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木村 敬次リチャード 院長の独自取材記事

リチャード歯科

(春日市/博多南駅)

最終更新日:2025/01/14

木村敬次リチャード院長 リチャード歯科 main

新幹線車両基地のある博多南駅から徒歩8分、閑静な住宅街の中に位置する「リチャード歯科」は障害者歯科に特化したクリニックだ。一般歯科はもちろん、身体障害者や知的能力障害者、あるいは歯科恐怖症、有病者などの診療に幅広く対応。拘束下の治療ではなく、徹底的なコミュニケーションや心理学を生かした手法を取り入れ、不安を取り除いた上での治療がモットーだという。木村敬次リチャード院長は「体が不自由であったり、歯科が怖かったりしても、ストレスなく無理をしない治療ができるということを知ってほしい」と話し、事前の見学も受けつけている。笑顔と飾らない会話が印象的な木村院長に、障害者歯科に取り組むスタンスをはじめ、クリニックの特徴などについて詳しく話を聞いた。

(取材日2022年4月4日/情報更新日2024年12月25日)

障害者や有病者など広く受け入れる専門クリニック

耳なじみのない障害者歯科ですが、一般の歯科との違いはあるのでしょうか?

木村敬次リチャード院長 リチャード歯科1

簡単に言えば、保険診療での特別対応で、歯科に対して不安を感じていればそれを払拭し、体が不自由な方、姿勢に異常がある方などの診療にも対応できるというのが大きな特徴です。笑気吸入鎮静法、静脈内鎮静法、全身麻酔法での対応ができる点も、一般的なクリニックとの違いの一つ。それらに加え、行動心理学を応用した患者への対応というのも珍しいかもしれませんね。障害者歯科については特別な技術が必要だということではありませんし、経験があるからこそできるというものでもなく、願わくばどの歯科クリニックでも対応できるようになればと思っています。

なぜ障害者歯科に専門的に取り組もうと思われたのでしょうか?

最初から専門的にやろうと思っていたわけではないんです。勤務医時代に障害者歯科に取り組む先生に出会い、誘っていただいたというのが最初のきっかけではありますが、実際携わってみると非常にやりがいのある診療だと感じました。どうやったら患者さんが安心して治療を受けられるか、どうやったら恐怖心を拭えるかなど考えることがたくさんありますし、何よりやりがいのある仕事として魅力があり、ライフワークとして取り組んでいきたいと思っています。それに大学病院の障害者歯科では遠方から来られている患者さんが多く、通院の負担を減らすためにも地域で対応できるクリニックがあればと考え、2016年にリチャード歯科を開業しました。

広々とした空間が印象的ですが、随所に患者さんへの配慮がうかがえますね。

木村敬次リチャード院長 リチャード歯科2

ここはもともと内科のクリニックがあったところで、大きな窓の開放感は不安感を和らげますし、すべてフラットな床は車いすの方でも移動しやすいんです。また入り口前に車を横づけできる造りになっていて、イメージに近い施設でした。その施設をもとに、車いすの方でも利用しやすい広いトイレを2ヵ所設置し、エックス線検査室も、狭いところだと不安を感じる方がいるため広い個室に検査装置を設置しています。また、車いすから乗り換えやすいようなチェアにしているほか、車いすのまま治療ができるように診療スペースは広めに確保し、姿勢異常の方の診療を考慮してクッション性にもこだわりました。いずれも障害者施設や、同じような障害者歯科に対応しているクリニックを回って、良いと感じたものを採用しました。

カウンセリングや行動変容によって安心できる治療を

現在はどのような患者さんがいらっしゃっているのでしょうか?

木村敬次リチャード院長 リチャード歯科3

患者さんの多くは障害者や有病者で、大学病院でないと診てもらえない方や、一般のクリニックで断られたという方が中心です。最近多いのはパニック障害と歯科恐怖症の患者さんで、そのほか一般の方でも、近隣にお住まいの方、付き添いでいらっしゃった方が受診されるケースがあります。世代は1歳から100歳まで。やはり歯科が怖い、断られたという場合が多いためか、なぜここまで放っておいたのかという方が多い一方、障害があってもお口はきれいで、口腔管理をしてほしいという要望もあります。主訴としては通常の歯科と同様に、虫歯や歯周病の治療が大半を占めています。

