岡野 夏海 院長の独自取材記事
千川あおぞらクリニック眼科
(豊島区/千川駅)
最終更新日:2024/10/04

東京メトロ有楽町線・千川駅を出てすぐのクリニックビル内にある「千川あさひ眼科」。同院は2017年に開業し、2024年7月に2代目院長として岡野夏海先生を迎えた。明るく朗らかな雰囲気の岡野院長は、患者の緊張を解くような優しい笑顔が印象的な医師だ。患者とのコミュニケーションを大切に、穏やかな口調で「見えて当たり前と感じている分、視力を失った時はダメージが大きいもの。そうした事態を防ぐべく、緑内障などを早期に見つけましょう」と病気の早期発見・治療に向けた検査や予防医療の重要性を強調する。今回の取材では、眼科全般に対応する同院が、院長交代以降、特に力を入れている診療に関することから、岡野院長の診療スタンスまで詳しく話を聞いた。
(取材日2024年8月28日)
「話を聞くことも治療の一つ」と気づいた研修医時代
先生が医師をめざした理由からお聞かせいただけますか。

もともとは家族が消化器専門の医師で、その姿を幼い頃から見ていたため医師という仕事になじみがありました。それに、患者さんのお話をうれしそうに聞かせてくれたり、研鑽のため休日を返上して勉強したりといった、医師としての家族の背中を見て育ったこともあり、物心ついた頃からこの仕事に尊敬と憧れを抱いていたのです。「人の役に立てる仕事がしたい」という思いから、中学校に上がる頃には明確に将来の夢として医師をめざすようになりましたね。
数ある診療科目の中から、なぜ眼科の医師になる道を選ばれたのでしょうか?
医師は初期研修時代、つまり研修医の頃に、さまざまな診療科を回り、学びを深めるのですが、その際に眼科の持つ明るい部分に惹かれたというのが大きかったです。目の不調というのは自覚症状が出やすく、視力の良し悪しは生活の質に直結するものですよね。例えば、白内障で視力が低下すると、裁縫や読書などをするのが難しくなってしまうこともあります。目を使う趣味をお持ちの方にとって、見えなくなるというのは特に悲しいことだと思います。しかしその分、治療のやりがいも大きい分野といえます。患者さんの喜ぶ姿を医師として間近で見られる魅力があるのです。生き生きと好きなことに取り組む患者さんの姿を見られると、医師としてやりがいを感じますね。研修医時代には裁縫が趣味の患者さんから、手作りのぬいぐるみをプレゼントしていただいたこともあり、それは今もうれしい思い出として心に残っています。
研修医時代のご経験が、今の先生の診療スタンスにも影響しているのでしょうか。

そうですね。研修医として勤務した病院には、がんの患者さんも多く、「つらいから話を聞いてほしい」とおっしゃる方は少なくありませんでした。私がお話を伺うと、「気持ちが楽になった」と言ってくださる患者さんが多かったんです。この経験から、話を聞くことも治療の一つと捉えるようになりました。そのため今でも、患者さんの話は可能な限りじっくりと聞くように心がけています。受診される方は何かしら不調があり、不安な気持ちや暗い気持ちでいらっしゃるので、話を聞いてそうした不安な気持ちを少しでも和らげられたらと考えています。また、威圧的な印象を与えないよう笑顔で接することも大切にしています。緊張している患者さんには雑談を交えながら、リラックスして診察を受けていただけるよう気をつけていますね。
専門的な検査で緑内障を早期発見。予防医療に力を注ぐ
2024年の7月に院長に就任されたとのことですが、クリニックの体制にも変化があったのでしょうか。

基本的な検査・診療体制は変えずに行っていますが、変化として、視能訓練士を常駐する体制を整えました。視野が欠けてしまう病気「緑内障」は、放っておいたり目薬をきちんとさしていないと、一気に進行してしまう場合があります。そのため、目の検査のプロフェッショナルによる視野検査を定期的に実施し、検査結果をもとに状況に応じた治療を行うことが重要です。近視でない方も40歳を過ぎると緑内障のリスクが高まるため、検査を受けることをお勧めしています。当院では、緑内障の患者さんには定期通院と数ヵ月に1度の視野検査が必要だとお伝えしているのも、通っていたのに検査が不十分で症状が進行していた、見落としていたという事態は絶対になくさなければいけないですので。また緑内障に限らず、定期的に検査を行うことはさまざまな病気の早期発見につながりますので、今後も予防医療に力を入れてきたいと思います。
検査結果をなるべく丁寧に説明されていると伺いました。
そうですね。実施した検査の結果は必ず丁寧に、わかりやすくお伝えするように心がけています。患者さんにとっても、せっかくお金を払って検査をしたのに、結果がわからない、わかりづらいというのは不安の種になるのではないでしょうか。患者さんのお話をじっくり聞くという私自身の心がけにも通じますが、聞く・伝えるという患者さんとのコミュニケーションは特に大切にしています。また、検査結果を丁寧に説明することで、患者さん自身に通院や定期的な検査の重要性を理解していただけるという面もあります。目の検査のプロフェッショナルである視能訓練士が常駐する体制を整えたことも、安心して検査に臨んでいただけるきっかけになればと思っています。
こちらのクリニックにはどういった年齢層の方が来院されますか?

千川は比較的ファミリー世帯が多い町ということもあるのでしょう、ご家族連れの患者さんが多いですね。お子さんを診せる時に一緒に親御さんも診療を受ける、といったケースも少なくありません。院内にはキッズスペースがありますので、小さなお子さんを連れていても安心してご利用いただけるかと思います。ご高齢の患者さんはそれほど多くないのですが、当院では日帰りの白内障手術や硝子体手術も行っているので、今後は手術にも力を入れていけたらと考えています。
地域住民に愛される眼科クリニックをめざして
スタッフさんの雰囲気や取り組まれていることを教えてください。

私自身子どもがいるのですが、当院のスタッフは温厚で優しい方が多く、お子さまの対応にも慣れているのでとても助かっています。お子さまが受診される際は、側にいる親御さんにだけ説明をするのではなく、お子さまご本人にも丁寧に説明し、一緒に治療に取り組む意識をもってもらうようにしています。その中で、診察中に伝えそびれたことや不明な点などありましたら、経験豊富なスタッフばかりなので気軽に声をかけていただければと思います。またスタッフとは、親目線の実体験からクリニックの先生やスタッフが「こうしてくれたら不安な気持ちが和らぐかも」など、安心して通ってもらうための意見交換もしていますので、より通いやすいクリニックをめざしていきたいと思います。
クリニックの今後の展望について聞かせてください。
当院の院長に私自身就任してまだ間もないということで、患者さんの中には戸惑われている方もいらっしゃるかもしれません。そういった方にも信頼してもらえるような、地域の方に愛されるクリニックにしていきたいと思っています。「気軽に通える」ことは病気の早期発見にもつながる大切なことですので、親しみを持っていただけたらうれしいですね。私自身も患者さんにしっかり向き合い、丁寧に診療していけたらと考えています。
最後に、ドクターズ・ファイルの読者へメッセージをお願いします。

2024年7月に院長が交代し、クリニックの体制を一新しました。地域の皆さんに安心して通っていただけるよう、スタッフ一同連携してまいります。まずは、患者さんご自身が手術を受けたいかどうかの気持ちに寄り添いながら、検査結果に基づき総合的に判断した上で、どうするかをご提案させていただきます。体制が変わったことで不安に感じる患者さんもいらっしゃると思いますが、不安を払拭できるよう丁寧な診療を行ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。