園田 わかな 副院長の独自取材記事
鹿児島そのだ眼科・形成外科
(鹿児島市/都通駅)
最終更新日:2025/12/26
鹿児島中央駅から徒歩約7分、ホテルのようなラグジュアリーな空間が広がる「鹿児島そのだ眼科・形成外科」。形成外科医の園田わかな先生は、鹿児島に形成外科が少なく患者が困っている現状を目の当たりにし、地域医療への貢献を決意。父から受け継いだ眼瞼下垂症の技術と、眼科医である夫、園田祥三先生との連携により、目とまぶたの総合的な治療を実現している。「まぶたの手術で見た目が変わるだけでなく、患者さんの元気につながるのを見るのがやりがいです」と語る園田先生。女性医師としての視点も生かし、患者の気持ちに寄り添いながら審美性にこだわる形成外科の専門性を追求している。また、院内のデジタル化による利便性向上など、革新的な取り組みについても話を聞いた。
(取材日2025年10月24日)
地域医療への使命感と眼科・形成外科の連携
先生が形成外科を専門に選ばれた理由を教えてください。

私はもともと音楽の道を志していたのですが、形成外科の医師である父の勧めもあり医学部へ進みました。専門を決める際、最も大きかったのは「鹿児島に形成外科が少なくて、患者さんが困っていらっしゃる」という現実でした。当時、鹿児島には形成外科の医院が少なく、専門的な治療を受けられる場所が限られていたんです。父の姿を見て形成外科の仕事は理解していましたし、小さい頃からけがややけどの治療を父にしてもらった経験もあり、身近な存在でした。眼科にも興味がありましたが、⼿先が器⽤なことと、地域に貢献できるという点で形成外科を選びました。実際に診療を始めてみると、治療することで患者さんの表情が明るくなっていく姿を見られることが、この仕事の大きなやりがいになっています。
出産後すぐに復職されたと伺いました。
はい、夫のアメリカ留学に同行した際に現地で出産し、子どもが5ヵ月の時に帰国して、すぐに働き始めました。技術職なので焦りもありましたが、鹿児島市立病院の院長が女性の産後復職支援の枠をつくってくださり、入職することができました。⿅児島市⽴病院の形成外科は多くの症例を扱う病院でしたので、そこで経験を積めたのは幸運でした。その後、眼瞼下垂症や美容治療を学び、夫が鹿児島市で眼科を開業する際に「形成外科と眼科は非常に近しい関係にあるから一緒にやらないか」と誘われ、2016年に併設クリニックとして開業しました。子育てと仕事の両立は大変でしたが、地域医療への思いが私を支えてくれました。
眼科と形成外科を併設することのメリットについて教えてください。

まぶたは目のすぐそばにありますから、治療において両科の連携は非常に重要です。例えば、まぶたのできものを取る際も、眼科的な影響を考慮する必要があります。形成外科は「見た目もきれいに治療する」専門家ですが、術後のドライアイや視力の変化など、目の中のことは眼科の先生でないとわかりません。逆に眼科の先生も眼瞼下垂症の手術はできますが、より審美面に配慮して仕上げるのは形成外科の得意分野です。当院では眼瞼下垂症の⼿術前に必ず眼科で検査を⾏います。ドライアイはほとんどの患者さんがありますので、⼿術前にできるだけ改善するように⼼がけます。また、⽩内障や緑内障、加齢⻩斑変性など、前もって治療が必要となることも多々あります。患者さんにとってどうすることが適切かをご提案させていただいております。
機能と美を支える形成外科で地域医療に貢献を
形成外科ではどのような相談や治療が多いですか?

