三宅 甲太郎 院長の独自取材記事
三宅歯科クリニック自由が丘
(目黒区/自由が丘駅)
最終更新日:2025/07/14

自由が丘駅の目の前にある「三宅歯科クリニック自由が丘」を訪ねた。院内はサロンのような落ち着いた雰囲気で、歯科医院に来たことを忘れるようだ。院長の三宅甲太郎先生はスポーツ好きとあって、爽やかな印象。それでいて、やわらかく洗練されたイメージもある。開業から8年が経過し、紹介で来院する患者も多いという。カウンセリングに時間をかけ、オーダーメイドの治療計画を作成するという同院。なぜそこまでじっくり患者と向き合うのか、その思いを三宅院長に聞いた。
(取材日2025年6月4日)
歯科医院のイメージを払拭した院内で患者に安らぎを
落ち着いた内装がとてもすてきですね。院内でこだわった点を教えてください。

ありがとうございます。内装はいわゆる歯医者っぽくならないように心がけました。真っ白な院内で白衣の先生が待っている、そんな従来のイメージだと患者さんも怖いと思い、落ち着いた雰囲気にしたかったんです。中でも診療室にはこだわりました。まず患者さんのプライバシーを守るために、すべて個室にしています。隣の患者さんの歯を削る音や話し声が聞こえるのが気になる方もいるでしょうから。また治療の点から見ても、歯や詰め物を削った時に出る削りかすがほかの患者さんの口に入りにくいなどのメリットがあります。機器の面でも、そうした削りかすや水しぶきを吸引する口腔外バキュームを設置しました。また、診療室は広くスペースを取っているので、お子さん連れのお母さんはベビーカーと一緒に入っていただくこともできます。ただ、完全な密室にしてしまうと圧迫感が出てしまうので、一面は半透明なガラスで仕切りました。
設備も先進のものをそろえているそうですね。
そうですね。開業時から精密な治療を心がけていますので、治療箇所を数十倍にまで拡大できるマイクロスコープを使用しています。そのほか、口腔内スキャナーや高画質・高倍率で口腔内を撮影できるカメラも導入済みです。当院では、画像を使用して患者さんに説明を行いますので、よりわかりやすく示すためにもこれらの機器は重要です。また、できるだけ早く痛みを抑えるための処置ができるよう、半導体レーザーを使った治療なども行っています。
診断結果を説明するためのカウンセリングルームを設けていると伺いました。

はい。検査や治療は診療室で、診断結果の説明はカウンセリングルームで行っています。やっぱりユニットに座っていると、どうしても緊張してしまいますよね。当院では患者さんへの説明を、60〜90分ほどかけてじっくり丁寧に行います。そのため、患者さんがリラックスして、楽な姿勢で話を聞ける部屋が欲しかったんです。また、当院では患者さんに少しでもわかりやすく説明するために、自作した資料や検査写真などのデータもたくさん使います。落ち着いた環境でじっくり治療について考えていただくためにも、カウンセリングルームを設置して良かったと思います。
オーダーメイドの診断に向けた丁寧なカウンセリング
1時間以上かけて診断結果を説明するのですか?

はい。患者さんの口腔内の状況にもよりますが、当院では初診の際、私と歯科衛生士それぞれによる計2時間の検査を行います。そうして患者さんが訴える症状はもちろん、お口の中全体の状況を確認しているんです。なぜかというと、例えば歯が1本ない患者さんがいらっしゃったとします。この時、そこにインプラントを入れて終わりで良いかというと、それは治療とはいえません。そもそもなぜ歯がなくなってしまったのか? どういった原因があったのか? そこを究明しないと、また同じことが起こってしまう可能性があるからです。だからこの原因を見極めるために、またほかに異常がないかを確認するために、じっくり検査を行います。そのため、説明にもそれだけの時間が必要なんです。
具体的にどのような検査やカウンセリングを行うのでしょうか。
まず、検査ではエックス線や歯科用CTなどで画像を撮影したり、歯一本一本の噛み合わせ・関節・筋肉の動きなどを診たりします。さらに、わかりやすさを高めるため、全員の歯の模型を作っています。こちらを用いて、私自身もお口の外で、しっかりと噛み合わせを検査を行い、その後、検査結果をしっかりと説明します。できるだけ視覚的にわかりやすいツールで現状の説明をしつつ、なぜ悪くなってしまったのか、その原因を探ることを大切にしています。そして、患者さんのご希望やライフスタイル、ご年齢などを勘案し、複数の治療の選択肢をご案内します。それぞれの治療によって費用や治療期間の長さが異なるため、そうしたことも踏まえて患者さんに選択いただくことが大切です。事前に細かく計画を立ててから治療をスタートすると、患者さんも安心ですし、私も治療に集中できるので、丁寧なカウンセリングは双方にとってメリットがあると思っています。
紹介で来院される患者さんも多いとお聞きしました。

