林 ちさ 院長の独自取材記事
ちさ皮フ科クリニック
(神戸市兵庫区/兵庫駅)
最終更新日:2023/11/14
JR神戸線兵庫駅から徒歩3分の場所に「ちさ皮フ科クリニック」はある。2023年4月に、院長の林ちさ先生が「フジイ皮ふ科クリニック」を引き継ぎ、名称を変更した。バリアフリーで広くゆったりとしたスペースは、院長のセレクトで壁紙などがリニューアルされ、明るく優しい雰囲気になっている。林院長は、さまざまな病院で診療を続けてきた経験と、こまやかな気配りで地域の人の健康を守るために尽力している。アトピー性皮膚炎や疥癬といった疾患から、美容的な悩みにまで対応する。「患者さんの悩みを、とにかく早く解消してあげたいんです」と語る林院長に、診療にかける思いや、今後のことなどについて聞いた。
(取材日2023年10月18日)
地域に根づいたクリニックを継承し、新たな色を加える
この地域で開業した経緯を教えてください。
2023年4月に「フジイ皮ふ科クリニック」を継承する形で開業しました。前院長の藤井先生が体調の問題で引退することになり、後継者を探していらした時、私の主人の親戚から紹介されたんです。私は、いつか開業したいと思っていたのですが、場所や条件、タイミングなどなかなか決まらなかったんです。そんな時に丁度お話をいただき、開院することができました。前院長はとても真面目な先生で、クリニックの雰囲気も良かったので、いい機会だと思って引き受けました。この辺りは土地柄も良く、広々とした感じが気に入っています。前院長はこの場所で約20年開業しており、患者さんとの信頼関係もしっかり構築されていたようです。それだけに責任は重いのですが、患者さんたちが、引き続き通っていただけるように頑張りたいと思っています。
皮膚科を専門に選んだ理由をお聞かせください。
皮膚科を選んだのは、自分が子どもの頃にじんましんなどで関わることが多かったからです。その経験があったので、同じ苦しみを持つ患者さんの助けになりたかったんです。もう一つの理由として、いつか結婚して、子どもを産むかもしれないという意識がありました。皮膚科では、子育てや家庭での役割など人生のバランスを取りながらも、自分がより密接に患者さんに医療をお届けできる診療科だと思うと同時に、自分の子育ての経験などを通して、患者さんのお悩みにも寄り添えるのではないかと思いました。また、当院の他に週に1回、丹波市にある青垣診療所でも診察を続けています。そこは近くに皮膚科がなく、高齢者も多いので、皮膚科の医師が必要と思われます。地域の方々に貢献できながら長く診療を続けられているので、皮膚科医になって良かったと思っています。
先生の経歴を教えてください。
大学を卒業後、さまざまな病院やクリニックの皮膚科で勤務し、たくさんの経験を積ませていただきました。その経験もあり、幅広い層の患者さんにご対応できるのではないかと思っています。例えば、開業する前に皮膚科のクリニックに勤めていたのですが、そこではしみやイボに対してレーザーを用いて行う施術を学ばせてもらいました。一方で兵庫県立丹波医療センターでは、悪性腫瘍などのさまざまな症例に出合いました。当院にも重篤な疾患の患者さんが来られることも考えられますので、危険な症例を見逃さないようにこれまでの診療経験を生かしたいと思っています。また、そういった場合には、基幹病院などとの連携がスムーズに行えるよう体制も整えています。ですので、皮膚のことでお悩みや気になることがありましたら、気軽にご相談にいらしてください。
困り事を真っ先に解決できるクリニックをめざす
クリニックにはどのような患者さんが来られますか?
もともと通院されていた患者さんは高齢の方が多いですね。また最近、患者さんに「女性の患者さんが増えた気がします」といわれました。女性の医師に変わったことで、しみの相談や、見せにくいところの相談が増えたのではないかと思っています。遠方から通院される患者さんもいらっしゃいますし、以前勤務していた病院の患者さんが来てくれることもあります。クリニックを継承するにあたってリフォームをして、外観や壁に淡いピンクを用いました。男性が通いづらいかとも思ったのですが、ニキビの相談に来られる若い男性も増えていてうれしいですね。なお、クリニックの名前は変わっていますが、カルテなどは残っていますので、以前通院されていた方は気兼ねなく受診していただければと思います。
診察で心がけていることはありますか?
