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上田 嘉代子 院長の独自取材記事

神楽坂レディースクリニック

(新宿区/牛込神楽坂駅)

最終更新日:2023/12/05

上田嘉代子院長 神楽坂レディースクリニック main

老若男女、多くの人が行き交う神楽坂。その毘沙門天近くのビルに、「神楽坂レディースクリニック」はある。院長の上田嘉代子先生は東京女子医大女性生涯健康センターなどで更年期障害や摂食障害の患者を数多く診療するなど、経験豊富な女性医師。丁寧に患者の話を聞き、対処療法だけに終わらず、病気の背景までしっかり見極めて診療をしてくれる。自身も3人の娘の母親で、積み重ねてきた女性としてのキャリアが診療に生かされ、不調を抱える患者にとっては心強い存在だ。開業したばかりの明るく清潔なクリニックで話を聞いた。

(取材日2017年5月19日)

心身の不調を身の回りを考え直すきっかけに

どういったきっかけで神楽坂で開業なさったのでしょうか。

上田嘉代子院長 神楽坂レディースクリニック1

住まいが近いこともありますが、神楽坂は人通りも多く、しかも年配の方から若い方まで、年齢を問わず訪れる町だというのがひとつの決め手になりました。私は定年退職後に開業したのですが、これまで多くの患者さんを診てきた経験を生かして、これからの人生は、多くの方、特に若い方たちに、女性の体についてしっかり知っていろいろと考えてもらえるよう、知識の普及に努めていきたいと思っています。その意味でも、ここは女子大や理系大学などさまざまな学校が多いのもいいなと思ったところです。

先生は「東京女子大女性生涯健康センター」に長くお勤めだったそうですね。

時間をかけて患者さんのお話をうかがう機会に恵まれ、ストレスやホルモンがいかに女性の体に大きな影響を与えるかということを身近で見てきました。その経験を今後の診療にも生かしていきたい。特に若いうちから自分の体について知っておくことが大事な世の中になってきました。例えば骨粗しょう症という病気がありますが、骨量というのは18歳ぐらいがピーク。その頃ダイエットをして生理が止まってもあまり疑問に思わないでいたりすると、後々影響が出てきます。毎月ちゃんと生理があるということは体が今いい状態であることを教えてくれているわけで、逆にそれが不順になったり、止まったりしたときは何か原因があるんです。それは何なのか。ストレスがあるのか、あるいは仕事の環境なのか。自分の身の回りを考え直すきっかけにして、治療していくというのがクリニックの姿勢です。単純にピルやホルモン剤を出せばいいということではないと思っています。

やはりストレスは大きな問題でしょうか。

上田嘉代子院長 神楽坂レディースクリニック2

今女の人はいろいろなことを要求されていますよね。男の人と同等に仕事をし、出産する方もいれば、同時に介護をされる方もいます。特に仕事の面でストレスを抱えている方が多いように思います。今の仕事社会は男の人が作り上げたものですから、女性の生理という視点は入っていません。ですからなるべく要領よく(笑)、若い男性の部下に回せる仕事は回すなどして、自分の女性としての体調を確保しながら仕事をしていくように考えたほうがいいですね。

摂食障害の患者さんもたくさん診ていらしたとか。

摂食障害は自我が確立される若い頃に陥りやすい病気で、精神的な部分と結びついています。周りのみんなが痩せてきれいになったから自分も、と体重が増えることに不安を覚えるところが始まりです。一度そういう流れに入ってしまうと、回復するまで時間がかかります。そういうときというのは子どもを生みたいという気持ちが治療の一番のモチベーションにもなります。そこをしっかり応援して、ご自分のことを受け入れ、肯定的に見られるようにアドバイスしていくのが私たちの役割ですね。

若い頃から定期的な検査が大事

若い世代への知識の普及ということでは、院内セミナーもお考えだとか。

上田嘉代子院長 神楽坂レディースクリニック3

定期的にその時どきでテーマを設けて、待合室に座れるぐらいの少人数でのセミナーを開いていきたいと思っています。例えば、春なら新入生を対象に、大学1年生から4年生までそれぞれが陥りやすい状況、注意しなければならないことなどをお話し、その後質疑を受けるという形で、参考にしてもらえたら。女性の場合それぞれの年代で気をつけることがありますから、若い方ばかりでなく、いずれは更年期の方に向けてお話することも考えています。

