阿部 祐三 院長の独自取材記事
笹出線歯科クリニック
(新潟市中央区/新潟駅)
最終更新日:2021/10/12
新潟駅から徒歩13分、車5分、公共交通機関でも自家用車でも通いやすい立地に2017年開院した「笹出線歯科クリニック」。院長の阿部祐三先生は、日本歯周病学会歯周病専門医であり、開院前は日本歯科大学新潟病院に勤務し多くの歯周病治療に携わってきたスペシャリストだ。阿部院長の診療スタンスは、なるべく「削らない」「抜かない」こと。そして、病気の原因にアプローチする根本的な治療をめざす。「お口の健康を獲得するには、患者さんご自身の理解と実行も必要です。そこに気づいていただけるように日々取り組んでいます」と話す阿部院長。患者自身が理解できるまで説明をするという診療へのこだわり、患者の健康を願う想いやセルフケアの重要性など、さまざまな話を聞いた。
(取材日2021年1月8日)
歯科治療のスタートは、歯周病治療から
このエリアに開院された経緯を教えてください。
当院は2017年に開院しました。それまでは16年間、日本歯科大学新潟病院に勤務し、診療や研究に加えて、講演や学生への授業など数々の業務を行っておりました。大学病院で経験を積む中で、1人の歯科医師として患者さんお一人お一人に相対して治療したいという想いが強くなり、開院を決めました。私の出身は長岡市なのですが、開院するにあたり重要視したのがアクセスの良さです。患者さんが車でも、電車でもバスでも通えるエリアを探していましたら、ちょうどこのビルが見つかりました。通いやすい立地ということもあり、もともとお住まいの地域の方も来院されていますし、このエリアは単身赴任や転勤族の方も多いですね。そのため、インターネットで検索されて来院される方が多いのも特徴ではないでしょうか。
歯科医師をめざし、また歯周病をご専門としたきっかけは?
両親が歯科医師で、自宅の1階が歯科医院だったんです。実家は兄が継いで現在も診療を続けています。そういった環境で両親の姿を見て育ったので、進路を考えたときには自然な流れで、私も歯科医師をめざしました。実家は地域に根差した一般的な歯科医院なのですが、大学生になり学ぶ中で、歯そのものだけを診るのではなく、その歯を支える歯茎や骨の知識が必要なのではないかと考えるようになりました。歯茎や骨とはすなわち歯周病につながります。ひいては、歯周病の知識がないと歯科治療は成立しないのではないかという考えに至りました。そのため、さらに学びを深めるために大学院へと進み、歯周病を専門とする歯科医師となりました。
歯周病治療の必要性について教えてください。
歯だけを治療しても、その歯を支えている歯茎や骨が健康でないと、口腔内の健康は維持できません。私は歯科治療のスタートは歯周病治療だと考えています。さらに言うと、歯を失う主な原因は実は歯周病で、軽度から重度のものを合わせると、ほとんどの日本人がかかっているともいわれています。痛みなどの症状が少ないのが特徴で、歯茎や骨が壊されていき、気がつかないうちに骨を溶かしてしまう怖い病気です。さらに、歯周病に慢性的にかかっていると全身への影響も引き起こし、糖尿病をはじめ、誤嚥性肺炎などのリスクも高まりやすいといわれています。歯を守るためだけではなく、全身的な健康を維持するためにも、歯周病の治療や予防はとても大切ですね。
原因を除去し、根本的な治療を心がけたい
診療スタンスを教えてください。
なるべく歯を抜かず、必要以上に削らずに、可能な限りご自身の歯を残せるように治療をしています。一度削った歯は元には戻りませんし、繰り返していると歯の健康寿命を縮めてしまいます。そのためにも、虫歯や歯周病の治療が終わったあとには、予防がとても重要になります。当院では、疾患の原因を特定して根本的な治療をめざす「原因除去療法」という考え方を取り入れ診療にあたっています。虫歯や歯周病などお口のトラブルの発症には必ず原因があり、そこを改善しなければ本当の意味での治癒や予防はできないと考えています。また、よくある症例で「歯がしみるのですが虫歯でしょうか?」と来院されるのですが、そのほとんどは虫歯ではなく知覚過敏なんです。そして、知覚過敏の原因は患者さんの噛み方の癖からくるものが多いです。この場合は噛み合わせを診させてもらい、患者さんご自身の癖を直すこと、これが根本的な対処法になります。
診療で心がけていることはありますか?
