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下野 高嗣 院長の独自取材記事

津さくらばしクリニック

(津市/津駅)

最終更新日:2021/10/12

下野高嗣院長 津さくらばしクリニック main

津駅より徒歩約15分、バスでもアクセス可能。大型商業施設に隣接する「津さくらばしクリニック」は2017年開業。内科、循環器内科、心臓血管外科、外科を標榜する。院長の下野高嗣先生は長年、母校の三重大学医学部附属病院にて心臓血管外科の診療に従事。その経験を生かし、動脈硬化の予防やその早期発見のために生活習慣病の適切な管理・治療に力を注ぐ。下肢静脈瘤の治療経験も豊富で、日帰りレーザー手術を行っている。「地域のホームドクターとして、風邪や健診などでも気軽に来院を」と気さくな笑顔で語る下野院長に、同院の診療方針や設備などについても詳しく聞いた。

(取材日2020年1月20日)

動脈硬化の早期発見と下肢静脈瘤の日帰り手術に注力

広い駐車場の脇には花や緑が植えられ、院内も広々として居心地良いですね。

下野高嗣院長 津さくらばしクリニック1

いかにもクリニックというような内装ではなく、患者さんがご家庭にいるようにくつろげる落ち着いた感じにしたいと思いました。クリニックの名は地名である桜橋からつけたので、待合室の椅子も桜をイメージした色にしました。外の花は私が手入れしています。花や緑があると患者さんに喜んでいただけますし、私も仕事柄なかなか遠出ができないので、手入れする時間が自分の癒やしにもなっています。家で猫を2匹飼っているのですが、入り口にある置物はその子たちによく似ているので気に入っています。

内科、循環器内科、心臓血管外科、外科を標榜されていますが、診療の特徴について教えてください。

三重大学を卒業後、母校の附属病院に30年以上勤務し、心臓や血管の手術を行ってきました。患者さんの多くは動脈硬化が原因で、早期に治療すれば手術をせずに済んだと思われる方がたくさんいらっしゃいました。前任の病院でも、動脈硬化で脳梗塞を発症し、後遺症に苦しむ患者さんを多く診てきました。そのような経験から、動脈硬化を早期に発見して対処すること、予防のために生活習慣病を適切に管理・治療することで、地域の方々の健康寿命を守っていくのが自分の使命と思うようになりました。もちろんホームドクターとして、風邪やおなかの不調、健診などについても気軽に来ていただけたらと思います。

下肢静脈瘤の治療にも力を入れているとお聞きしました。

下野高嗣院長 津さくらばしクリニック2

はい、下肢静脈瘤の日帰りレーザー手術に対応しています。心臓血管外科専門の医師として下肢静脈瘤の治療も数多く行ってきた経験を生かしたいと思ったのです。患者さんを迎えるための工夫もしました。普通の診察ベッドでは診る角度が限られてしまうのですが、ベッド横の壁に立ってもらうとしっかり診られるので、その際に安定するよう頑丈な縦型の手すりを2本設置しました。手術前後を比べるのにも役立ちます。また、術後に休んでいただく個室のリラクゼーションルームに置くベッドは、リラックスできるタイプがよいと、いろいろ探した末、フルフラットになる透析用のベッドを採用しました。患者さんは広範囲からみえ、遠方からホテル宿泊して来る方もいらっしゃいますね。女性のほうが男性よりも1.5~2倍くらい多いです。

血管検査室を設置し、患者に専門性の高い医療を

診療方針について教えてください。

下野高嗣院長 津さくらばしクリニック3

患者さんに専門性の高い医療を提供することです。例えば、エコノミークラス症候群ともいわれる深部静脈血栓症は、発症すると急に足がむくんだり、痛みが出るなどの症状が現れます。循環器を専門とする医師のいる大きな病院ならすぐ診断がつきますが、一般のクリニックではわからないことも多いんです。腫れたり赤くなったりするので、皮膚科を受診し、軟膏を処方されることもあります。このときできた血栓が血流に乗って肺に達すると命に関わることもあるので、当院では素早く診断が行えるような検査機器を取り入れ、エコー検査もすぐに行えるよう体制を整えています。

検査設備についても教えていただけますか?

