安部 秀弘 院長の独自取材記事
イクシーファミリー口腔歯科・小児歯科・矯正歯科
(鹿沼市/新鹿沼駅)
最終更新日:2024/11/01

緑豊かな高台、西茂呂にある「イクシーファミリー口腔歯科・小児歯科・矯正歯科」。院長の安部秀弘先生が鹿沼市に開業したのは1992年にさかのぼる。2007年の移転を経て、長年にわたり近隣住民の歯の健康を守ってきた。ゆったりとした造りの院内には20台ものユニットがあり、それぞれ異なる専門分野を持つ歯科医師たちがチームになって診療にあたっている。虫歯や歯周病の治療はもとより、小児歯科、予防歯科、矯正歯科、審美歯科など守備範囲は広い。中でも特徴的なのが安部院長によ口腔機能育成だ。生涯にわたる心身の健康と口腔機能はどのように関係しているのか。クリニックの特色とともに、安部院長の未来へのチャレンジについても詳しく話を聞いた。
(取材日2024年10月21日)
10人の歯科医師が集いチーム医療で土日祝日も対応
大きくてきれいなクリニックですね。

ありがとうございます。1992年にユニット3台で開業しましたが、今では20台になりました。10人の歯科医師で力を合わせ、土日祝日も診療しています。これだけたくさんの歯科医師がいるからこそ、矯正治療、補綴治療、審美歯科、小児歯科、口腔外科などそれぞれの得意分野を生かした治療ができ、さらに患者さんの性格やご事情に合わせたマッチングができるのも当院の強みです。「歯科恐怖症だけど勇気を振り絞って来た」「できるだけ早く治療してほしい」などさまざまなご希望に、適材適所で対応できますからね。地域の方々に支えられてここまで成長することができましたが、平日は3週間先まで予約が埋まっていることも多く、お待たせしてしまい心苦しい限りです。
近隣の歯科医院とも連携されていると聞きました。
例えば、これまで歯科医院が怖くて受診できず、虫歯だらけになってから「ごめんなさい」といらっしゃる方もいます。当院だと予約の関係でどうしても3週間おきの治療になってしまうため、通院期間の負担が大きいと判断したら、1週間おきの治療が可能な他院を紹介することもあります。ご紹介するのは、いずれも技術もお人柄も素晴らしい先生方ばかりです。当院が主催するオンラインセミナーにもご参加いただいており、知識や技術のブラッシュアップにも余念のない先生方ですので、ご安心していただければ幸いです。たとえこれまで歯科医院に通えなかったとしても、謝ることは何もありません。できるだけ早く相談していただければと思っています。
痛みに配慮した治療も大切にしているそうですね。

虫歯で口の中がボロボロになっている人は、子どもの頃の歯科医院での経験がトラウマになっているケースも少なくありません。生涯にわたる歯の健康を守るためにも、当院では極力痛みの排除をすることを努めています。例えば、乳歯にできた小さな虫歯は削って詰めるのではなく、進行を食い止めるように管理すべきというのが私の考えです。食生活の指導なども行いながら、永久歯で虫歯をつくらないように導きます。最終的に治療法を選択するのは親御さんですので、将来的なリスクなども含めてしっかりとお話をするよう心がけております。
口腔機能を正しく育成する「口育」を広めていきたい
予防歯科にも注力していると伺いました。

