小佐川圭司院長の独自取材記事

K'sデンタルクリニック

(札幌市中央区／西線９条旭山公園通駅)

最終更新日：2021/10/12

札幌市の市電通り沿いのマンション1階、黄緑色の看板が目印の「K’sデンタルクリニック」。小佐川圭司院長は祖父も父も歯科医師という環境で生まれ育ち、「地域に密着した歯科治療を提供したい」と、住宅街であるこの場所に2001年に開業した。一般的な歯科治療に加えて、予防歯科、訪問診療にも力を注ぎ、特に訪問診療は、自身の闘病経験から「お年寄りや体の不自由な人の力になれたら」と、積極的に取り組む。診療にあたっては「患者に寄り添い、諦めず治療すること」を心がけているという。穏やかで優しく、患者思いの小佐川院長に、開業に至った経緯や診療方針、治療に対する思いなどじっくりと聞かせてもらった。

（取材日2020年10月3日）

生涯にわたって自分の歯で過ごせるようサポート
自身の闘病経験から、訪問診療にも積極的に取り組む
地域密着のクリニックをめざし、住宅街に開業

生涯にわたって自分の歯で過ごせるようサポート

こちらはどのようなクリニックになりますか？

地域のホームドクターとして皆さんのお口の健康をサポートする、地域密着型の歯科医院です。診療内容は、虫歯や歯周病の治療をはじめ、小児歯科、入れ歯治療、予防歯科、さらに、インプラント治療、ホワイトニング、セラミック治療、訪問歯科診療など幅広く対応しています。高齢化が進む現在、いつまでもご自身の歯で食事や会話を楽しむために、お口の健康はとても大切です。地域の皆さんが通院しやすい環境を整えて、安心して受けていただける歯科医療の提供に努めています。

患者さんはどのような方が多いですか。

お子さんからお年寄りまで幅広いですね。この辺りは若い方が多いイメージがあるかもしれませんが、実は町としては古く、3世代のご家族でかかられているということも珍しくありません。症状はそれぞれですが、昔に比べると「特に悪いところはないけれども、気になるので診てもらいたい」という方が増えているように思います。かつては「年なんだから仕方がない」という人も少なくありませんでしたが、最近は予防の意識が高まってご自分の歯が多く残っているお年寄りが増えています。僕も予防の大切さをお伝えしてきましたので、このような状況はうれしく思います。これからもご自分の歯でできるだけ長く過ごしていただけるようしっかりサポートしていきたいですね。

特に予防に力を注いでいらっしゃるそうですね。

予防は今後さらに重要視されると考えています。虫歯や歯周病を防ぐには、磨き残しなどが蓄積した歯垢、いわゆるプラークがたまらないようにすることが大切です。当院では、予防の1つとして「PMTC」を行っています。PMTCとは「プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング」の略で、プロが専門の機器を使って行う口腔内クリーニングのことです。毎日歯磨きをしていても、歯と歯の間や歯と歯茎の境目などにはどうしても磨き残しが生じてしまいます。PMTCでは、そういった部分の汚れもしっかり取り除いていきます。ですが、予防の基本はご自宅でのホームケアです。当院では、きちんとケアしていただけるように正しい歯の磨き方に加えて、食事の取り方、おやつの食べ方など生活習慣についてもアドバイスさせていただいています。

自身の闘病経験から、訪問診療にも積極的に取り組む

訪問診療にも力を入れていらっしゃるとお聞きしました。

高齢化に伴い、「病院へ行きたくてもなかなか行けない」というお年寄りが増えています。そういう方々のために、当院ではご自宅や施設などへ訪問診療に伺い、歯石の除去をはじめとした虫歯や歯周病の治療と予防、効率的な歯磨きの指導、入れ歯の作製や修理・調整、感染症や誤嚥性肺炎の予防、摂食嚥下障害のリハビリテーションなどを行っています。「歯が痛い、グラグラする」「入れ歯が合わない」などはもちろん、「うまく飲み込めない」「寝たきりでお口の手入れが難しい」といったこともぜひご相談ください。訪問診療に積極的に取り組むことで、ご自分の歯で食事をしたり会話を楽しんだりといった喜びを届けられたらと思っています。

