50歳以上は発症率が高まる帯状疱疹
予防接種と早めの受診が重要
小西皮膚科クリニック
(京都市下京区/丹波口駅)
最終更新日:2023/05/17


- 保険診療
- 自由診療
小さい頃に水ぼうそうにかかったことのある人が、免疫力を失った時にウイルスが活性化し、再び発症してしまうという「帯状疱疹」。アメリカではすでに大人を対象にした予防接種が一般化しており、日本においても2016年から50歳以上に対するワクチン接種が可能となった。その背景には高齢化に伴う患者数の増加がある。中には繰り返し発症する人や重い後遺症に悩む人もいるという。京都市下京区の「小西皮膚科クリニック」の小西啓介院長は、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医の立場から「誰もがかかる可能性がある身近な病気だからこそ、正しい知識を持ち、しっかりと予防をしてほしい」と長年訴えてきた。皮膚科のエキスパートとして帯状疱疹の合併症治療にも精通する小西院長に、症状や対策について詳しく解説してもらった。
(取材日2020年3月10日)
目次
帯状疱疹はまひや神経痛などのつらい合併症を引き起こすことも。正しい知識を持ち、適切な予防を
- Q帯状疱疹とはどのような病気なのでしょうか。
-
A
▲幅広い症例に対応してきた院長
帯状疱疹は水ぼうそうと同じウイルスが原因で起こる病気です。水ぼうそうは多くの人が子どもの頃にかかり、大体1~2週間ほどで症状が落ち着く傾向がありますが、ウイルスそのものが消滅したわけではありません。ウイルスは全身の神経の奥に潜み、再活性化する機会をうかがっているのです。そして、ケガや病気などで免疫力が低下したときに帯状疱疹を発症させます。帯状疱疹の一番の問題は合併症です。治療が遅れると体内のウイルスが増加し、皮膚症状が落ち着いてきたとしてもめまいや難聴、顔面神経麻痺、味覚障害といった神経症状が残ったり、まれに髄膜炎や帯状疱疹脳炎を引き起こしたりします。最悪の場合、命にかかわることもあるのです。
- Q帯状疱疹はどのような症状が出たら受診するべきでしょうか。
-
A
▲さまざまな設備をそろえ、スムーズな検査や治療に備えている
名前のとおり赤い発疹や水疱が帯状に現れたら、できるだけ早く皮膚科を受診してください。また、それらの症状が現れるよりも前に、ヒリヒリ・チクチクする痛みやかゆみが出る場合もあります。これは、潜んでいたウイルスが神経を伝い、傷つけながら皮膚表面に現れる途中の症状です。違和感があってから2週間くらいで発疹や水疱が出たら、たとえ帯状でなくても帯状疱疹を疑い、医療機関にかかりましょう。ちなみに、帯状疱疹自体はうつる病気ではありませんが、水ぼうそうの原因となるウイルスはうつしてしまう可能性があります。ですから、帯状疱疹を発症したら、タオルを共有しないなど、水ぼうそう未発症の人との接触は避けてください。
- Q帯状疱疹はどのような方がかかりやすいのでしょうか。
-
A
▲症状の原因を突き止めて取り除いていくことが最も大切だ
水ぼうそうにかかったことがある人なら、誰でも発症する可能性があります。過労やストレス、ケガや病気、手術、加齢などによって免疫力が低下すると発症しやすくなり、50代以降になるとさらに発症率は高くなるといわれている身近な病気です。一度帯状疱疹にかかっても、免疫は5年ほどしか残らないともいわれています。近年は高齢化も伴って、一生のうちに何度もかかる人も珍しくなくなりました。また、ストレス社会が影響してか、若い世代の患者数も増えています。全体として昔よりも患者数が年々増加傾向にあることからも、かからないようにするためには正しい知識を身につけ、ワクチン接種などを積極的に受けるのがお勧めです。
- Q帯状疱疹の対策や予防について、教えてください。
-
A
▲資料を用いながら、丁寧に説明を行う院長
対策としては、普段から過度な疲労やストレスをため込まず、無理をしないことです。規則正しい生活も心がけ、免疫力を下げないようにしましょう。また、日本では2016年から、発症率が高くなる50歳以上の方を対象にワクチン接種が始まりました。5年に1回程度の頻度で接種するとより発症しにくくなると考えられているので、自費診療ですが積極的に受けていただくのがお勧めです。予防接種に未対応の医療機関もあるので、まずはクリニックに実施しているか確認してみてください。ちなみに当院は帯状疱疹の予防接種に対応しています。副反応が出にくい生ワクチンを使用しているので、少ない負担で接種していただけるでしょう。
- Q帯状疱疹にかかった際は、どのように治療していくのでしょうか。
-
A
▲患者のタイプに応じ治療を行う
飲み薬を1週間ほど服用するのが一般的です。当院では、痛みが残りにくくなるよう赤外線照射も並行して実施しています。目や耳に発症した場合には、他科と連携しながら治療を進めていくことも。治療は早い段階でウイルス量をできるだけ抑え、後遺症や合併症リスクを減らすことに重点を置いています。なぜなら、陰部近くに発症しておしっこが出せなくなったり、神経痛のためにつまずいて骨折したりと、考えもしない病気やケガまで引き起こすことがあるからです。重症化した場合は点滴治療と入院が必要となる可能性もあります。このような事態を避けるためには、定期的な予防接種と、発症したらできるだけ早く医療機関にかかることが大切なのです。
自由診療費用の目安
自由診療とは水痘ワクチン/8000円(税込)※50歳以上