患者さんご自身に「気づいてもらうこと」が大切だと考えています。原因を取り除き、予防・改善していくにはセルフケアがとても重要です。ですので、患者さんにも治療に参加していただきたいと思っています。患者さんは治してもらいに来院されるのですが、その感覚を変えていただきたいですね。治してもらうのではなく、一緒に治していく。それには、ご自身のお口の状態やセルフケアの重要性をご理解いただかなければなりません。そのためにも、患者さんお一人お一人としっかりお話ができるようにカウンセリングルームを設け、納得いただけるまで丁寧に説明することを心がけています。
日々の診療でやりがいを感じるときはいつですか?
丁寧に説明することを大切にしていますので、患者さんから「そんなことは初めて知りました」もしくは「そういったことが大切なんですね」と言っていただけると「伝えられてよかった」と感じますし、ご理解いただけたんだなと思いますね。今までは歯科治療は歯科医師にすべてお任せで受け身だった患者さんが、当院に来られると、そのギャップに驚かれることもあります。そのギャップを埋めて「治してもらうもの」ではなく、「一緒に治していくもの」だという感覚に変えていきたいですね。そして、治療終了後にも予防歯科で通ってもらうのがベストだと考えています。現在も大学病院時代の多くの患者さんが、開業後も遠方から当院にいらっしゃっています。治療が終わってからも、セルフケアを実施されて定期健診でおみえになるので、皆さん長いお付き合いになりますね。
患者自身も理解できる対話を。ともに治していきたい
スタッフの方の教育体制について教えてください。
歯のブラッシング指導やセルフケア方法のトレーニングを患者さんに提供しています。より良い技術を提供するためにも、日々の診療だけではなく勉強も必要です。講習会に参加したり、院内でも勉強会を開催しています。将来的にはクリニックをもう少し広くして、院内に研修ルームを設置できればとも考えています。患者さんへの対応でスタッフに伝えていることは、常に客観性を持って、患者さんの想いを聞くように指導しています。そして、患者さんのお話を要約し、自分の言葉できちんと確認をすることです。どんなに丁寧にお話を聞いていても、捉え方の違いは誰もが起こることだと思います。大切なことは行き違いをなくすことですので、確認をすることで未然に防げると考えています。
休日はどのようにお過ごしですか?
冬の間はスキーの練習をしていて、夏はそのためのトレーニングをしています。スキーは子どもの頃から続けている趣味で、国体予選に出場もしています。スキーを長く続けられるように体力づくりをしていて、過去には新潟シティマラソンにも10回出場しましたね。食事面では、炭水化物は朝だけにしています。昼食を軽くすると仕事面での効率も良いんですよ。他には、揚げ物や脂肪分が多いものは避けるようにしていますね。おいしくて大好きなんですが(笑)、健康維持のためにも、極力食べないように頑張っています。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします
一般的にいわれる歯科治療は本当の意味では治ってはいないんです。つまり削って詰めて、人工物で歯の機能を維持している状態で、元の姿に戻ったわけではありません。アメリカでは「フロス・オア・ダイ」という言葉があり、「フロスをしますか、それとも死を選びますか 」という意味です。このように欧米ではセルフケアの重要性がとても浸透しています。皆さんが健康を獲得するためには通院も大事なのですが、通院するだけではなく、ご自身の生活の中で改善するところを理解して、実行することが大切です。そうすることによって、やっと健康を獲得できるのではないでしょうか。ご自身で向き合い、いろいろな気づきをしていただけたらと思います。その中で疑問などが出てきましたら、お気軽にご相談いただければと思います。さまざまな視点で原因を突き止めて、適切な処置をし、根本的な治療ができるように指導をさせていただきます。一緒に治していきましょう。