野口 雄一 院長、野口 恵生 副院長の独自取材記事
のぐち内科クリニック
(鶴ヶ島市/若葉駅)
最終更新日:2026/03/13
「のぐち内科クリニック」の野口雄一院長は、大学病院や総合病院で45年にわたり、糖尿病、高血圧症といった生活習慣病や内分泌疾患の臨床・基礎研究に携わってきた。埼玉県の医療の向上と、医師と患者の意識改革をするべく、地域医療を担う道を選び、2017年に同院を開業。良き理解者でもある野口恵生副院長とともに、対話を通じて意識変容を促す医療を追求している。病気を診るより先に人を診ることを心がけているという2人に、患者の人生に寄り添い、伴走者のようにサポートする医療への熱い思いを語ってもらった。
(取材日2026年2月10日)
理想とする地域医療をつくるために力を尽くす
開業の経緯について教えてください。

【雄一院長】2017年6月に当院を開業しました。大学病院では医局長や診療副科長を務めていましたが、管理業務が増える中で、より診療の現場に身を置きたいという思いが強くなり、開業を決意しました。開業後は副院長と患者さんに寄り添う姿勢を大切にしてくれる心強い仲間の看護師や事務職員ともに診療を行っています。長年診てきた患者さんも多く、同じ医師が継続して診ることで安心感につながっていると感じます。患者さんは病気を抱えて来院されるからこそ、職員の対応は非常に重要です。そういう意味では理想的な環境で診療を始めることができたと実感しています。
今までのキャリアと注力されてきたことについてお聞きします。
【雄一院長】大学病院で20年、総合病院で25年、糖尿病や高血圧症をはじめとする生活習慣病の臨床と基礎研究に取り組んできました。複数の大学病院と共同でインターネットを活用しての血圧データ解析から、診察時に測る血圧よりも家庭で測定された血圧のほうが優位性が高いといった結果を得ることができ、その成果は欧州で論文発表され、日本の高血圧治療ガイドラインにも反映されました。私たちが家庭で血圧を管理することが大事であると広く訴えてきた効果もあり、現在では家庭での測定が一般的に。実際に糖尿病と血圧の値を適切に管理すれば、腎臓病は約30%、脳卒中は半分以上減少することがわかりました。予防医療の大切さを実感し、力を注いでこられたことは財産だと思っています。
埼玉県の医療レベルを上げたいという思いもあったそうですね。

【雄一院長】はい。そのために「医師の意識改革」から取り組んできました。志を同じくする医師らと集い、講演会や勉強会を開催するなど、さまざまな試みを行ってきました。今では地域医療を超えた大きな輪になっています。保険診療では患者さんの払う医療費は一律ですから、診療の質に格差があってはいけません。血圧管理一つ取っても、十分な説明と厳格な対応を行うかどうかで、結果は大きく変わります。その実践例を講演で共有し、同じ思いを持つ医師に広げてきました。若手医師をつなぎ、大学や専門の医療機関とも連携し、最新の知見を直接学べる場をつくる。適切な医療機関へつなぐ「最初の窓口」を担いながら、仲間と地域を支える。それが私がめざす埼玉の医療であると思っています。
理解を深め、健康寿命を延ばすための治療を実践
どんな患者さんが通院され、どのように診察を行っているのですか?

