佐藤 博久 院長の独自取材記事
与野駅前ヒロデンタルクリニック
(さいたま市中央区/与野駅)
最終更新日:2025/09/29
JR京浜東北線・与野駅から徒歩3分の大通りに面した場所に、「与野駅前ヒロデンタルクリニック」はある。院内には北欧から輸入したインテリアが並び、歯科医院というよりカフェのような洗練された雰囲気だ。優しい笑顔と語り口が印象的な佐藤博久院長は、専門としている歯周病治療の本場であるスウェーデンへの留学経験がある。2017年の開業以来、丁寧な診療を続けた結果、定期的にクリーニングに通う患者が増加。加えて、国の「国民皆歯科健診」政策に備えて増築し、より多くの患者を受け入れられる体制を整えた。「患者さんには人生を楽しく生きてほしいですね」と語る佐藤院長に、これまでの経歴やクリニックの治療方針などについて語ってもらった。
(取材日2025年8月25日)
スウェーデン留学で学んだ予防歯科の理念と挑戦
まずはこれまでのご経歴を教えてください。

歯科医師を志したきっかけは、脳外科医である伯父が教えてくれた「点滴で栄養を補給する患者さんと、自分の歯で食事ができる患者さんとでは回復度合いが違う」という言葉でした。伯父に憧れていた私は、同じ医療でも違う角度から健康を守りたいと思い、歯科の道を選択しました。昭和大学歯学部卒業後、東京都内の歯科医院で勤務し、2005年からは日比谷の歯科医院で働きました。そこで出会った弘岡秀明先生に影響を受け、歯周病治療やインプラント治療の本場とされるスウェーデンで学びたいという想いが強くなり、2012~2013年にかけて留学しました。無駄を省き、必要な治療は徹底的に行うというスウェーデン式予防歯科の考え方が自分の診療理念と重なりました。帰国後は東北大学大学院で学位を取得。その後、地域の方々に正しい予防や治療を届けたいと考え、ベッドタウンである与野駅前に当院を開業しました。
後進の歯科医師の教育に力を入れているそうですが、どんなことをされているのですか?
当院は一般開業医ではありますが、歯科医師が大学に在籍せずとも臨床に取り組みながら歯周病について学べる環境を整えています。当院の勤務医として常勤で診療に携わりながら、定期的な勉強会や私の診療の見学を通じて実践的に学び、歯周病に関する知識の学習を一貫してサポート。私自身の知識と経験を余すことなくお伝えしています。数ある歯科医院の中で、当院を選び学んでくださる先生方には、技術と知識を身につけ、患者さんから信頼される歯科医師として成長していってほしいですね。そして、その積み重ねが、当院をより一層頼られる存在へと育ててくれると信じています。
とてもおしゃれな内装ですね。増築もされたそうですが、なぜでしょうか?

当院の内装は、歯科医院特有の「怖い」というイメージをなくし、患者さんに少しでもリラックスしていただきたいという思いから、青を基調にした内装に仕上げ、温かみのある照明を選びました。また、一般的な歯周病治療を進めていくと、メンテナンスで通院される患者さんがどんどん増えていくんですね。そのため、より多くの方をしっかり診ていけるよう増築を行いました。また、今後、国が推進する「国民皆歯科健診」が始まれば受診者はさらに増える見込みです。いつ来ても安心して診療を受けられる体制を整えるため、設備や空間づくりにも力を入れています。
患者教育から治療、予防まで一貫したアプローチを提供
診療方針を教えてください。

患者さんに「人生を楽しく生きてほしい」という思いに尽きます。年齢を重ねると、食事や旅行など、日常のささやかな楽しみが大切になってきますよね。そのときに「食べられない」というつらさを感じてほしくないのです。ですから、すべての患者さんの健康と生活の質を向上させることをめざしています。また、治療方針を決める際は、必ず患者さんに決めてもらうようにしています。選択肢を複数提示し、その場で即決させることはしません。一度家に持ち帰って、落ち着いてじっくり考えていただきます。病気のことを十分に理解した上で決断することが、納得のいく治療につながると考えているからです。それでも迷う方には「その患者さんが自分の両親だとしたら、どのように治療するか」という基準でアドバイスしています。
初診ではじっくり時間をかけるそうですね。
初診では、70〜90分ほど時間を取っています。まずは資料取りを行い、口腔内の状態や過去の治療履歴をしっかり把握。その上で、患者さんに正しい知識を身につけていただくため、「授業」のような形式で詳しく説明を行っています。具体的には、「なぜ病気になるのか」「どのような治療を行うのか」「治療後に健康を維持するためにはどうすれば良いのか」といった点を、最初にしっかり理解していただくことを重視しています。特に、虫歯と歯周病という歯科の2大疾患については、原因や再発予防を一つ一つ丁寧に解説し、必要な治療は徹底して行い、不必要な処置は行いません。感染や炎症の除去は、治療の根本であり、患者さん自身の意識を変えることが長期的な改善につながるのです。当院では、知識を患者さんと共有しながら、私たちと一緒に健康を作り上げていくことを何より大切にしています。
先生が取り入れているスウェーデン式の予防歯科とはどのようなものですか?

スウェーデン式の予防歯科は、歯科医師の経験や勘ではなく、科学的根拠に基づいて行う治療です。無駄な処置を省き、本当に必要な治療が何かを考え、それを徹底して行うのが特徴です。歯周病の原因であるプラークを徹底的に除去し、その後は疾患の再発を防ぐため、厳格なメンテナンスを主体に据えます。この北欧式の「スカンジナビアンアプローチ」は、初期の患者教育から治療、そして健康の維持をめざす段階まで一貫して行う体系的な方法です。当院ではこの考え方を取り入れ、根拠ある治療と予防を通じて、長期的にお口の健康を守ることをめざします。
スタッフ全員が一体となって患者を支える
スタッフさん含め、どのように患者さんと向き合っていますか?

当院には私のほか、歯科衛生士7人、歯科助手2人、受付1人が在籍しており、全員が同じ方向性で患者さんに向き合えるよう、定期的に院内勉強会を開催しています。私が講師となり、知識を共有しながら一緒に学び、常に同じ視点で対応できる体制を整えているんです。患者さんの意識を変えるには、ただ丁寧に接するだけでなく、生活背景や家族構成まで理解し、同じ立場で親身に関わることが大切です。これは私が師匠から教わり、スタッフにも伝えている考え方です。この考えにのっとり、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手が一体となり、患者さんに本気で向き合っています。
スタッフさんの働き方も重要なのですね。
特に女性スタッフが多い職場なので、結婚・出産・子育てといったライフイベントに柔軟に対応できる働き方を意識しています。歯周病治療は8割を歯科衛生士が担うため、彼女たちが主役として生き生きと働ける場を整えることが何より大切です。まだ十分ではないと感じますが、自分にできる規模の中で最大限サポートしていきたいですね。チーム医療としてともに学び合いながら、スタッフ全員が力を発揮できる環境をめざすことで、患者さんにもしっかりと還元していきたいです。
最後に、健康な歯を維持するために、改めて患者さんに伝えたいことを教えてください。

お口の健康を守るには、患者さん自身の努力だけでなく、私たちと一緒に二人三脚で取り組むことが大切です。人間ですから100%完璧に歯を磨くのは難しいものです。その磨き残しを私たちがサポートし、健康な状態を維持していきたいと考えています。歯科医院には痛くなってからではなく、健康なうちに来ていただくのが理想です。定期的にチェックを受けて「健康だ」と確認できれば安心ですし、もし病気が見つかっても治療すればいいだけの話です。そうすることで日常生活を安心して楽しんでいただきたいですね。

