルになりました。
よりフレキシブルな診療体制をめざし、開業へ
眼科の医師をめざしたきっかけを教えてください。

群馬大学に進学した当初は、手術を行う診療科に進みたいと考えていました。その中で眼科を選んだのは、内科的な治療から外科的な手術まで、一つの診療科で完結できる点に魅力を感じたからです。また、当時の群馬大学は眼科分野で先進的な取り組みを行い、研究の面でも世界に向けて新しい発信をしていました。そうした点にも惹かれて眼科を選びました。
勤務医として約20年のキャリアを経て独立されました。開業を決めた理由は何だったのでしょうか?
大学卒業後は群馬大学医学部附属病院と上尾中央総合病院に、それぞれ約10年間勤務しました。多くの患者さんを診る中で、より患者さんに寄り添い、臨機応変に対応したいという気持ちが強まりました。また、時代に応じて医療機器や設備は変わりますし、新しい治療法が見つかれば早く取り入れて患者さんのために活用したいと思いました。より一層患者さんに寄り添える環境を確立するには、コンパクトな組織のほうがフレキシブルに動けるのではないか。そう思ったことが開業を決意した理由の一つです。加えて、当時この地域で眼科医院が閉院し、上尾中央総合病院から日常診療や加療のために紹介できるクリニックが少なくなっていたこともあり、「地域の方々のお役に立てれば」という考えもありました。
現在は院長を含めて、3人の医師が診療にあたられていると伺いました。

私以外の2人は非常勤で、上尾中央総合病院時代に一緒に働いていた医師です。当院では患者さんがその3人の医師から選べる希望制を導入しています。一般的には空いている医師に診てもらうほうが待ち時間は短くなりますが、患者さんが増えると待ち時間が長くなりご負担がかかることもあります。仮にお待ちいただくことになったとしても、患者さんには診療に満足していただきたいと考え、担当医師の希望があればそれを最優先にしています。非常勤の2人は女性ですので、お子さんの診療で「女性医師に診てもらいたい」といった声にも対応できますし、上尾中央総合病院から当院に通われるようになって、「引き続き同じ医師に診てもらいたい」とおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。どの医師でも良いという患者さんであれば、その時に空いている医師が担当し、なるべく待ち時間が少なく済めばと思っています。
開業から7年が経過しましたが、クリニックの強みは何だと思いますか?
当院では、白内障や緑内障、網膜硝子体、硝子体注射治療など、幅広い診療に対応していますが、中でも緑内障手術に対応している点は強みの一つだと考えています。白内障や網膜硝子体の手術に対応するクリニックは多くありますが、緑内障手術を行っているクリニックはまだ比較的少ないのではないでしょうか。
医師にもスタッフにも気軽に相談ができる眼科医院
眼科の医師として目の健康について伝えたいメッセージはありますか?

最近は、ドライアイや近視の患者さんが増えている印象があります。はっきりした因果関係があるわけではありませんが、子どもの頃からスマートフォンやタブレット端末が身近にある現代の生活環境も影響しているかもしれません。目に限らず体全体にいえることですが、私個人としては何事も「バランス」が大切だと考えています。大人も子どもも日常生活で多くのデバイスを使う時代に、たとえそれがドライアイや近視、疲れ目の原因になっているとしても、完全に使わないのは現実的ではありません。そのため、使用時間を区切ったり、暗い部屋での使用を避けたりと、工夫しながら上手に付き合っていくことが望ましいと思います。普段の診療でも、「画面を明るくしすぎない」「色の薄い画面にする」といった、日常生活で取り入れやすいアドバイスを行っています。
眼科の受診を検討している方に向けて、伝えたいことはありますか?
糖尿病網膜症や緑内障は、失明につながることが少なくありません。その大きな理由は自覚症状がなく進行してしまう点にあります。特に、緑内障に関しては、視野が欠けて見えることに気づいた時には末期ということが多いです。見えない部分があっても、両目で見ると互いにカバーし合ってしまうため、発見が遅れがちになるのです。糖尿病のある方は、内科から眼科受診を勧められることもありますが、緑内障は眼科で初めて見つかるケースがほとんどです。年齢による不安がある方や、身近に緑内障の方がいらっしゃる場合など、少しでも気になることがあれば、健康診断のような感覚で気軽に検査を受けていただきたいですね。
地域の患者さん、読者に向けてメッセージをお願いします。

気になることがあれば、ぜひ気軽にお伝えください。ただ、「伝えること自体が緊張する」「聞きたかったけれど聞けなかった」という患者さんもいらっしゃるかと思います。私も診療の最後に「ほかに聞いておきたいことはありますか」と、伺うようにしていますが、もし私や他の医師に直接言いづらい場合には、スタッフや当院の前の薬局でお話しいただいても構いません。伺った内容はきちんと報告を受けて次の診療に生かします。来院中のどのタイミングでも構いませんので、気になっていることは遠慮なく話してほしいと思っています。