澁澤 一行 院長の独自取材記事
健康スポーツクリニック
(熊谷市/西小泉駅)
最終更新日:2025/08/07

県道341号線沿いの住宅街にある「健康スポーツクリニック」で、穏やかな笑顔で患者と向き合う澁澤一行院長。大学病院で手外科分野の専門性を磨き、全国でも少ないという手外科分野の専門家として2017年から同院で診療にあたっている。「どこよりも身近な手外科の専門家をめざしています」と語る澁澤院長は、日帰り手術で患者の負担軽減を図りながら、併設のメディカルフィットネスと連携した独自の健康サポートを展開する。クリニックでありながらジム感覚でも気軽に通える環境づくりを大切にし、患者の話にしっかりと耳を傾ける診療スタイルが印象的だ。診療への思いや患者との向き合い方について、詳しく話を聞いた。
(取材日2025年7月8日)
医療とフィットネスの融合で健康をサポート
こちらのクリニックのコンセプトについて教えてください。

当院は医療法人社団nagomi会の分院として、医療とスポーツと食の融合というコンセプトをもとに2017年に開院しました。医療部門の健康スポーツクリニック、運動部門のメディカルフィットネス、そしてカフェを併設し、この三位一体で地域の皆さまの健康サポートをしていこうという考えです。基本的にはフィットネスに通って健康を維持している方が多いのですが、体の調子を崩したときには気軽にクリニックにかかっていただき、運動継続が可能かどうかの判断もしています。熊谷という地域性もあり、日中に運動に来られる60歳以上の女性が多く、クリニックでありながらジム感覚でも気軽に通えることを大切にしています。
先生は手外科分野の専門家として、どのような治療に力を入れていますか?
手外科の専門家は全国でもあまり多くなく、そのほとんどが病院勤務です。私は「どこよりも身近な手外科の専門家」をめざし、クリニックレベルで専門的な治療を提供しています。特に注力しているのが日帰り手術。超音波エコーを用いた伝達麻酔により腕全体にしっかりと麻酔を行い、患者さんの負担を考えて、処置時間が3時間以内であれば日帰りを可能としています。手術を受けたその日に家に帰れることで、患者さんの負担を大幅に軽減できます。不要な入院を避けてあげたいという思いで、手の骨折から腱の手術まで幅広く対応しています。
フィットネス部門について詳しく教えてください。

今年の5月からバランスメソッド法というコンセプトでリニューアルしました。一般的なフィットネスクラブとの大きな違いは、理学療法士がしっかりとサポートしながら運動指導にあたることです。毎月評価を行いながら、一人ひとりに合わせたプログラムを提供しています。現在、理学療法士は当院に5人在籍しており、充実した体制を整えています。整形疾患を抱えている方でも安心して運動できる環境があることが強みです。私たちもサポートしながら、個々の体力や目的に合わせて無理なく効果的な運動をしていただくことで、地域の健康増進に貢献していきたいと考えています。
手の外科への道のりと診療への思い
手外科分野を専門に選んだ理由を教えてください。

大学の臨床実習で整形外科を回った際、手の手術を見学する機会がありました。手の中を開いて腱を動かすと指が動く、その様子にとても感動したんです。腕の腱と指がつながっていて、腱を引っ張ると指が動く。シンプルな仕組みですが、その美しさに魅力を感じました。その後、前橋赤十字病院で三次救急の現場を経験し度胸をつけ、群馬県済生会前橋病院では手外科の専門的な技術を学びました。小児の先天奇形から切断指の再接着まで、顕微鏡を使った繊細な手術を数多く経験し、これが自分の進むべき道だと確信しました。
医師を志したきっかけを教えてください。
親戚に医師になった人がいて、その影響を受けました。親戚の家に遊びに行った際、解剖の本を見せてもらったことがあったんです。最初は正直気持ち悪いなと思いましたが、医学という分野があることを知りました。決定的だったのは高校時代に学校の図書館で解剖の本を開いた時です。人の体の仕組みに興味を持ち始め、医学を学びたいと思うようになりました。理系の理工学系への進路も考えましたが、最終的には人の体への興味が勝ったんですね。
診療で心がけていることを教えてください。

患者さんの話をしっかり聞いて共感することを大切にしています。共感することで患者さんに安心感を与えられるので、良好な関係を築くことにつながります。実は大学病院時代はどこか流動的に治療をしていました。しかしクリニックでは長年同じ患者さんを診るので、それをきっかけに考え方が変わりました。体には自然治癒力があり、環境に適応していく力があることを実感したんです。今は患者さんが本当に困っていることは何か、長い目で見てどんな治療が必要かを考えるようになりました。また法人全体を通しても年2回の接遇研修も実施しております。診察室だけでなく、受付をされてから会計をされるまですべての動線で患者さんに満足していただけるよう、スタッフ一同でサポートすることを心がけています。
地域に根差す身近な医師として
本院との連携についてはいかがですか?

本院のまつだ整形外科クリニックとは、医療機器と専門性の両面で連携しています。MRIや骨密度検査では本院の機器を共同利用しており、当院の手術室は本院の患者さんの手術にも使用されています。専門性の面では、当院は上肢を中心に、本院は下肢を中心に診療を行うという役割分担があります。また、当院にはリウマチ専門の外来があるため、患者さんの症状に応じて相互に紹介し合う体制を整えています。このように、2つのクリニックが連携することで、より幅広い患者さんに対応でき、地域医療への貢献を実感しています。
今後の展望についてお聞かせください。
フィットネスとの連携をさらに強化していきたいですね。運動器の整形外科疾患を良くしていくためには、運動とスポーツは切り離せない分野です。リニューアルしたフィットネスを活用し、整形外科疾患を抱えている患者さんにも積極的に運動してもらいたい。理想は、治療が終わった後もフィットネスで健康づくりに励んでもらうことです。当院では、フィットネスに通いながらリハビリテーションを受けるということも可能です。地域の健康寿命の延伸に寄与できるよう、医療とフィットネスの両面からサポートしていきたいと考えています。
読者へのメッセージをお願いします。

クリニックは、病院とは違ってより身近で敷居の低い医療機関です。そのため、皆さまには気軽に受診していただきたいです。私自身も、どこよりも身近な手外科専門の医師をめざしていますので、手のお悩みはもちろん、それ以外の整形外科的な症状でも遠慮なくご相談ください。患者さん一人ひとりの得意なところ、良いところを伸ばしていけるようなサポートをさせていただきます。また、短期的な治療だけでなく、長い目で見て、その方にとって最適な環境に持っていく共同作業を一緒にしていきたいと考えております。ここに来て少しでも気持ちが楽になった、心が軽くなったと思ってもらえるよう、これからも邁進していきます。