若い人に女性の体について知識が必要なのはなぜでしょう。

先ほどお話した骨粗しょう症もそうですが、女性の一生にとってホルモンは大きな役割を果たしています。別の言い方をすれば、ホルモンが働いていることで健康を担保されているんですね。骨量、高脂質症、血管の動脈硬化の進展などみなホルモンが関わってきます。それにどのように対処するか。また子どもを生むには年齢制限がありますから、後から悔やむようなことにならないようになど、体について知っていることで大きく言えば生き方も変わってくると思います。

検査も大事なんですね。

上田嘉代子院長 神楽坂レディースクリニック4

性感染症、子宮がん、子宮内膜症、子宮筋腫といった婦人科の疾患は若い頃から検査をしてチェックしておくことが大事です。いざ子どもを生もうというとき、内膜症が進行して子どもができにくくなっていたということもありますから。もうひとつわかりやすい例でお話すると、子宮頸がんの場合、検診の目的はがんそのものをみつけることではなく、がんになる前の病変を見つけて、その芽を摘むことにあります。今は区の健診で2年に一度無料で検査が受けられます。定期的に検査を受けていただきさえすれば病気になる前に病変が見つけられる、たいへんお得な健診なんですね。そういったことを多くの若い方に知っていただきたいのです。

なぜ産婦人科の医師を志されたのですか。

研修で各科をひととおり回った時、産婦人科で帝王切開に立ち会ったのですが、赤ちゃんが生まれたとき、みんながニコニコしながら周りに集まってきて、「ああ良い科だなあ」と感じました。唯一生産的な科ですし、内科的な要素も外科的な要素もあって全身を診られるのもいいなと思いました。

ベテラン女性医師に診てもらう安心感を与えたい

産婦人科は女性としての経験が診療に生かされますね。

上田嘉代子院長 神楽坂レディースクリニック5

実人生での自分の幸福も不幸もすべて患者さんの理解につなげることができるのは、本当にありがたいですね。更年期の患者さんなど若い20代の医師より、すでに更年期も終わっているおばさんに相談するほうが(笑)、実際わかってもらえると思いますし。そういう意味では長年経験を積んできた医師に診てもらうメリットはあるかもしれません。

相談するほうも心強いです。

例えば40代で子どもを生んで子育ても大変、仕事も中間管理職で大変、その上お父さんの具合が悪くなって介護もと、とうとう調子を悪くなさって来院なさった方がいました。それは完全に過労で抱えている荷物が多すぎるでしょうとお話しました。診断書を出して仕事を2週間ほど休んでいただいたのですが、それだけで元気になられたので、今度は何が自分にとって大事なのか、優先順位をつけてみるようアドバイスしました。ご自分で交通整理ができるよう、お手伝いをしている感じでしょうか。

お忙しい中、リラックスなさるのはどういったときですか。

上田嘉代子院長 神楽坂レディースクリニック6

子どもが娘3人なもので、時間が合えば一緒に旅行したり温泉に行くのが楽しみですね。最近は歌舞伎とアイススケートを融合させたショーを見に行きました。面白そうなものを見つけては「お母さんも行く?」と誘ってくれるんですよ。娘は3人とも医師になりました。専門は小児科、乳腺、腎臓内科とそれぞれです。開業したのは、娘たちにこういう生き方もあると後ろ姿を見せたい気持ちもあったように思います。

最後に読者にメッセージをお願いします。

何よりもまず自分の体を大事にしてください。仕事をしている方によくお話するのは、会社はあなたの一生に責任を持ってはくれませんよということ。主婦の方でも旦那さまやお子さんの生活に合わせて自分の体はなおざりにしがちです。でも心身の健康がすべての基本です。それが崩れてしまうと、いろいろなことに支障が出てきます。何か不安なことがあれば、ちょっとしたことでもご相談においでください。お目にかかってお役に立てればうれしいですね。

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