畠 将晃 院長の独自取材記事
砂町銀座はた耳鼻咽喉科
(江東区/大島駅)
最終更新日:2026/03/27
買い物客でにぎわう砂町銀座商店街の入り口に「砂町銀座はた耳鼻咽喉科」はある。院長の畠将晃先生は順天堂大学卒業後、関連病院で科長や講師を歴任し、2016年に生まれ育った江東区で開業した。大学時代からめまいを専門に研究を重ね、同院ではVR技術を応用した新しい検査機器の導入により、大規模病院と同等レベルの精密検査を身近なクリニックで可能にしている。キッズスペースを備えた清潔感のある院内は子ども連れでも通いやすく、買い物ついでに家族で気軽に立ち寄れるようなハードルの低さも魅力だ。一つ一つの質問に対して真っすぐ目を見て答えてくれる、温厚で誠実な人柄が印象的な畠院長に、「安心を問い続け、信頼を育む」という理念やめまい診療、地域医療への思いを聞いた。
(取材日2026年2月27日)
商店街の家族で頼れる耳・鼻・喉の医師として
先生が耳鼻咽喉科の道に進まれたきっかけを教えてください。

数ある診療科の中から耳鼻咽喉科を選んだ一番の理由は、守備範囲の広さです。聴覚、嗅覚、味覚、平衡感覚と、視覚を除くほとんどの感覚器が対象になりますから、いわば「感覚器の内科・外科」ともいえる領域なんですね。内科的なアプローチから外科的なアプローチまで幅広く、バリエーションが非常に豊富で、そこに面白さと可能性を感じました。さらに患者さんの年齢層もお子さんからご高齢の方まで幅広く、老若男女を問わないところも魅力です。卒業後は順天堂大学の関連病院で経験を積みながら、地域医療への思いを温めてまいりました。
この砂町銀座商店街で開業された経緯をお聞かせください。
生まれ育った江東区にはもともと愛着がありましたし、最後の勤務先も江東区内の病院でした。いずれはこの地域で開業して地域医療に貢献したいという思いをずっと持っていて、ご縁があってこの場所に開業したのが2016年のことです。おかげさまで今年10年目を迎えました。「商店街にある家族で通えるみみ・はな・のどのお医者さん」というキャッチフレーズを掲げているとおり、買い物ついでにふらっと立ち寄っていただけるような、身近なクリニックでありたいと思っています。院内にはキッズスペースを設け、診察室にはお子さんに人気のキャラクターの絵を飾るなど、小さなお子さん連れのご家族にも安心して通っていただける雰囲気づくりを大切にしています。
お子さんの受診で迷う保護者の方に、何かアドバイスはありますか?

お子さんの風邪で小児科と耳鼻咽喉科のどちらを受診すべきか、迷われる親御さんは本当に多いです。咳も鼻水も同時に出ていると判断しづらいですよね。私が患者さんにいつもお伝えしているのは、「耳・鼻・喉の症状があれば、まず耳鼻咽喉科に来てください」ということです。もちろん小児科と両方を受診されても間違いではありませんし、耳鼻咽喉科で鼻水を吸うだけでもお子さんが楽になることが期待できます。当院には、ご家族そろって来院されるケースがとても多いんですよ。お子さんの鼻風邪をきっかけに、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんと家族全員で受診されることも珍しくありません。ちょっとした症状でも構いませんので、耳・鼻・喉のことなら気軽にご相談いただければと思います。また、当院では近隣の小児科医院や病院との顔の見える連携を大事にしており、必要な際には信頼のおける先生にご紹介できる体制を整えています。
診療理念は「安心を問い続け、信頼を育む」
クリニックの理念に込めた思いをお聞かせください。

医療を長く続ける中で、「安心」とは何かを常に考え続けてきました。医療は本質的に不確実性を伴う分野であり、どれだけ力を尽くしても、すべての不安を完璧に取り除くことは難しいのが現実です。それでも、その前提に立った上で、患者さんが感じる安心の水準をできる限り高いところまで引き上げていくことはできるはずです。では、どうすればその安心を最大に近づけていくことができるのか。その問いを考え、考え続けることを当院の理念としています。スタッフ同士の関係も含めたすべての対人関係において安心を追求することが、結果として信頼を育むことにつながると確信しています。院内では日頃から毎朝の朝礼や勉強会を通じてコミュニケーションを重ね、スタッフが働きやすい環境づくりにも努めています。
患者さんへの説明で工夫されていることはありますか?