こちらでは最初にしっかりと時間を取ってカウンセリングを行うそうですね。

お口の中を見せてもらうだけではなく、前の歯科がどうだったのか、どういうところが嫌だったのか、どこが怖かったのかなど、それこそいろんなことをお話しします。どう対応していくかを決めるためにはたくさんの情報が必要ですからね。お話をするだけで安心されることもありますし、最初にしっかりとコミュニケーションを取っていれば信頼関係も構築できて、案外スムーズに診療に移れるものなんです。もちろん患者さんご本人と意思疎通できない際には、保護者など付き添いの方とじっくりお話をします。ご本人が不安である以上に、付き添いの方も不安を感じていらっしゃいます。例えば自閉スペクトラム症の患者さんであれば、付き添いのお母さんが笑顔になることで患者さんの安心感につながりますからね。

行動調整として行動心理学を活用されているのが特徴ですが、実際にはどういうことを行うのでしょうか?

木村敬次リチャード院長 リチャード歯科4

新型コロナウイルスの流行以降、行動変容という言葉を聞いたことがあるかと思います。行動を環境や状況に合わせて変化させていくことを言いますが、行動心理学の活用もそれと同じで、最初は拘束下での治療を避けるために始めました。拘束下での治療は歯科嫌いになってしまったり、しっかりと治療できなかったり、その代償も大きい。そのため少しずつ器具に慣れてもらう脱感作法や、事前に見学や動画を見てもらうモデリング法などを採用しているほか、普段のコミュニケーションでもボイスコントロールといって言葉に抑揚をつけてより伝わるような手法をとるなど、治療における事故などのリスクを減らすためさまざまな工夫を凝らしています。拘束下での治療が一概に悪いとも言えませんが、できる限り安心して楽に治療できるほうが良いと思っています。

歯科治療を諦めないためにさまざまな工夫を凝らす

鎮静下と全身麻酔下での治療にも対応されているそうですね。

木村敬次リチャード院長 リチャード歯科5

治療本数が多かったり、緊急度が高かったりする時には、鎮静下での治療を行うことがあります。また、どうしても怖くてできないという方の中にも鎮静下の治療を希望される方がいらっしゃいます。当クリニックでは不安の軽減を目的に笑気吸入鎮静法をはじめ、胃カメラなどの時に使われる静脈内鎮静法、全身麻酔法での治療に対応しています。特に全身麻酔法での治療を受けられる方が多く、お待たせしている状況にありますが、複数の歯を一気に治療できますし、患者さんの精神状態に大きく左右されることなく治療の精度の維持が図れるので、再発リスク低減に役立つというメリットもあります。

そうした対応には、専門知識を持ったスタッフのサポートも必要になると思うのですが。

静脈内鎮静法と全身麻酔法については歯科麻酔科の先生に来ていただいていますし、通常の診療においては歯科衛生士の役割が非常に大きいと考えています。例えば障害者歯科だからといって、患者さんを甘やかすだけでは治療できません。注射をしたり、歯を削ったりしなければならないので、誰かが厳しい立場をとる必要があります。男性の私よりも女性の歯科衛生士のほうが患者さんに安心感を与えられますから、私が厳しいことを言ったら歯科衛生士が優しくフォローするなど役割分担を行っています。

歯科の治療に不安を感じている方も多いと思いますが、そういう方に向けてメッセージをお願いします。

木村敬次リチャード院長 リチャード歯科6

障害者であっても、歯科恐怖症や有病者であっても、ストレスを軽減しながら、無理せず治療できるクリニックがあるということを知ってもらいたいですね。それは当クリニックだけではなく、大学病院などでも障害者歯科に対応していることを知ってもらえば、治療を諦めずに済みます。当クリニックでは治療を怖がっている方に対してはまずは時間をかけてゆっくりとお話をするなど、無理に治療を始めることはしません。事前の見学にも対応しているので、歯科治療に不安を感じる方はぜひいらっしゃってください。実際見学に来ていただくと、その日にチェアに座れたり、治療がスタートできたりしますからね。百聞は一見にしかずではありませんが、ホームページでは伝わらないクリニックの雰囲気もあると思いますので、患者さんご自身はもちろん、付き添いの方も一度見学に来てはいかがでしょうか。

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