大月 直子 院長の独自取材記事
リーエデンタルクリニック
(高槻市/高槻市駅)
最終更新日:2024/10/29

もともとこの地で長く診療を提供していた歯科医院を、当時の院長の姪である大月直子院長が受け継ぎ、2013年に新たに開院したのが「リーエデンタルクリニック」だ。阪急京都本線・高槻市駅からバスで約15分。国道170号線から少し西に入った場所にあり、周囲は古くからの住宅街で幹線道路から離れていることから静かなたたずまいである。大月院長は大学卒業後にミヨシ歯科で勤務医として働き、その後は海外生活も体験。予防歯科の先進国であるスウェーデンで暮らした経験から、現在の診療では予防の大切さを提唱・注力しているという。インタビューでは日々の診療への思いやめざす歯科医療の在り方などを、大月先生に詳しく聞いた。
(取材日2024年6月25日)
スウェーデンスタイルを参考にした予防歯科を提唱
こちらの歯科医院では予防歯科に注力されているそうですね。

はい。私が歯科医師になった20年以上前は、歯科医院は「痛いから行く」「痛くなった時にしか行かない」という方が多い状態で、予防が大事だという認識はまだ浸透していない状況でした。当院では2013年に開院した頃から、歯が痛くない時にも定期的に通うことの大切さをお伝えしています。また、虫歯は再発しやすいので、再発を防ぐためにも、定期的な検診が重要だと知っていただく取りくみとして、治療した歯をまた悪くしないための考え方についても少しずつ患者さんにお伝えしてきました。さらに、定期的な検診は、歯周病の予防にもつながります。年を取るにつれて虫歯以上に歯周病の罹患率が高くなってきます。歯周病は気づかないうちに進行するので、定期的な検診でチェックするのはとても大事です。
先生が予防の大切さに着目したのは、どういったきっかけからですか?
主人がスウェーデンの大学で勉強することになり、私も一緒に現地に行って住んでいました。スウェーデンは歯科予防に対する意識が進んでいて、街に暮らす一般の方でも歯科に対する意識をすごく持っていました。例えば、中学生くらいのお子さんでも、自分の歯のことをちゃんとわかってケアをしていてそういう習慣が文化のように根づいているのですね。それがとても大きな印象でした。以前、日本の歯科医院で勤めていた頃は、同じ方が同じ理由で、毎回来院されることを経験していました。スウェーデンに暮らした経験から、根本を解決しないといけないと思いあらためて予防していくことが大事だと思いました。
こちらで掲げられている「スウェーデン・コンセプト」とはどういった意味なのでしょうか?

帰国してこちらで開院するにあたって、スウェーデンの歯科治療のコンセプトを日本に合うようにアレンジしてやっていきたいと考えました。これはスウェーデンでよく目にしたり耳にしていたことなのですが、向こうでは理にかなったことをベースに治療や予防を進めていました。歯科医師の経験上のことが大切な場合もありますが、それ以上に科学的な裏づけがあることは、そのとおりの結果がついてくることがわかっています。科学的に正しいエビデンスがあることをもとに、結果を導き出していく。「スウェーデン・コンセプト」とは、私がスウェーデンで学んだり体験したことに基づいてやっていこうという思いからなんです。
患者に気づかせて、自発的な行動を促すことを大切に
診療で大切にされていることは何ですか?

患者さん自身の「気づき」を促すような働きかけをすることです。ほとんどの場合、治療が必要な状態になった背景・原因があり、その改善を図らなければ、また同じことが起こる可能性が高くなるものですから再発を防ぐためには患者さんに知識をつけてもらい、なぜ治療が必要になったのかの理解を深めていただいてから自主的に予防に取り組んでもらえるようにサポートしています。その一環として、定期検診に「染め出し」を行っています。ご自身はきちんと磨けているつもりでも意外と磨けていないものです。だからこそ染め出してどこが磨けていないかを目で見ていただいています。すると患者さん自身の「気づき」となり自ら歯を大切にしようと取り組んでいただきやすくなると思います。
子どもの頃から歯科医院に通うメリットは何でしょうか?
小さいうちから定期的に歯科医院に通い口腔内の状態を診てもらって、最後にフッ素を塗って予防するという流れであれば、子どもにとって歯科医院が行きたくない場所にはなりにくいと思います。歯医者は痛い思いをするところではなく、歯をきれいにするための場所ですので小さいうちから定期的に通っていただき、歯科医院に慣れてもらうことでこれまでの「歯科医院は痛くなったら行く場所」という考え方も変わっていくと思います。さらに今歯科医院に通っているお子さんが成長して親になった時、正しい知識で子どもの歯を磨けるようになり、高齢になった親御さんの介護の際には体に加えて口腔の健康状態も意識できるようになると思います。
こちらには妊娠中の患者さんも多く訪れるそうですね。

