中矢 雅治 院長の独自取材記事
なかや小児科
(生駒市/生駒駅)
最終更新日:2025/03/07

生駒駅から徒歩約10分の場所にある「なかや小児科」は、NICU(新生児集中治療室)の赤ちゃんや小児がんの子どもたちを診察してきた中矢雅治院長が、2017年に開業したクリニック。一般小児科をはじめ、アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患、発達に関する相談など、幅広い診療を行っている。かかりつけ医として、子どもが体調を崩した、成長に不安を感じる、などのさまざまな悩みに真摯に寄り添っている。そんな中矢院長に、同院の取り組みについて話を聞いた。
(取材日2025年1月16日)
家族とともに子どもの成長を促すクリニックをめざす
先生が小児科を専門に選ばれたのはなぜですか?

父も医師でしたので、小さい頃から医師という仕事を身近に感じながら育ちました。高校生になり、より具体的に医師という目標を持つようになりました。小児科を選んだのは、臨床研修時に各科を回るうちに興味を引かれたからです。小児科で診る領域は非常に範囲が広く、他の科にはない面白さがあるなと感じました。
先生のご経歴について教えてください。
研修後にまず勤務したPL病院では、一般小児科を中心に診ていました。そこから一般小児科では身につかないようなことも勉強したいという思いから、長野県立こども病院へ。そこでは超低出生体重児の赤ちゃんや、心疾患など重い疾患を抱える子どもの診療に携わりました。その後、大阪市立総合医療センターや大阪市立大学医学部附属病院でNICUの赤ちゃんや小児がんの子どもたちを中心に診察してきました。その根底には「幅広く診ることができ、安心して任せられるお医者さんになりたい」という思いがあるからです。当院ではこれまでの経験を生かし、疾患によって区別はせず、基本的に何でも診るようにしています。
「ご家族とともに成長を促すクリニック」をめざされている理由は何ですか?

今は少子化の時代で、親御さんの意識が1人の子に集中してしまい、周りの子と比べてしまう傾向があります。すると、その子のできないことや悪いことが目についてしまいます。そこで頭ごなしにお子さんを怒ってしまうこともあるでしょう。ですが、子育ては「子どもの良いところ探し」。悪いところではなく、良いところ・成長できたところを見つけてあげてほしいものです。もちろん子どもは皆同じではありません。得手不得手はおのおの異なります。もし苦手なことや困っていることがあれば少し手助けすることで、できるようになればそれが成功体験になるわけです。成功体験を積み上げていくことが、子どもの自信や成長につながります。
一般小児科、アレルギー、発達など悩みに幅広く対応
発達についての相談や検査もしているんですね。

発達がゆっくり、言葉の遅れがある、かんしゃくが強い、パニック発作、不登校、学校になじめない、などさまざまなご相談があります。神経発達症(発達障害)は、定型発達との間にくっきりと区切りがあるわけではありません。生活する上で困難さがあり、さまざまな支援を必要とする場合、単なる個性ではなく神経発達症特性があると考えます。当院では公認心理師も在籍し、新版K式発達検査やWISC-IVなどの発達検査を行っています。
相談にはどのようにアプローチしていくのでしょうか?
例えば「授業中に歩き回ってしまう」という相談の場合、その歩き回ってる原因を見極める必要があります。知的に問題がある子の場合は、話が理解できず、わからない話を聞き続けることがつらくなります。ASD(自閉スペクトラム症)の場合は、興味の幅が非常に狭く、自分の興味があることは集中できるものの、興味がないことはつまらないと感じてしまい、聞くことが苦痛になります。また、ADHD(注意欠如・多動症)の場合は、授業時間の45分が非常に長く感じてしまいます。その場合、教室では前方の席に座ってもらったり薬物治療によって、集中力が持続しやすいようにサポートします。当院では困り事の原因や、お子さんが獲得できそうなことと獲得できないことを見極め、必要であれば補助や治療の提案を行っていきます。
アトピー性皮膚炎について、軟膏の塗り方も非常に丁寧に指導されていますね。

ステロイド軟膏はしっかりと肌についていることが何より大切です。軟膏は浸透して始めて有用性が見込め、朝晩の2回塗っていても、衣服でこすれたりして5分で取れてしまっては使っていないのと同じです。塗布した上に伸縮性チューブ型包帯を巻いて取れないようにする方法もありますし、それが難しければこまめに塗り直しをすることが大切です。そして後押しも大事。炎症は表皮だけでなく真皮でも起こっており、きれいに見えても、ある程度の期間は継続してステロイド軟膏や免疫抑制軟膏を使用する必要があります。
食物アレルギーについての相談も多いそうですね。
食物アレルギーの原因の一つは、荒れている皮膚から原因物質が入り込むこと。まずは小さい頃から皮膚をきれいに保ち、経皮感作を防ぎましょう。そして離乳食の開始を遅らせることも食物アレルギーの増える要因の一つです。卵や乳、小麦などを食べさせることが不安で遅らせる人もいらっしゃいますが、その必要はなく、離乳食を遅らせすぎないようにしましょう。ただ、もし食物アレルギーの症状が出た場合は医師と相談してください。
子育ての相談もできるかかりつけ医に
お子さんへの接し方で大事にしていることはありますか?

お子さんにこれから何をするかを前もって、わかりやすい言葉で具体的に伝えるようにしています。例えば注射を打つ時に、子どもの立場からすると、どこに打つのか、何本打つのか、どれくらいの時間がかかるのか、わからず不安なわけです。注射も薬物の違いにより、痛い場合と痛みを感じにくい場合があります。「今日1本だけだよ。ちょっと痛いけど2秒で終わるからね」と伝えると、お子さんは少し安心して頑張る子もいます。そして注射というという嫌な経験が、「頑張れた」「泣かなかった」「ご褒美シールをもらえた」「お父さんお母さんから褒められた」という成功体験になるわけです。注射に限らず、先に見通しを伝えておくことで、親御さんやお子さんが安心できるクリニックになるように努めたいですね。
予防接種について気をつけていることは何ですか?
新型コロナウイルス感染症のワクチンを機に、予防接種に対して不安感を持つ方もいらっしゃいます。ですが本当は何が正しくて、何が正しくないのかということを知らない人もいらっしゃいます。当院では情報を正しくきちんと伝えたいと思っています。気になることがあれば何でもおっしゃってください。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

今の時代、子育ては大変だという声を耳にします。しかし僕自身も4人の子どもを育てる中で、子どもが大人にたくさん良い影響を与えてくれているとも感じています。もちろん大変ではありますし、特にお一人で子育てをされる場合は苦労もより多いでしょう。ですが困った時に相談できる場所、助けてくれる所は必ずあります。当院が皆さんの一助になれば幸いです。