【雄一院長】当院には、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病を中心に、他院で改善が得られなかった方も紹介で多く来院されています。大学病院時代から診ている方もおり、30年以上のお付き合いになる方も非常に多くいらっしゃいます。当院は、単に薬を処方する場ではありません。大切にしているのは「話して理解を深める」こと。例えばなぜ血圧を測るのか、なぜこの薬が必要なのかを丁寧に説明し、医師の話を受け止められる土台をつくります。対話から始まり、現状への気づきを促し、将来起こり得る合併症まで見据えて意識づけを行う。その上で、食生活や生活習慣の改善、薬の正しい飲み方まで具体的に指導します。一人ひとり背景が異なるからこそ、治療の意味を共有し、納得してから一緒に取り組むことが重要なのです。理解が深まれば行動が変わり、結果も変わる。対話を軸に、患者さんと並走する医療を実践しています。
クリニックの診療の特色についてお聞きします。
【雄一院長】当院が取り組んでいるのは「健康寿命を延ばすための医療」です。糖尿病や高血圧症をはじめとする生活習慣病は、放置すれば将来の合併症につながりますが、それを防ぐには早い段階で芽を摘むことが重要です。健康は失って初めてその価値に気づくもの。そうならないように、今の治療や予防にかかる費用は、将来倒れて動けなくなることを防ぐための「先行投資」だと考えてほしいんです。私は血圧や血糖値などの小さな変化や症状は見逃さず、必要があればすぐ精査し、重症化を防ぐことに尽力してきました。幅広い臨床経験を土台に、総合的な視点で診る。そして必要なら最適な医療機関へつなぐ。このクリニックを健康への「最初の窓口」として、安心して頼ってほしいと願っています。
一人ひとりにとことん寄り添うオーダーメイド治療を実践されているとか。

【雄一院長】初診では十分時間をかけて生活背景まで丁寧に聞き取り、経緯の把握に努めます。いつどういう病気になったか、家族歴やどの時点から症状が悪化したのか、どのくらい放置してしまったかなど細かく聞いていきます。その上で血圧や血糖の目標値、検査の意味、薬の必要性を一つ一つ説明。薬は漫然と続けるものでも、自己判断でやめるものでもありません。患者さんの生活背景や仕事内容もお聞きして、お仕事で夜勤がある場合などは、服薬回数や処方内容も個別に設計します。血管老化を防ぐため脂質・血糖・血圧を総合的に管理し、その人に合った薬の組み合わせを考え、提案します。状態が安定すれば、通院間隔を延ばし、変化があればすぐ調整する。対話を重ね、その人に合わせた最善の医療を組み立てるのが、私たちプロの仕事だと思っています。
モットーは、プロセスを重視した心と人を診る医療
副院長の今までの歩みと治療方針について教えてください。

【恵生副院長】院長とは研修医だった頃に指導を受けたのが最初の縁でした。埼玉医科大学の消化器・肝臓内科に入局をし、その後、神奈川で18年間クリニックの院長を務め、経営と総合内科の経験を磨き、2017年に「のぐち内科クリニック」を開業しました。私は消化器内科の専門ですが、幅広く一般内科、発熱の外来、肥満の外来、漢方の外来、美容皮膚科を担当しています。診療では病気だけでなく「人」を診ることを重視。「食事・運動・メンタル」など生活の基本から整える指導をしっかりさせていただき、患者さんにも学んで理解していただき、意識を変えるところからスタートします。データだけに頼らず、背景まで踏まえた温かな診察が、今の私のスタイルです。
副院長が診療で心がけていることは何でしょう。
【恵生副院長】患者さんに伴走する医療を心がけています。例えば、当院では肥満症に特化した外来を開設していますが、薬はあくまで一時的な補助でしかありません。本質は、「食事・運動・メンタル」といった生活習慣を整え、本人の意識を変えることにあります。なぜ体に良い食事が必要なのか、運動や呼吸法がどんな変化をもたらすのかを丁寧に説明し、できることから一緒に取り組んでいきます。ご家族にも同席してもらい、家庭全体で理解と協力を深めます。「より健康でニコニコした自分」という、良いイメージを描くことが、継続の力となり、望む未来を得ることにつながります。自信を取り戻し、続けられる力を育てる。それが私が考える伴走型の治療です。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【雄一院長】当院を「健康の入り口」として、少し調子が悪いと感じた時点で遠慮なく受診してほしいです。当院で対応が難しい場合でも、責任を持って最適な医療機関へつなぐ。それが地域に根差したかかりつけ医の役割だと考えています。
【恵生副院長】当院では、「ここに来て良かった」と思っていただける診療を何より大切にしています。中には、医師には言いにくいと感じてしまう患者さんもいらっしゃいますから、こちらから歩み寄り、家族に接するような目線で話すように心がけています。本音を引き出し、安心してなんでも相談できる関係を築くことが、信頼につながると信じています。

