約1ヵ月半の検査でリスク因子を追求
カップルで受けたい不妊検査
ウィメンズクリニックふじみ野
(富士見市/ふじみ野駅)
最終更新日:2025/02/19


- 保険診療
2022年4月の保険適用拡大から2年以上が経過し、より身近なものとなりつつある不妊治療。子を望みながらなかなか授かれない、無事出産に至ることが難しいというケースに対し、その原因を探りながら、適切な治療を提案することが欠かせないという。「原因が多岐にわたる不妊症では、カップルの双方に検査を行い、状況やリスク、条件に合わせて治療方針を決定することが大切です。できるだけ早く、適切な方法を提案したいと考えています」と話すのは「ウィメンズクリニックふじみ野」の林直樹院長。一般不妊治療から生殖補助医療まで、幅広い選択肢で子を望むカップルの想いに応えている。不妊治療について興味を持ちつつ、具体的な治療内容や始めるべきタイミングがわからないという人に向けて、林院長に不妊検査について聞いた。
(取材日2024年11月26日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q不妊症とはどのような状態で、何が原因なのでしょうか?
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A
子を望み、通常の性生活を送りながら、女性が35歳未満の場合に1年以上、35歳以上の場合6ヵ月以上妊娠に至らない状態が、不妊症です。主な原因は男性側では性交障害や精子の数・状態の問題、女性側では排卵障害、卵管・着床の問題、卵子の質・免疫異常の問題などです。子宮筋腫や子宮内膜症といった子宮内病変や、卵管障害などが原因となっている場合、不妊治療に先駆けてそれらの治療を行う必要があります。また、妊娠はするものの流産を繰り返す不育症もあり、3回以上流産を繰り返す場合には検査が推奨されます。明確な原因が指摘できるケースは少数で、いくつかのリスクが合わさって、不妊・不育につながるケースが多数を占めています。
- Q治療を始めるべきタイミングを教えてください。
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A
不妊症の診断条件に当てはまるかどうかが一つの目安ですが、気がかりがあるなら早めに相談すべきでしょう。精子の数が少ないことがわかっている、生理不順や婦人科の疾病歴がある、40代以上の女性で妊娠を望んでいるといった場合です。女性の場合30歳を過ぎた頃から徐々に妊娠率が下がり、35歳くらいから急激に低下するとされています。また、加齢による生殖器の機能低下に加え、高血圧や肥満、喫煙、ストレスなどが不妊に関わることも少なくありません。妊娠の前段階から男女ともに体の現状を確認し、健康状態を整えることで、安定した妊娠・出産をめざす「プレコンセプションケア」も大切なのです。
- Q一般的に、どのような不妊治療が選択できますか?
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A
一般に、タイミング法や人工授精を軸に排卵誘発法などを組み合わせる一般不妊治療と、体外受精、顕微授精などを含む生殖補助医療に大別されます。男性不妊治療や婦人科治療が必要となるケースもあります。体外受精も採卵から胚移植に至るまで多様な手法があり、それぞれのケースに合わせた治療法を選択することが重要です。一般不妊治療のタイミング法、人工授精と、生殖補助医療の採卵・採精、体外受精、顕微授精、胚培養、胚凍結保存、胚移植などの基本治療には、保険が適用されます。ただし40歳未満の女性で1子ごとに通算6回、40歳以上43歳未満で1子ごとに通算3回までと、胚移植回数の制限がありますので注意が必要です。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と基本的な検査
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初診では、問診に加え、血圧測定、尿検査、婦人科診察、超音波検査や子宮がん検診などの基本的な検査を実施。不妊原因の約半数は男性側にあるため、時期は問わないものの、女性側の検査が終了するタイミングまでに、精液検査や精子正常形態率検査も並行して実施しておくことが望ましい。また、妊娠した際に胎児に影響が出る可能性があるため、性病や感染症の検査も治療に先駆けて受けておく。
- 2月経3日目前後に合わせた検査
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月経3日目前後に合わせて来院し、採血によるホルモン検査を受ける。この際に、続いて受けることになる子宮卵管造影検査、子宮鏡検査について説明を受け、予約を取ることになる。月経周期に合わせて予約を取り、周期がずれた場合には予約日もずらす必要がある。来院回数を抑えたい場合には、事前の相談により、初診をこのタイミングに合わせることで、基本的な検査とホルモン検査を同時に受けることも可能だ。
- 3排卵前の検査
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排卵前のタイミングに合わせて再度受診し、卵胞の発育状態をチェックするための超音波検査や尿中LH検査を受ける。また、性交後の精子の運動状態を見るフーナー検査や抗精子抗体検査なども実施する。受診に際して基礎体温の記録があれば持参するが、負担に感じるなら無理に用意する必要はないという。生理周期に合わせて検査のために来院しながら、生活上の注意など、安定した妊娠・出産に向けてのアドバイスも同時に受けられる。
- 4月経直後の検査
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月経直後に合わせて事前に予約を確保しておき、子宮卵管造影検査と子宮鏡検査を受ける。検査の30分前に鎮痛剤を用いるほか、希望があれば局所麻酔も併用し、ほとんど痛みを感じないことをめざす検査も可能だ。検査結果は都度報告書が作成され、医師や看護師から口頭での説明も受けられる。不妊治療に精通する臨床心理士や遺伝を専門とするカウンセラーも在籍しており、必要に応じて専門的なカウンセリングを受けることも可能だ。
- 5検査結果の総括と診療方針決定
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再検査や精密検査が必要なケースを除き、1ヵ月半ほどですべての検査が完了。男性側、女性側の双方を含むすべての検査結果をまとめ、考えられる不妊の原因やリスクについて説明を受ける。同時に、ケースに合わせた診療方針が提案され、詳しい説明により納得できれば治療など次の段階へと移ることになる。治療に伴う負担やかかる期間・費用など、カップルの双方が正しく理解し、疑問点や不安があれば都度解消することが大切だ。