藤野 法康 院長の独自取材記事
筑紫診療所
(福岡市南区/井尻駅)
最終更新日:2026/03/05
西鉄天神大牟田線井尻駅から徒歩7分、井尻六ツ角そばにある「筑紫診療所」。院長を務める藤野法康先生の父が1959年に開業して以来、地域医療の発展に貢献し続けている。同医院は、内科全般を幅広く対応しており、風邪などはもちろん、慢性の病気や生活習慣病の予防などで訪れる患者も多いようだ。取材陣の質問に対しても丁寧に応えようとする姿勢が印象的で、「どんなことでも気軽に相談できる医師でありたい」と優しく語っていた。そんな藤野院長に、医院の診療方針や診療にかける想いについて話を聞いた。
(取材日2020年11月5日)
父より引き継いだ医院で、地域住民の健康を守る
医師を志したきっかけについて教えてください。

子どもの頃は芸術や美術の分野に興味があり、その道を歩もうと思っていた時期もありました。しかし、自らの意志だけでなく周りの評価が多分に影響するものでもあり、その世界の厳しさから進路を変更しました。もともと父親が医師だったのでその姿を身近に見ていて、その背中を追いかけるようになったのです。父は海軍の軍医を経験したのちにこの地域で数少ない開業医として医院を経営していました。時に厳しく、そしてお年寄りや子どもには無論優しく接する父親を見て、憧れを抱くようになりましたね。そして、数多くの人の手助けを自らの腕や知識で行えるという点にも魅力を感じました。
お父さまの代より、長年この地域に根差して医院経営をされてきたのですね。
父親が開院した頃は、本当にこの地域に医院は数軒しかなく、救急病院なども少なかったのです。そこで、救急の対応も含めた総合的な医院として地域の皆さんに来ていただいていました。父は外科医師だったため、交通事故の患者さんなどもよく来ていましたね。私が父と当院で働いていた時は、父が外科を、私が内科を担当していました。現在、当院は内科全般を幅広く診る医院として地域の皆さまの健康の下支えをしています。何か体調が悪い点があればまずは当院に来ていただき、総合的な見地から判断し、より専門的な検査や手術が必要な際は適切な医療機関を紹介する、水先案内人のような役割を果たしています。
総合的に内科全般を診ることにこだわりを持たれているんですね。

私自身が「この病気しか見ません」という医師になりたくなかったというのが大きいですね。もしも専門的な技術を高めるのであれば、大きな病院でその技術を高めればいいと思います。開業医であれば、さまざまな悩みを持った患者さんが来られるのだから、それに対応できる技術と知識が必要です。一番初めの診察を受け持つ私たち開業医が、万が一見落としをしたり気づけない点があったりしたことに後から気づくのが最もつらいことだと思います。だからこそ、患者さんのためにも私のためにも、どんな悩みで来られる方にも最善を尽くして対応することが、私の働く上での軸になっているのです。
患者が主体的に治療に取り組めるように
どのような主訴で患者さんが来られますか?

風邪やインフルエンザなどの感染症から、生活習慣病の治療まで内科に関わる総合的な対応を行っています。長期的に当院に通われる方の中では、高血圧症や糖尿病、高脂血症などの長期的慢性疾患に悩まれている方が多いですね。長く通われている方については、その患者さんの日々の状況や変化に対してこまやかに反応し、わずかな違いに気づけるよう日々心がけています。治療のポイントとしては、いかに患者さんが長く主体的に取り組めるかだと思っています。極端な食事制限をしてしまうと、きっと生活の中で苦痛が多くなります。テレビやインターネットでいろんな食べ物の情報が自然と入ってきてしまうのだから、それを見ながら食事制限をするのは私も嫌ですからね。いかに満足できる生活を過ごしながら治療に臨めるかを大切にしています。
患者さんを診察する中で工夫されている点などはありますか?
基本的に私から患者さんに対して強く言うことや怒ることはありません。行動心理学などから考えても、相手の行動を変えたいと思ったときに「怒る」という選択はほぼ意味がないからです。健康に過ごしてもらうためにも、きちんと適切な頻度で通っていただけることは大切なことです。そのために、患者さんが自ら来たくなるように心がけるのも医師の務めです。簡単なことではありませんが、基本的には相手の行動を褒めるように心がけ、少しでも気分良く自発的に行動してもらえるように日々の接し方に工夫をしています。そういうところから、ドロップアウトしない流れが生まれると思っているからです。
医院での診療のみならず、医師会でのご活動も精力的にされていたと伺いました。

医師会の活動には18年ほど携わっていました。当院だけのことではなく、地域医療の課題を解決する視点でさまざまなアイデアと行動が必要でしたね。当時実際に行ったこととして、まだ普及していなかった在宅医療のような取り組みを進めていました。そして少しずつ地域の病院同士の連携を強め、緊急時のみならずそれぞれの得意分野や状況に合わせて患者さんを紹介しやすくする仕組みづくりにもチャレンジをしました。特に現在では、福岡市南区では地域の開業医と総合病院同士の連携が密になっており、ネットワークができあがっています。長年の経験と知識をもとに、地域の医療ネットワーク構築のために各人がアイデアを出し合って形づくられていますよ。
気軽にいつでも相談できる医師をめざして
診療時におけるモットーは何ですか?

私の診療におけるモットーは、患者さんの話をきちんと聞いて、丁寧に診察をするということ。基本的なことではありますが、聴診・打診・触診とその場でわかることをきちんと把握するのは医師としての基本だと考えています。近頃患者さんから「ある病院では医師と一度も目が合うことがなく、ずっとパソコンのほうを見ていた」という声を聞くこともあります。その医師は自分なりの考えを持っているのかもしれませんが、私自身は目の前の患者さんを診るということに注力をしたいですね。患者さんを直接見て、その上で必要な検査や薬の量などを決めていくことで、必要以上に治療や投薬をしないで済むことにもつながります。また、あってはならない見落としや誤診を防ぐためでもあります。
スタッフの皆さんとの連携が自慢とも伺いました。
当院はそんなにスタッフ数が多いわけではないのですが、10~15年と勤めてくれているスタッフがほとんどです。そのため、長年一緒に働いているからこそ勝手もわかってくれやすく、先回りしてさまざまなサポートをしてくれるので非常に助かっています。また、患者さんとのコミュニケーションも感心するほど丁寧に行っており、診療にも関わる大切な情報をきちんと伝えてくれます。スタッフ一人ひとりの気配りが円滑な医院運営のサポートをしてくれていますね。
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

医院に来ると思うと、きっと身構えたり緊張してしまうこともあると思います。実際、いざ問診の際に何も言えなくなってしまう方もいらっしゃいますよ。そんな方も緊張することなく、ざっくばらんに何でも話していい場所にしたいなと思っています。例えば、健康に関する相談をする場所だと思ってお話に来ていただいても構いません。医師の立場でお答えできることがあれば、丁寧にアドバイスできればと思っています。また、内科の範囲でセカンドオピニオンとして活用していただいても大丈夫です。皆さんの現状を客観的に見つめ、でき得るアドバイスと医療機関の紹介をきちんと行ってまいります。地域の健康を見守る医師として、いつでも皆さんをお待ちしています。