ご相談が多いのは眼瞼下垂症と粉瘤ですね。眼瞼下垂症は、まぶたが上がりにくくなる病気で、加齢や摩擦により挙筋腱膜が弱くなることが主な原因です。40代以降に多く、コンタクトレンズの長期使用や目をこする癖、アトピー性皮膚炎なども発症要因として挙げられます。まぶたが下がると、おでこの筋肉で補おうとするため、しわや頭痛、肩凝りにつながります。当院では局所麻酔による眼瞼挙筋前転法での日帰り手術を行い、術中に目の開き具合を確認しながら調整します。術後は眼科と連携してフォローを行っている点もクリニックの特徴です。機能回復だけでなく、「きれいに治す」という見た目の美しさにもこだわっています。現在患者さんより多くの相談を頂いており、手術までお時間を頂戴している状況ですが、お一人お一人に寄り添った丁寧な対応は変わらず続けていきたいと思います。
粉瘤とはどのような状態になることでしょうか?
粉瘤は聞きなじみのない方もいらっしゃると思いますが、⾮常に多くの⽅が持っていらっしゃるできものです。皮下腫瘍の一つで袋状の腫瘍の中に垢がたまっていき、ドーム状に盛り上がっているのが特徴です。粉瘤⾃体は痛みやかゆみはありませんが、ばい菌が⼊ったり、奥のほうで袋が破れてしまうと腫れて痛みが⽣じ、そこで初めて気づくという⼈も多いようです。⼀般的には紡錘形に⽪膚に切開を⼊れ、切除して縫合する⽅法が多いですが、当院では「くりぬき法」を希望される方が多いです。10センチ未満の粉瘤ですと数ミリ程度の切開で除去できるため、傷痕が⼩さく⽬⽴ちません。⼿術時間も数分から⻑くても30分ほどで済みます。袋の中の垢を出すだけではなく、袋ごとしっかり取り除くことが再発を防ぐために⼤切です。しかし、やはり一番お勧めなのは小さなうちに除去することなので、気になる際はお早めにご相談ください。
その他の相談内容や治療内容、併設されている眼科の特徴についても教えてください。

形成外科ですと、ケガの縫合や、イボの除去、⽪膚腫瘍の切除など、⽪膚に関するお悩みすべてが対象となります。美容⽪膚科では、ほくろ除去やレーザーによるしみ取り、ボツリヌス製剤注射などのしわのケア、医療脱⽑なども行っております。眼科に関しては、⽩内障・緑内障・網膜・ぶどう膜・涙道などの、さまざまな分野を専⾨とした眼科医がいることが⼤きな特徴です。また眼内コンタクトレンズや多焦点眼内レンズなどの相談も可能で、それぞれの専門家がお互いにコンサルトし合いながら、患者さんに適切な治療を提供できることが最大のメリットであり、当院の強みだと思っています。
デジタル化とチーム医療で患者満足度を向上
コンシェルジュ制について教えてください。

当院では、一人のスタッフが受付から会計まで関わる「コンシェルジュ制」を導入しています。受付で症状を聞き、診察に立ち会い、治療のサポートをして、最後の会計まで同じスタッフが担当することで、患者さんは同じことを何度も説明する必要がなく、気軽に相談もできると思います。当院のスタッフは眼科と形成外科の両方の知識を学んでいるため、基本的な疾患についてのアドバイスも可能です。看護師、コンシェルジュ、受付などそれぞれの職種の垣根を低くして相談しやすい環境を整え、チーム全体で患者さんをサポートしています。
デジタル化の取り組みについて詳しく教えてください。
SNSアプリを活用し、疾患の説明資料や術後の消毒⽅法などを患者さんのスマートフォンに送信できるようにしています。患者さんは診察時に聞き漏れがあっても、自宅で見直せますし、家族に相談する際や手術までの期間が空いた時の確認などに活用していただければと思います。一方で、ご高齢の方など携帯電話の操作が苦手な方には、従来どおり紙の資料を使って丁寧に説明します。デジタル化によって効率化できた分を、患者さんとじっくり向き合う時間に充てられますし、スタッフも情報共有がスムーズになり働きやすくなりました。院内のデジタル化は、まさに医師・スタッフ・患者さんの「三方良し」の取り組みだと考えています。今後もより便利でわかりやすいシステムを構築していければと思います。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

私たちがめざすのは「ここに来て良かったな、先生の話を聞いて治療して良かったなと思っていただけるクリニック」です。「ライフステージに寄り添って、その人の人生にそっと寄り添ってサポートできるような医療」を提供したいと考えています。形成外科医としては、眼瞼下垂症について今後もより知識を深め、患者さんに適切な治療を提供していきたいと思います。また、近年は性別・年齢を問わず美容への意識が高まっているので、しみ・しわなどの美容皮膚科の領域にも力を入れていきたいですね。これからも赤ちゃんから高齢者まで、それぞれの年齢で起こるさまざまな症状に対応し、「きれいに治す」ことで患者さんの心も明るくなるような診療を続けていきます。何か気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみケア(Qスイッチルビーレーザー)/1照射770円、しわケア(ボツリヌス製剤注射)/5万5000円~、医療脱毛/(両脇)6600円 ※子ども、介護、男性脱毛対応、眼内コンタクトレンズ手術/両眼70万円~

