加藤 仁美 院長の独自取材記事
RERA DENTAL CLINIC
(流山市/南流山駅)
最終更新日:2024/08/20
南流山駅から車で約5分。流山市大字木の一角に立つガラス張りのビル2階にあるのが「RERA DENTAL CLINIC」だ。院長の加藤仁美先生は、大学病院時代には補綴を専門にしてきたが、同クリニックではなるべく治療の必要がない口腔環境を維持できるよう小児矯正や予防歯科などにも力を入れている。「できるだけ自分の手で患者の口腔環境を守っていきたい」という思いが強く、そのために日々経験や勉強を重ねてきた。患者のことを第一に考える、そんな歯科医療に対する姿勢に感銘を受けて、勤務先のクリニックが変わる度についてきてくれる患者もいるのだという。そんな加藤院長に、クリニックの特徴や歯科医療への思いなどについて聞いた。
(取材日2019年12月4日/情報更新日2024年5月14日)
怖い気持ちを和らげるため治療を「見える化」
流山で開業なさった背景と現在の患者さんの層について教えてください。
日本大学松戸歯学部を卒業後、日本大学松戸歯学部付属病院に勤務していました。今も大学病院には在籍しています。そのため開業するなら大学病院の近くでと考えていました。また勤務医の頃から南流山に住んでいたので、土地勘があったことも大きいです。開業して1年半以上たちますが、今は、小さいお子さんからご高齢の方まで幅広い年齢層の方に来院いただいています。私は入れ歯やかぶせ物を得意をしていますので、ご高齢の方からご要望があるとうれしいですね。当院は2階にありますがエレベーターが完備されていて、院内もバリアフリーになっていますので、車いすで来られた患者さんもそのまま診療台までスムーズに入っていただいています。最近では小さなお子さんたちも多く、みんな待合室で走り回るほど元気なお子さんばかりです。このエリアの方々は老若男女を問わずデンタルIQが非常に高い印象です。
診療で工夫されていることはどんなことですか。
患者さんたちは歯科クリニックに対して「怖い」「嫌い」という気持ちを持っておられます。そういった気持ちを少しでも緩和できるよう、丁寧に説明するとともに治療を「見える化」しています。例えば、初回の診療では、口腔内の状況を記載した冊子をプリントしてお渡ししています。お子さんであれば歯の状態に合わせてニコニコマークなどの表情をつけて歯の状態をわかりやすくしています。大人の方には歯周病のリスクなど、その患者さんの口腔内の傾向がわかるよう工夫をしています。治療においても口腔カメラで治療前後の状態をお見せして、治療内容を細かく説明し、理解していただくよう配慮しています。
他に治療の際に心がけていることはどんなことですか。
できるだけ患者さんが苦痛に感じる時間を少なくすること、患者さんの希望に沿った治療を提供することを心がけています。私はどちらかというと作業の手が早いので、治療時間が比較的短いようです。患者さんはずっと口を開けていることも大変ですし、治療時間自体が短いことで、もし痛みを感じることがあってもその痛い時間は少なくなりますよね。麻酔をする時は電動麻酔を使用して痛みを感じにくくしています。患者さんの要望もなるべく伺って、例えば「この治療は○〇の後にしてほしい」と言っていただければできる範囲で対応するようにしています。
治す必要のない口腔環境維持が大切。小児矯正にも注力
先生のご専門は補綴と伺いました。
はい。大学病院で10年以上、詰め物、かぶせ物、入れ歯、インプラントといった補綴治療について研鑽を積んできました。ただクリニックにはさまざまな悩みを持った患者さんが来られます。患者さんは勇気を出して来られているわけですし、自分の手で悪い所を治して差し上げたいと思っていますので、ここでは幅広い症例に対応しています。インプラント治療や親知らずの抜歯、小児矯正なども行っています。治療においては、「噛めないものを噛めるようにする」ことを常に念頭に置いています。「治す」ということは、治療しなければいけない、すでにダメージのある歯があるということ。いくら治療を行っても現状維持はできますが、元の健康できれいな状態に完璧に戻すことはできません。だからこそ「治す必要のない口腔環境を作る」ことが大切で、当院でも力を入れています。