訪問診療に力を入れるのには理由があるそうですね。

勤務医時代にも訪問診療に取り組んでいましたので、地域密着で開業するなら訪問診療も必要だと思ったのが一つ目の理由です。もう一つ、実は僕自身、10年ほど前に脳腫瘍を発症して入院中に長く嚥下のリハビリを受けた経験があるんです。手術を受けて嚥下障害で経口摂取できなくなり、胃ろうで栄養補給をしていたのですが、口から食べられないことは想像していた以上につらく、だんだん気持ちも落ち込んでくるんですよね。僕はもともとアメリカンフットボールをしていてしっかりした体格だったのですが、固形物を4ヵ月食べることができなかったので、20キロほど痩せました。そんな経験をしたからこそ、より一層、お年寄りや体の不自由な方の力になりたいと、訪問診療に積極的に取り組むようになったんです。

診療をするときに心がけているのはどんなことですか。

「諦めないこと」でしょうか。例えば、何年も入れ歯をしているけれどもこれまで満足したことがないという患者さんや、何軒も歯科医院を回ったのに悩みが改善されなかったという患者さんがいたとします。そうすると、僕も満足させられないのではないか、治せないのではないかと不安になります。でも、諦めたらそこで終わり、なんですよね。そういう患者さんは「仕方がないと言われた」とよくおっしゃるんですが、それではいつまでも治らないことになってしまいます。ですから、僕はこれまでの経験を生かして、それで足りなければ新しい技術や知識を勉強して、患者さんに寄り添い、諦めずに治療に取り組んでいくことを大切にしているんです。

地域密着のクリニックをめざし、住宅街に開業

歯科医師を志した理由とこの場所で開業した経緯をお聞かせいただけますか。

祖父と父が歯科医師という環境で育ちましたので、大きなきっかけはなく自然に志しました。ただ、小さい頃から、ラジコンやプラモデルを作ったり、絵を描いたりといった細かい作業は好きでしたね。そういったところを生かして歯科技工士になりたいと思ったこともありましたが、歯科医師免許があれば歯科技工の仕事もカバーできるなと思って、最終的に歯科医師の道を進みました。祖父と父はすすきの駅直結の百貨店内で開業していたんです。ただ、僕は地域密着型のクリニックに勤めていた経験から、地域の皆さんを見守るような形で診療したいと思い、住宅地であるこの場所を選び、僕自身で開業することにしました。この辺りは生まれ育った場所に近く、子どもの頃からなじみもあり、患者さんと町の変遷について昔話に花を咲かせることも多いですよ。

先生は比較的早い段階で開業されたそうですね。

以前勤めていたクリニックを辞めた後、開業しようかほかのクリニックの分院長をさせてもらおうかと迷っていたんです。そうしたら、お世話になっていたある方から「院長も分院長も責任を負うという意味では同じだから開業してみては。十分に経験を積んだ後に開業するのもいいけれど、若いうちに開業することでいろいろチャレンジできるよ」というアドバイスをいただいたんです。ちょうど同じ頃、縁あって現在の物件が見つかり、開業することを決意しました。一般的には少し早いタイミングだったと思いますが、開業してから思い切ってチャレンジすることもできて、今となっては良かったと思っていますね。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

治療が終わったらそれで終わりという時代は過ぎ、本来あるべき姿に戻ったら、そこから予防によって健康な状態をキープしてご自分の歯で食べる、そんな時代に移ってきました。ですから、健康な歯を長持ちさせることができるよう、治療だけでなく予防にもより一層力を入れていきたいと思っています。また、通院することが難しくなっても、訪問診療を通じて最期までお付き合いできればと考えています。スタッフ一同、患者さんのお口の健康のために、精いっぱいサポートさせていただきますので、歯やお口の中で困ったこと、不安なことがあれば、いつでもお気軽にお越しください。