虫歯ができやすいのは歯の溝と歯の間です。歯の上部には細かい溝があり、汚れがたまりやすい上に歯ブラシでかき出しにくくなっています。これを歯科用樹脂で埋めて虫歯を予防することをめざすシーラントという治療があるのですが、生えたばかりの永久歯や乳歯ならば保険診療での対応が可能です。また、デンタルフロスで歯と歯の隙間を掃除することを0歳から習慣化していただいており、「糸を通さなければ気持ち悪い」とおっしゃるお子さんもいらっしゃるんですよ。口腔内の衛生環境は全身の健康に影響を及ぼすため、欧米では「Floss or Die」という言葉もあるくらいなんです。しかし、どんなに正しくセルフケアをしても限界があるため、プロによる定期的なクリーニングも必要です。当院では歯科衛生士が26人おり、多種多様な患者さんのニーズに応えています。
子どもの口腔機能育成をライフワークとしているそうですね。
実は口腔機能発達不全症の予防は保険でできるということを、もっと多くの人に知ってほしいと思っています。当院では生後3ヵ月から無料相談も行っているので気軽にご利用ください。口腔機能は、出産直後からの哺乳の仕方、離乳食の与え方、姿勢などにより大きな影響を受けます。発達が不十分だと、歯並びが悪くなったり口呼吸になったりすることもあります。上顎が成長せずに気道が狭くなり、睡眠が分断される「上気道抵抗症候群」、さらには「睡眠時無呼吸症候群」を引き起こしてしまうことも。上顎の成長不良に関しては胎児期のビタミンK不足が一因となっているというアメリカの研究もあるのですが、そういったお話を歯科検診にいらした妊婦さんにお話しすることもありますね。
なぜ、口腔機能育成に興味を持つようになったのですか?

実は昔から「口をポカンと開けている子をどうにかできないか」と考えてり、MFT(口腔筋機能療法)が気になってはいました。50歳を過ぎてから日本国内にとどまらず海外の勉強会などにも参加し、世界中の先生方の先進的な考えにふれる中で「口腔機能育成は人類にとって非常に重要なテーマなのかもしれない」と思うようになったんです。口腔機能を正しく育成する「口育」は生涯にわたる全身の健康に直結することを、すべての親子に伝えたい……。そんな思いから敷地内に保育施設をつくったのですが、当時はまだそんな歯科医院は少なかったですね。今は院内にカフェを設けていますが、患者さんが治療の行き帰りにホッと一息つきながら口腔機能育成に関する情報にふれていただけるようにしています。
口腔内からの予防医療で生涯にわたる健康と幸せを守る
今後の展望についてお聞かせください。

今後とも「口育」に力を入れていきたいですね。呼吸、姿勢、栄養管理、生活管理などによって口腔機能を育成し、歯並びはもちろん最大のパフォーマンスを発揮できる心身づくりの手助けができればと思っています。また、お子さんだけではなくすべての患者さんの健康を口腔内から守るためにも、予防歯科にますます力を入れていきたいです。初診の患者さんには必ず「虫歯や歯周病を防ぐには、きちんとメンテナンスを続けることが大事」という話とともに、「お口のケアは全身疾患のリスクを減らすことにもつながる」ということをお話しするようにしています。口の中をきれいにするのはもちろん、食生活やストレスのコントロールなども必要です。手作りの小冊子に情報をまとめてお渡ししているのですが、これは今後も続けていきたいですね。
お忙しい毎日ですが、休日はどのようにお過ごしですか?
当院は土日・祝日も診療しているので、私自身が休みの日もだいたい歯科医院の院長室にいますね(笑)。診察はしませんが、調べものをしたり患者さんにお渡しする小冊子を作ったりしています。これまで「口育」に関する本も出していますが、執筆に励むこともあります。新しい論文にも一通り目を通すようにしていますが、よく参照しているのがNIH(アメリカ国立衛生研究所)のサイトです。エビデンスを非常に重視するアメリカは論文の精査も厳しいので、信頼性が高いと考えています。2年前にはイェール大学の公衆衛生学科に呼ばれて講演をしましたが、やはり予防医学が一大ジャンルとなっている点が印象的でした。日本も今後そうなっていくのではないでしょうか。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯並びが悪くていじめを受ける、本当の実力が発揮できず自信を失う、寝たきりになって誇りある生を全うできない……誰もこんな目に会わなくて済むような世界をつくるために、歯科診療でできることがあると信じています。日本では、どこも悪くないのに定期的に通うクリニックとして、今のところ最もポピュラーなのは歯科医院です。だからこそ、欧米のファミリードクターのような、予防の拠点となる存在になり得るのではないかと思っています。口はあらゆる病気の入り口です。口腔内を健やかに保つことは、全身疾患の予防にも欠かせません。「歯科医院=痛い・怖い」ではなく「歯科医院=予防」という新時代を、ともに歩むパートナーとして選んでいただければうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/38万円~、矯正/小児矯正:41万8000円~、セラミック/3万9000円~、ホワイトニング/1顎1万円程度