高槻市では妊婦歯科検診の助成制度があります。これまで歯科医院に定期的に通っていなかったけれど産婦人科で「行ったほうがいいよ」と言われて制度を利用して受診され、そこから継続的に通われるようになる方も多い印象です。歯周病は早産のリスクを高めるともいわれているので、歯科検診を受けて早めに治療していただきたいですね。また妊娠中はホルモンバランスが崩れたりつわりの影響から食生活が変わったりするので、ご自身での手入れが行き届いていないと口腔内の環境が一気に悪くなることがあります。また診療を受けて口腔内の現状を把握することでしっかりと歯磨きができるようになり、口腔内の環境の改善につながりやすくなります。
高齢の患者さんも多いと思います。そういう方を診療される際に注意していることはありますか?
高齢の患者さんの中には「最近むせやすくなった」という方もいらっしゃいます。そういう方には、あいうえお体操や寝た状態で首を持ち上げる運動、唾液腺を刺激するマッサージなど、ご自宅でできる簡単な体操をお伝えしています。口腔内は他の部位に関する変化のサインが出やすいので、高齢の患者さんは口腔内だけではなく、体全体の健康も気をつけている方が多いです。高齢の患者さんの中には一人暮らしの方もいるので、少しでもいつもと違う様子があればそれをスタッフみんなで共有しています。接する際には最近変わったことはないかとか、薬が変わっていないかなど、口腔内とは関係ない話もして少しでも変化に気づけるように工夫しています。もしなにか気になることがあれば、ご本人やご家族にお伝えするようにしています。
対話の時間をしっかりと取り、信頼関係の構築をめざす
こちらの歯科医院で大切にされていることは何ですか?

患者さん、特に当院に初めて来られる方は「どんなことをするんだろう」「何をされるんだろう」という不安を抱えてやって来られると思います。少しでも不安の解消につながるように、私たちは信頼関係をつくることを大切にしています。そのために、まず受診した理由をしっかり聞くことを心がけており1時間かけてじっくりお話させていただきます。主訴はもちろん、高齢の方であれば家族構成やご近所に助けてくれる人が近くにいるかどうかなどもお聞きします。
院内ではセミナーを行っているそうですね。
はい。毎月1回ミーティングを開いているのでそのタイミングで、院内セミナーを行っていて、スタッフ全員で受講しています。患者さんの誘導や言葉遣いなど接遇に関する内容、新しく取り入れる薬剤や材料といった臨床的な内容などセミナーで取り上げるテーマは幅広いですね。また外部のセミナーにも参加して、新しい知識や技術を取り入れるようにもしています。
最後に、今後の展望をお願いします。

当院では小児矯正にも注力しています。最近、口をぽかんと開けているお子さんが多く、それに伴う歯並びの悩みを親御さんから多くお聞きしています。そうした子どもたちには矯正だけでなく何からアプローチできるかを考えたところ、そんなに噛まずに済む食べ物を短時間で食べさせる習慣がついてしまっていることに着目しました。そして「食育」が大事なのではないだろうかと考えるようになりました。ですから当院では院内でイベントや日々の健診で、「食育」の重要性もお伝えしています。ほんの少し改善を図るだけでも、しっかりと顎を育てることができます。また高齢により通院ができなくなった方には訪問診療を行っていますので、頼りにしていただけたらうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは顎顔面矯正/44万円~