日々の診療で大切にしているのは「親切であること」と「目に見えてわかりやすいこと」の2つです。耳・鼻・喉は患者さんご自身では見えない部分ですから、以前は医師だけが所見を確認して説明するしかありませんでした。しかし今は高性能のファイバースコープを使えば、耳や鼻や喉の状態をモニターに映して直接お見せすることができます。自分の体の中がどうなっているのか、目で見て確かめていただくことで、患者さんの理解と納得につながると考えています。所見をお見せするための機器は開業当初から積極的に取り入れてきました。その根底にあるのは、何よりも患者さんに安心していただきたいという思いです。
幅広い守備範囲。めまいの診療にも注力
めまいの診療に注力されていると伺いました。

はい、私は勤務医時代から、めまい診療に力を入れていました。めまいの結果として目の動きに異常が起こるのですが、眼球運動の生理学は非常に奥が深く、その面白さに引き込まれたのがきっかけです。めまいは医学的には耳の病気か頭の病気かに大別できますが、実際には不安などの心因性の要素が絡むことも多く、単純には切り分けられません。患者さんはどこを受診すれば良いかわからず、行った先でも原因がはっきりしないまま別の科を勧められる。私はこの状態を「めまい患者さんの難民化」と呼んでいます。こうした方を丁寧に受け止め、最適解を考え、また必要に応じて適切な診療科へ橋渡しをする、こうした交通整理を行うことで、めまい患者さんの難民化を防ぐことが耳鼻咽喉科医に求められている役割だと考えています。
こちらでは、めまいの原因を調べるためにどのような検査を行うのですか?
新たに導入した機器を使って、眼球運動を正確に把握するための検査を行います。VRゴーグルを用いて仮想の暗室や視覚刺激を再現し、眼球の動きを精密に記録するというものです。こうした検査はこれまで暗室など大がかりな設備が必要で、大学病院規模のところでしかできなかったのですが、ゴーグル一つでそれとほぼ同程度の精度の検査が可能になりました。4月からは予約制のめまいの外来として本格的に運用を開始します。ただ、検査はあくまで補助的なもので、実は診断の7〜8割は問診で方向性を見定めます。「いつ、どんな状況でめまいが起きたか」「そのとき何を感じたか」という情報が非常に重要ですので、受診の際にはできるだけ落ち着いて状況を思い出していただけるとありがたいですね。
幅広く診療されていますが他にも力を入れている分野はありますか?
補聴器の外来を設けて対応しています。補聴器の購入は販売店になりますが、クリニックで受診せずにそのまま購入し、ご自身に合わないものを選んでしまうケースが少なくありません。まずは補聴器が本当に必要かどうか、耳鼻咽喉科で適応をきちんと判断することが大切です。当院では購入にあたっての制度のご案内や、導入後のフォローアップまで丁寧に対応しています。近年、難聴を早めにケアすることが認知症リスクの低減につながるとわかってきましたので、聞こえに不安を感じたらご家族と一緒にご相談ください。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「商店街の家族で通える耳鼻咽喉科といえばここ」と言っていただけるような存在になることが、私の目標です。この場所に根づいて、来てくださる方をきちんと診て、周りの人々をハッピーにしていきたい。その思いで日々の診療に向き合っています。お子さんの鼻風邪から、聞こえやめまいのご相談まで、家族みんなで頼っていただけるクリニックでありたいと思っていますので、耳・鼻・喉に関することであれば、どんなことでも気軽にご相談ください。小さなクリニックではありますが、引き続き地域医療に貢献できるよう力を尽くしてまいります。

