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日下 茂 院長の独自取材記事

くさか内科医院

(堺市北区/堺市駅)

最終更新日:2023/08/02

日下茂院長 くさか内科医院 main

日下茂(くさか・しげる)院長が、生まれ育った地元・堺市北区に「くさか内科医院」を開業したのが2017年。内科、老年内科、消化器内科を標榜する同院には、働き盛りの世代から高齢者まで、日々さまざまな患者が訪れる。日下院長が注力するのは、生活習慣病の予防や治療、そして長年取り組んでいる老年内科だ。京都大学医学部附属病院や三菱京都病院、京都逓信病院などで、総合内科、老年科、消化器病の専門家として長きにわたり研鑽を積んできた日下院長。今後はさらに在宅医療にも力を入れたいと意欲的だ。穏やかで患者思いな日下院長に、内なる思いを語ってもらった。

(取材日2019年9月10日)

生まれ育った地元、堺のためにプライマリケアをめざす

なぜこの場所に開業をしたのでしょうか。

日下茂院長 くさか内科医院1

生まれ育った堺市で開業をしたいと思い、この地に開業しました。堺は歴史のある町で、古い家もたくさん残っていますが、最近ではそれがどんどん建て替わり、新しい家やマンションも建つようになりました。クリニックを開業する上で、地元の方が認識しやすいように大きな屋根と看板で目立つようにしたんです。待合室は開放感と明るさを意識した吹き抜けにしています。南向きなのでグリーンがよく育つんですよ。ご高齢・女性の方を意識して、車いすの患者さん専用のトイレのほか、男女別のトイレも設けています。スムーズな診療のために、私やスタッフの動線はできるだけ広く取りました。クリニックのロゴにもちょっとしたこだわりがあるんです。オレンジ色の太陽とクリニックの名前がグリーンの文字で描かれているんですが、これは私の名前である「日下茂」にちなんで、太陽の下で植物がすくすく育ち茂っているイメージをロゴにしたものなんです。

こちらでは内科全般を診ていただけるのですか?

当院が標榜するのは内科、老年内科、消化器内科の3つです。内科では生活習慣病をはじめ、風邪や吐き下し、睡眠時無呼吸症候群、花粉症なども診ています。花粉症治療として舌下免疫療法も当院で受けられますよ。二つ目の老年内科とは、加齢によって起こる心身の不調を総合的に診る科です。小児科の高齢者版、といえばわかりやすいかもしれませんね。そして消化器内科では、腹痛や下痢、食欲不振など消化器疾患全般を診ています。鼻から挿入する内視鏡検査では苦痛が少ないので、患者さんと普通に会話しながら検査を行っています。患者さんのさまざまな不調に対応していますので、こちらには30代から高齢者まで幅広い年齢層の方が通われています。

生活習慣病の予防や治療にも力を入れていらっしゃいますね。

日下茂院長 くさか内科医院2

私が患者さんとともにめざすのは、「健やかに老いる」ことと「健康寿命を延ばす」ことです。若い頃からの生活習慣が、その方の将来の健康寿命に大きく関わってきます。高血圧、高脂血症、糖尿病、痛風などの生活習慣病は、知らず知らずのうちに進行し、脳卒中や心筋梗塞を引き起こしかねません。血液・心電図検査や頸動脈エコー、血圧脈波検査などで生活習慣病をチェックし、症状が軽いうちなら、食事指導や運動指導などの生活指導で改善を図ります。改善が難しいようであれば薬での治療も提案します。また、生活習慣病との関連が指摘されている睡眠時無呼吸症候群、骨粗しょう症、花粉症などの検査・治療も当院では積極的に行っています。

「木を見ず森を見る」、高齢者には総合的な医療が必要

ご専門である「老年内科」について詳しく教えてください。

日下茂院長 くさか内科医院3

一般の方だと病気は臓器別に診ますよね。呼吸器内科とか循環器内科とか消化器内科とか。しかし高齢者になると一人の患者さんが複数の疾患を抱えておられる場合がほとんどです。それをその都度それぞれの科で診てもらわなければならないというのでは、ご本人やご家族の負担が大きすぎます。検査や投薬数も多くなりますから、それが患者さんにとって必ずしも良いとは限りません。そこで必要とされるのが老年内科なんです。老年内科では、高齢者の不調を総合的に診ることのできる医師が、患者さんやご家族と一緒に患者さんにとって適した方法を考えながら診療を進めます。地域の福祉や行政とも連携し、一般外来診療のほか在宅診療など患者さんの生活に寄り添った治療を行います。