そういう意味で小さい頃から口腔環境を整えることも大切ですね。
最近は顎が小さく歯が大きいお子さんたちが増えています。顎がしっかり発達していないと歯の生えるスペースが足りなくなり、その結果、不正咬合が起きやすくなります。当院ではそうならないよう顎顔面矯正による小児矯正を行っています。これは装置によって子どもの顎の骨の成長を手助けしながら顎全体を広げていく方法で、始めるのは4~5歳くらいが良いとされています。大人の矯正は歯と土台そのものを動かしていきますが、この矯正法は顎の骨や顔の骨格を整えることに重きが置かれている点が特徴ですね。お子さんがいつもポカンと口を開けている、口呼吸している、鼻炎が続いているといったことがあればぜひ相談に来てください。上顎の骨が健全に成長すると鼻の気道が確保され、呼吸もしやすくなり鼻のトラブルも解消につながるでしょう。
子どもたちに向けた食育なども行っているのですか。
矯正装置による矯正治療を受けるかどうか悩んでいる場合や、さほど症状が進んでいない場合などは、口腔筋機能療法(MFT)と呼ばれる、舌や口周りの筋肉の機能を育成する療法を行っています。硬いガムを噛んだり片足立ちしたり、あるいは器具を使ったトレーニング、口周りの体操など、いろいろな手法で舌と口周りの筋肉をバランスよく鍛えていきます。顎の骨が十分発達しないのはしっかり噛まないことが大きな原因です。ですので、しっかり噛むための食事の方法もお話ししています。例えば、野菜は大きく切る、お肉料理にする時はやわらかいハンバーグではなくステーキにするなど日常の食事で工夫できることを指導しています。
今後は成人矯正も視野に、さらに幅広い症例に対応
これまでで何か印象に残っているエピソードはありますか。
私がまだ研修医の頃、嘔吐反射で口に物が入ると吐いてしまう患者さんがいました。私はまだスキルがなくてその方に適切な治療を提供することができなかったんです。ほかの先生に代わったほうが良いと思ったのですが、その患者さんはどうしても私に診てほしいとおっしゃって……。当時は他の歯科医院を研修で回りながら、休みの日は大学に戻ってその患者さんの治療をするという生活をしていました。もっと私にインプラントや入れ歯の知識があれば、と泣きながら入れ歯を作ったことも。私はできるだけ自分の手で患者さんを治したいという気持ちが強いのですが、この経験はそのきっかけとなったと思います。最近では、笑った時に前歯がまったく見えなかった方の入れ歯治療が印象に残っています。歯科治療は生活の質と密接に結びついていることを改めて感じた出来事でした。
ところでお休みの日はどのようにお過ごしですか。
今、お休みの日は、勉強会に参加していることが多いですね。最近では、成人の矯正について学んでいます。というのも、当クリニックでは小児矯正を行っていますが、小児矯正だけで終わる場合もありますし、引き続いて成人の矯正が必要になることも考えられます。私自身で小児矯正を行った責任もありますので、来るべきその時に備えて勉強しています。
では最後に今後の展望をお願いいたします。
幅広くいろいろなことをやっていきたいと考えていますので、どんな方でも気兼ねなく来ていただければと思います。私が女性の歯科医師ということもあって、スタッフ同士仲がよく、とても雰囲気のいいクリニックだと自負しています。スタッフの空気感は患者さんにも伝わると思います。患者さんは皆さん正直に「歯科クリニックは本当は嫌いだった」と話されるのですが、「ここはほっとする」と言ってくださる方も多いですね。患者さんにとってもスタッフにとっても居心地の良い、安心できるクリニックとしてさらに成長していきたいと思っています。歯科クリニックが苦手という患者さんにもぜひ足を運んでいただきたいですね。また、ご高齢になられて通院が難しくなった方には、訪問診療も行っていますのでご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/6万6000円~、インプラント治療(1本)/44万円~