ありがたいことに、開業時から通院している方も多いですし、患者さんからのご紹介も多くいただいています。実は、昔は、口腔内全体を診ずに患者さんの訴えだけを解消するための「木を見て森を見ない治療」を行っていたんです。その当時と今では患者さんの納得感に大きな差があると考えています。今の診療スタイルですと、ほかの歯の治療が必要なケースも出てくるので治療期間が長くなることもあります。例えば、インプラント治療では、噛み合わせに不具合がある場合、かぶせ物を仮歯に置き換えて最終的な整った状態をシミュレーションしてから治療をするので、どうしても時間がかかるんですね。でも、じっくり説明することで、患者さんにモチベーションを保っていただけるよう心がけています。目に見えるデータや模型を使うことも、説明に信ぴょう性が出るので、患者さんの納得度の向上につながると考えています。
歯を10年以上持たせるための治療計画を重視
口腔内全体を診るスタイルを身につけたきっかけを教えてください。

開業前にいたクリニックでの学びですね。私は日本歯科大学を卒業後、千葉県鴨川市にある亀田総合病院の歯科部門で臨床研修を行いました。そこで研修修了後も2年半ほど働いた後、東中野にあるクリニックで予防歯科について教わりました。その後、治療技術をもっと学びたいという思いから、開業前に勤めていた寺西歯科医院へ移ります。ここで学んだのが、今のスタイルの基礎にある「診査・診断・治療計画をしっかり立てられるようになりなさい」という教えですね。治療計画では歯を10年以上は持たせるための治療内容を考えています。そのために心がけているのが、「やり直しのない治療」です。歯は治療すればするほど駄目になっていってしまうので、きっちり原因を究明して、1回の治療で症状を取り除けるように心がけています。
専門性に特化せず幅広く診療を行うのも、今のお考えに関係しているのでしょうか。
そうですね。やはりお口全体を診る歯科医師でありたいので、専門性に特化するのではなく幅広く診療できることを大事にしています。口を作っているのは歯であり、筋肉であり、骨です。さらには歯列のアーチと噛み合わせも関係しています。たとえ1つの箇所に100点の治療をしたとしても、全体のバランスが崩れてしまっては本末転倒でしょう。もちろん、部分的に治療してもほかに影響しない場合は問題ありません。しかし、そうした患者さんはごくわずかです。私の師は、口腔内全体を診ることを大事にされてきた先生で、特定の箇所の100点よりも口腔内全体の平均点を重視されていました。そうした診療姿勢に憧れている面もあります。ただし、私が何でもできるわけではありません。当院で難しいと判断した場合には、提携するクリニックや病院をご紹介しています。
では最後に、今後の展望を教えてください。

基本的には、今の方針を変えずに診療を続けていきたいと思っています。おかげさまで患者さんが多くなってきましたが、すべての患者さんを私の責任で診療したいという思いは変わりません。ゆくゆくは院内技工にも取り組みたいという夢もあります。歯科技工士と歯科衛生士、そして歯科医師である私が顔を合わせながら治療できる、そんなクリニックが理想です。また私自身は今、複数の勉強会に所属して、患者さんの症例発表を行ったり、ほかの歯科医師と議論を重ねたりするなど、知識と技術を磨いています。今後もさらに研鑽を積んで「あそこなら、安心して自分の歯を守ってもらえる」、そう思ってもらえるクリニックにしたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療(検査など込み)/50万円~、部分矯正/11万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/22万円~