渡辺 眞 院長の独自取材記事
みなとみらい小児科クリニック
(横浜市西区/新高島駅)
最終更新日:2025/06/30

みなとみらい線の新高島駅、みなとみらい駅から、いずれも徒歩で10分ほどのところにある「みなとみらい小児科クリニック」。院長の渡辺眞(しん)先生は10年間、けいゆう病院に小児科の医師として勤務した後、2017年に同院を開業。以来、子どもたちの体調や負担軽減を第一に診察を行い、地域の小児医療に貢献し続けている。2024年には、院長と志を同じくする内藤陽子先生が加わったことで英語での診察も可能になり、この地区ならではの多くの外国人患者のニーズにも応えられるようになった。病気に限らず、子どもの成長・発達と、育児のサポートにも注力。乳児健診や入学前健診の他、インフルエンザなど各種予防接種も対応し、健康に対する意識が高い保護者の要望にも答えている。新たな診療体制を基盤とした今後の取り組みにも注目だ。
(取材日2024年11月27日)
みなとみらいならではの多様なニーズに対応
2017年の開業以降、この地域と患者さんをどのように感じていらっしゃいますか?

私は開業以前には10年にわたってけいゆう病院に勤務していたので、元々このみなとみらい地区には「地元感」を感じていました。実際、小児科はもとより他科の先生との交流もあって、病院との連携もスムーズですので、いろいろな面で地域医療に貢献できると考えてこの場所にクリニックを開いたんです。この地域には、若いご夫婦と小さいお子さんといった構成のご家族が多くお住まいで、一定期間住まわれて、引っ越していかれる方も少なくないので、常に新しい患者さんと出会い続けているような感覚がありますが、その都度皆さんに頼りにしていただきうれしく思っています。
この地区ならではの患者さんの特徴はありますか?
皆さん、健康に関する意識を高く持っていらっしゃいますね。お子さんの症状に関してご説明する際には、非常に積極的にコミュニケーションを取っていただけます。例えば、予防接種の際には、事前に配布された注意事項などをきちんと読んで理解してから来院される方が多いですね。私が研修医時代に師事していた先生に言われたのが、「子どもの症状は、自然と良くなるものが多いから、それをサポートしてあげるのが小児科の仕事。けれども中には医学的介入が必要な場合がある。それをきちんと見極めるのが、小児科の医師として重要な役割だ」という言葉でした。これが私の診療の根底にあります。ですので、お子さんの様子をより的確に把握するにあたり、親御さんの理解度の高さと協力的な姿勢には非常に感謝しています。
外国人の患者さんも診ていらっしゃるそうですね。

ええ。日本に赴任されて、この地域にお住まいのご家族がいらっしゃるというケースもありますし、近辺にはインターナショナルスクールもたくさんありますので、外国人の患者さんは多いですね。また新型コロナウイルス感染症の流行以降、特に目立って来られるようになったのが、訪日観光客の方です。この地区にはホテルもたくさんありますので、滞在中の方が最寄りの小児科クリニックを探して当院を受診されることも多いです。旅先でお子さんが急な不調を訴えられて、とてもご心配だと思いますので、安心して帰っていただけるよう、少しでも助けになりたいです。
理想の医療の実現に向けて二診体制を確立
内藤先生とお二人で診察する体制になった背景を教えていただけますか?

2024年5月から英語での診察もできる内藤陽子先生に加わっていただき、念願の二診体制を実現することができました。背景の一つには、たくさんの患者さんに来ていただくなかで、1人での診療に段々と限界を感じていたことがあります。患者さんにじっくり向き合いたいにもかかわらず、お一人お一人にかける時間が減ってしまう、急いで受診したい方もいらっしゃる中、お待たせすることになる。そこで症状が悪化してしまう恐れもあるなど、いろいろと課題や懸念がありました。当院は原則予約制ですが、直接来院される患者さんも診ています。しかし、そちらに手が回らなくなってきて、なんとかしなければいけないと考えていたところに今回のご縁ができてとても心強く感じています。
内藤先生は研修医時代の同期なのですね。
はい、医科大学を卒業して研修医になった時に初めてペアを組んだ仲間、非常に信頼の置ける同期です。僕がずっと小児科診療のモットーにしている言葉をいただいた先生のもとで一緒に学んでいました。これまで職場が一緒になることはなかったんですが、この度、内藤先生に来ていただけることになったわけです。同じスタンスで子どもたちと親御さんに向き合ってきた先生ですし、女性の医師がいることで、男性の医師には少し伝えにくい悩みを持つような難しい年頃の女の子やそのご家族も、より安心して受診できる体制が整いました。
内藤先生は英語もご堪能だとか。

内藤先生は、学生時代をカナダ、アメリカで過ごした経験があり、ネイティブレベルで英語のコミュニケーションをとることができます。これまで翻訳機に頼っていた外国人の患者さんへの説明も、細かいニュアンスまで丁寧に伝えることが可能になりました。外国人の患者さんにより安心して受診していただけるようになったと思っています。
新体制での今後の新たな取り組みにも注目
改めて、お子さんの診療において大切にされていることをお聞かせください。

新型コロナウイルス感染症が流行して以降、子どもたちは検査に縛られがちになっている印象があります。お熱が出ただけで、すぐ保育園から「検査してきてください」と言われたりもするようです。ただ、お子さんの場合、症状が出てすぐ検査しても正しい評価ができないことがあります。ですので、不要な検査はできるだけ行わないようにしています。また、不要なお薬も出しません。お子さんにとって負担になったり痛みを伴ったりする場合は、ひとまず様子を見るという判断も重要だからです。もちろん、すべてがそうではなく、何が必要かを見極めて対応するのが大切だとも思っています。重病の場合など、必要に応じて速やかにしかるべき病院をご紹介するようにしています。
昨今の傾向から、お子さんたちの病気で気を付けるべきものはありますか?
新型コロナウイルス感染症以降目立っているのは、子どもたちの感染症の流行の特徴がその年によって異なるという点かと思います。今年は手足口病、今はマイコプラズマ肺炎、そしてロタウイルス感染症など。これまでは、夏ならば手足口病やヘルパンギーナが多めに出がちで、冬ならばインフルエンザなど、流行する季節がある程度決まっていたものが、年中通してフラットに出るような病気も増えてきました。ですので、季節外れに流行する感染症には注意を払っていただきたいですね。その上で、心配なことがありましたら、ぜひ受診してください。
最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いします。

内藤先生に加わっていただき、これまで以上にしっかり診察できる体制になりましたので、これからは例えば「食欲がない」とか「体がだるい」といった、ちょっとした症状でもご相談いただける場所にしていけたらなと考えています。それは日本の患者さんも外国の患者さんも同様です。もともとこの地域の皆さんが健康的な生活を送れるよう、少しでもお手伝いしたくて開業しましたので、そのためにできることは積極的に取り入れていきたい考えです。また、RSウイルスワクチンの妊婦さんへの接種など、今後も患者さんのニーズに合わせてさまざまな医療を提供していこうと考えています。ぜひお気軽に頼っていただければうれしいですね。