在宅医療にも力を入れているそうですね。

そうなんです。当院では在宅医療にも力を入れています。ご高齢の方が多い地域でもあるので、通院や入院を続けることが難しい方、ご自宅での療養を希望される方など、地域のニーズに応えた診療を行っています。老人ホームや介護施設はもちろん、ご自宅への往診も可能ですし、風邪などの諸症状、高血圧や糖尿病などのいわゆる生活習慣に関わる疾患だけでなく、皮膚科や泌尿器科などといった幅広い領域に関しても診察させていただきます。ちょっとしたことでも遠慮なくご相談ください。一般内科から老年内科、クリニックに通うことが難しくなれば訪問診療というように患者さんの生涯にわたり携われるようなクリニックをめざしています。

先生の理念である「三方よし」とはどのようなものですか?

日下茂院長 くさか内科医院4

もともとは近江商人の言葉である「買い手よし、売り手よし、世間よし」という考え方です。信頼を得るために、売り手と買い手がともに満足し、さらに社会貢献もできるのが良い商売だというものですが、これは医療にも当てはまります。「患者さん」「そのご家族」「働くスタッフ」の三者が満足できる医療を提供できれば、それは地域全体の医療環境の向上にもつながります。三方よしが四方よしにもなると思うんです。在宅医療では、患者さん同様、そのご家族も大切です。ご家族とも十分なコミュニケーションを取り、患者さんやご家族の思いを受けとめて医療に臨まなければなりません。こちらが一方的に押しつけるのではなく、皆で一緒に取り組むことが大切です。そこにはケアマネジャーさんや訪問看護師さんなどのスタッフとの連携もありますし、行政との関わりも生じます。三方よし、四方よしの医療で、「健やかに老いる」ことが私の理念であり理想です。

「三方よし」を「四方よし」につなげられるように

印象に残っている患者さんはいらっしゃいますか?

日下茂院長 くさか内科医院5

がんの患者さんですが、手術で腫瘍が取れず、ずっと治療を続けておられた方がいました。最期は抗がん剤治療もやめ、緩和ケアをしながら亡くなられました。その方のご家族とは治療にも一緒に取り組み、私はお葬式にも参列させていただいたんです。普通は、ご家族が亡くなられた病院というのは敬遠されるものだと思うんです。つらい思いをされたのですから当然ですよね。でもそのご家族は、その後も何かあれば病院に来てくださいました。患者さんが亡くなられると、ご家族とも縁が切れることが多いのですが、そのご家族は今でも私に季節の便りをくださるんです。その患者さんとご家族との経験が、私の「三方よし」のきっかけになりました。何が患者さんとご家族にとって最良なのか……を考えるようになったんです。

先生が気分転換のためにされることは何ですか?

畑があって、妻と一緒に野菜作りを楽しんでいます。太陽の下で土を触って、小さな苗から一つ一つオクラやらダイコンやらを育てていると、無心になれるんです。日々の小さな悩みや煩わしい事柄なんかも全部忘れてしまいます。たくさん収穫できた時には、クリニックのスタッフやよく来てくださる患者さんにおすそわけするんですよ。少し前にメタボ気味だった時があるんですが、とにかく野菜をたくさん食べて適度な運動を心がけたら、10キロのダイエットに成功したんです(笑)。

最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

日下茂院長 くさか内科医院6

開業したのが2017年で58歳の時でした。開業には遅いほうだったと思います。しかし思えば、若い時はいろんなことに焦っていたし、諦めることもあったと思います。それが今は、あの頃に比べれば少しは人間もできてきたのでしょう。患者さんのため、ご家族のため、そして働いてくれるスタッフのため、ゆとりを持てるようになりました。「三方よし」を「四方よし」にできるよう、これからも日々努力していきたいと思います。私自身も年を重ね、少しでも健やかに老いるためにどうすれば良いかを考えるようにもなりました。患者さんと同じ立ち位置で、患者さんに寄り添った診療をめざしたいと思います。「焦らず、慌てず、諦めず」。難しい病気もありますが、患者さんとご家族と、皆で一緒に取り組んでいきたいですね。

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