動脈硬化を早期診断するため、血管検査室を備えています。血管壁のしなやかさや硬さを調べる、いわゆる血管年齢検査を行います。動脈の内膜肥厚測定検査や脳梗塞の原因になるプラークを調べる頸動脈エコー検査にも対応しています。また、それらに加え、動脈硬化の初期に異常が現れる血管内皮機能の検査を行うことができる検査機器を導入しています。血圧やコレステロール値が高くても自覚症状がほとんどないため、根気よく通院を続けるのは大変です。頸動脈や内皮の検査は画像を目で見ることができるので、モチベーションの向上につながるかと思います。

乳腺や肛門の疾患を診る、女性のための外来も行っているそうですね。

下野高嗣院長 津さくらばしクリニック4

はい。妻の下野一子先生が、木曜の午後に予約制で診療しています。乳腺や肛門疾患の女性は、女性の医師がよいという方が多く、硬化療法による痔核の日帰り治療も行っています。

日曜の午前中も診察されています。

週末に下肢静脈瘤の手術をした方の経過観察、発熱や腹痛などの急患にも対応できるよう、日曜の午前は診察を行っています。特に下肢静脈瘤の日帰り手術は、お仕事をもつ方がご自身の手術や、祖父母など身内の手術の送り迎えに便利な土曜を希望するケースが多いんです。土曜に手術を行ったら、私も翌日にきちんと経過を診たいので、日曜日に診察を行うことは双方にとって安心材料の1つになるでしょう。一般内科のほうでも、日曜は休診のクリニックが多いですから、お役に立てるよう頑張ろうと思ったのです。

患者に近い医療にやりがいを感じて

先生が、日々の診療で大切にしていることは何ですか?

下野高嗣院長 津さくらばしクリニック5

大学病院時代に心臓と血管の専門外来で診療していたスタンスを忘れることですね。より患者さんに近く、患者さんの体全体を診るような診療を心がけています。大きな病院ですと、自分の担当領域以外に問題があるとなれば専門の科にすぐ紹介となりますが、ここにはおなかの不調などさまざまな理由で患者さんが来院されます。自分でも常に勉強を欠かさず、心臓、血管のことだけでなく、患者さんのさまざまな訴えにしっかり対応していくことを大切にしています。

開業を決意し、このエリアを選んだのはなぜですか?

私は関西の生まれで、名古屋で小学校から高校までを過ごしました。大学進学を機に三重に移り、三十数年たつので愛着もあります。心臓血管外科の医師は激務で、深夜に緊急手術を行い翌朝から診察は日常茶飯事。50歳半ばを過ぎ夜間の診療を後輩に任せることも多くなった頃、知り合いの先生から話があり、2013年桑名の森栄病院の院長に就任しました。一般診療に加え下肢静脈瘤の治療も担当しましたが、患者さんにとても近い医療にやりがいを感じました。個人病院でも大規模病院でも下肢静脈瘤の治療を行っているところは少ない、困っている人は多いのではないか。日々それを感じながら開業を考え始めた頃、ここを紹介してもらったのです。実は、昔ファストフード店があって、大学時代によく通りかかり、なじみのあった場所なので選びました。

医師をめざしたきっかけや心臓血管外科を選んだ理由についても教えてください。

下野高嗣院長 津さくらばしクリニック6

中学・高校とも名古屋の公立高校に進学しましたが、父はサラリーマンで造船関係の設計の仕事をしていたので、私も中学くらいまでは漠然と理系に進むのかなと思っていました。そんな中で、成績は良かったので、先生にも「医学部に行けるよ」と言われてその気になったんです(笑)。母が病気がちだったこともあるかもしれません。当時、大学では一般外科と胸部心臓外科それぞれの講座を半年ローテーションで勉強するというシステムでした。研修医として術後の患者さんを見ていると、明け方にはもうくたくたなのですが、患者さんやご家族から感謝の言葉をもらい、「胸部外科はすごいな」と周りにいた学生からも言われて。多くの患者さんの助けになるとやりがいを感じ、最終的に心臓血管外科に進んだんですね。

最後に、今後の展望について教えてください。

開業して2年以上になりますが、今後も専門性を生かした診療をしっかり維持していきたいですね。下肢静脈瘤の治療もどんどん進歩しているので、知識と技術の習得に励んでいきたいです。本当は心臓血管外科の出番が減ったほうがよいわけで、手術の前の段階で食い止めることが大切。それも伝えていきたいですね。

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