患者さんのお話をできるだけ聞いてあげたいので、相談しやすいようにリラックスできる雰囲気を心がけています。パソコンの画面だけを見て説明するのではなく、私はなるべく患者さんの目を見ながら話すようにしています。そうすることで、患者さんも話しやすいと感じていただけたらうれしいです。皮膚科以外の症状でもお悩みの患者さんがいらっしゃるかもしれませんが、そんな時はどれが皮膚科の症状なのかを整理して、わかりやすく説明するようにしています。診療方針としては、なるべく患者さんの苦痛を取ってあげたいというのが基本的な考えです。アトピー性皮膚炎の人はかゆみを抑えてあげるための治療、湿疹なら早く消えるようにといった感じです。患者さんが困っていることを、とにかく早く解消してあげたいと思っていますので、患者さんのお話をしっかりと聞きながら、適切な治療をご提供できるように努めていきたいです。
診療内容について教えてください。
当院の患者さんは、アトピー性皮膚炎や、高齢者の慢性湿疹でお悩みの方が圧倒的に多いです。水虫、特に爪水虫のご相談も増えています。また、加齢による小さなイボを取ってほしいといわれる女性もいらっしゃってくださるようになりました。当院では、炭酸ガスレーザーを導入しているので、ずっと悩まれていた患者さんはぜひご相談ください。人から見れば何げない小さなイボでも、ご自身では気になったり、落ち込んでしまうこともあるかと思います。皮膚の疾患は目に見えやすい分、心にも傷を負いやすいものです。大きさに関わらず、気軽にご相談いただけたらと思います。また、何げないかゆみや見た目の症状でも、重篤な疾患が隠れていることもありますので、放置するのではなくご相談に来ていただければと思います。
新しい治療法を積極的に取り入れる
機器やスタッフについてお聞かせください。
アトピー性皮膚炎の場合、軟膏では改善が望めない患者さんには紫外線治療をご案内できます。これは紫外線照射装置を皮膚に当てて行う治療方法です。尋常性乾癬や類乾癬などの皮膚疾患に保険適用されていましたが、現在はアトピー性皮膚炎にも保険適用になっています。また、紫外線治療は円形脱毛症にも保険適用されていますので、お悩みの方がいらっしゃればご相談にいらしてください。スタッフは看護師が2人、受付が5人です。看護師は皮膚科の経験が長く、爪のことにも詳しいのでとても助かっていますね。受付の方は、人あたりが良く、患者さんの気持ちをくんで対応してくれていますので、安心して業務を任せていますね。スタッフ全員で患者さんの気持ちに寄り添った診療をお届けできるように努めたいと思っています。
今後の展望を教えてください。
しみに関するご相談が多いのですが、まだしみの施術に対応できる体制を整えられていないので、早急に対応したいと考えています。しみだけでなく、女性の悩みに応えられるクリニックにしたいので、肌の悩みなど、美容皮膚科の分野にも少しずつ力を入れていきたいです。また、アトピー性皮膚炎などは、新しい薬が次々に出ています。新薬や新しい治療法を積極的に取り入れて、患者さんの利益につながるよう努力していきたいと思います。
読者へのメッセージをお願いします。
イボはレーザーで除去することもめざせますが、当院では小さな良性腫瘍に対する外科的な処置にも対応しています。ほくろもレーザーを用いる方法だけでなく切除という選択肢もあります。大きさや膨らみなどによって、レーザーか外科的な処置か決めますので、お悩みの方は一度ご相談ください。このエリアで開院して、女性のお悩みが多いことを実感しました。今後は、既存の患者さんも新規の患者さんも、皆さんのニーズになるべくお応えできるよう、美容診療も必要に応じて取り入れ、幅広くご対応できればと思っています。また、男性の方も気軽に来ていただけるようなクリニックにしたいと思っています。皮膚で何かお悩みがありましたら、ぜひ遠慮せず気軽にご相談ください。