山口 広孝 院長の独自取材記事
やまぐちファミリー歯科
(東大阪市/鴻池新田駅)
最終更新日:2025/05/08

学研都市線の鴻池新田駅から徒歩8分の場所に「歯」と書かれた看板が印象的な「やまぐちファミリー歯科」がある。院内は笑い声にあふれ、クリニックとは思えないほど楽しげな雰囲気だ。院長の山口広孝先生は朝日大学を卒業後、勤務医を経て、2016年に同院を開業。「歯科クリニックは楽しいところだと思っていただきたい」と、院長やスタッフの笑顔とコミュニケーションで、アットホームなクリニックをつくっているようだ。患者との信頼関係を築くことに重点を置き、オールラウンドで丁寧な治療をモットーと話す山口院長に、クリニックのコンセプトや今後の展望などたっぷり語ってもらった。
(取材日2019年9月5日)
痛くてつらい思いをしてほしくないから予防に注力する
歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

祖父が歯科医師だったので、小さい頃から親戚には歯科医師になるよう勧められてきました。私が高校生の時、祖父が亡くなってお葬式に歯科医師会の先生方や患者さんなど多くの方が駆けつけてくれて、地域の人たちに愛されていたことを知り、初めて歯科医師だった祖父を誇りに思ったんです。そこからは、本気で歯科医師を志すようになりました。夏休みなど祖父の家に行くと、まず初めに診察台に乗せられて、フッ素予防をさせられたことを今でも思い出します。祖父にとってはそれが孫とのコミュニケーションだったんでしょうね。母もそんな祖父の影響でお口のケアには厳しい人だったので、おかげで私は一度も歯の治療をしたことがないんですよ。
クリニックでは、虫歯や歯周病などの予防に注力しているそうですね。
はい。当クリニックのスタンスとして「診療中に私があいさつやお話だけで済むこと」を心がけています。つまり、クリーニングだけで治療せずにお帰りいただける患者さんばかりになれば一番いいなと思っているんですよ。歯科クリニックを嫌いになる原因の1つに「痛いから」という理由がありますが、残念ながら「治療」には必ず「痛い」ことはつきまといます。そうならないためには、もっとクリニックが予防に重点を置く必要があるんです。つらい思いをしてほしくないからこそ、ご自宅での毎日のケアとクリニックでの定期的なメンテナンスを受けていただきたいですね。
来院を続けていただくためにされている工夫や努力はありますか?

何よりも患者さんの居心地の良い空間にするよう心がけています。中でも自信を持って言える一番の自慢は、スタッフの笑顔です。例えば、当院は仕事中の雑談はOKなんですよ。ただし、スタッフだけの会話でなく、患者さんを巻き込んでどんどん話して、と言ってあるんです。笑い声のない日はありません。私も診察中にずっとお話しします。でも、患者さんはお口を開けているから返事はできないんですね(笑)。「歯科恐怖症だったけど、ここにきて歯科クリニックのイメージが変わった」などと言ってもらえたらうれしいですね。まずは自分たちが全力で楽しみながら仕事をして、患者さんにあの人たちに会いたいと思っていただくことが必要だと思っています。
「山口さんの家へいらっしゃい」をコンセプトに開院
なるほど。雰囲気づくりを大切にされているのですね。

「歯医者に行く」のではなく、「山口さんの家に行く」と思っていただける場所にしたいんです。例えば、当クリニックでは白衣ではなくポロシャツを着て診療させていただいています。また、診療中にガチャンと金属音が鳴って、響く音にビクッとした経験はありませんか? 当クリニックでは器具を置くバットは音が鳴らないような衛生的な紙製トレーにしています。駐車場から診察台までフルフラットにして、ベビーカーや車いすの方も安心して通えるよう配慮しました。道路には大きなクリニックの看板を設けず、あえて「歯」とだけ書かれたサインを設置したんですよ。名前を掲げるより「ここに歯科クリニックがある」「何かあればこの場所へ来ればいいんだ」ということを思い出していただくほうが大事だと思ったんです。
診療される際に、心がけていることは何ですか?
例えば、初診の患者さんには「カウンセリング」ではなく「ヒアリング」を行っています。「カウンセリング」とは、話したことに対してその都度答えを出していくものですが、お悩みを持ってお越しになられた方は、答えよりも自分の不満や不安を聞いてもらいたいと思っているように感じることが多いからです。私も、まずは吐き出すことが大切だと思っていますので、初診の方には基本的に「ヒアリング」の枠を設けています。時間をかけて「ヒアリング」することで、今後の希望なども自然とお話しいただけるので、診療プランニングも立てやすくなります。ただし、痛みが強い時は、先に主訴に対する解決を優先して処置していますので、まずは状況を受付スタッフにお話しいただければと思います。
さまざまな面で患者さん本位の診療を心がけていらっしゃるのですね。

ええ、患者さん目線であるよう常に意識しています。自分がすごくネガティブな人間なので、「患者さんにとって、治療を担当するのが本当に私でいいのか」と自問自答しながら診療させてもらっているという考え方なんです。謙虚な気持ちを忘れず、おごらず、もっと良い治療方法がないかと悩みながら仕事をすることで、成長していけるのだと思います。そんな私の思いにスタッフも同調してくれているので、クリニック全体が同じ方向を向くことができています。先日も、待合室のキッズスペースのシートが、つえを使うご高齢の方にとって邪魔になっているみたいだとスタッフから報告があったのですが、全員で相談してすぐに改善したり、子育て経験のある主婦のスタッフや保育士の免許を持ったスタッフもいるので、子ども連れでも安心してお越しいただけます。これからもスタッフ一人ひとりが患者さんに気を配れるような、寄り添った医療を提供していきたいと思います。
「クリニックって楽しい」と感じられるよう工夫が満載
患者さんに合わせた歯ブラシのアドバイスをされているそうですね。

はい。歯科衛生士でもある妻から「病院で痛みがあったらお薬を処方するように、その人に合ったケア材もお伝えしたほうがいいのではないか」という提案があって、お一人お一人に合った歯ブラシやケア用品をアドバイスするようになりました。例えば、当クリニックでは患者さんに合わせたメンテナンス期間を設けていますが、その際に歯周病用、虫歯リスクの高い方用など、その方の状態や状況によってタイプの違う歯ブラシなどをご紹介しています。また、スタッフのアイデアで受付には「みなさんの声」として歯ブラシなどの感想を書いてもらっています。
歯の健康に関して、患者さんによくされるアドバイスなどありますか?
よくするアドバイスというよりも、アドバイスの仕方になりますが、例えば、小さなお子さんがいるお母さんに「あめを与えないように」とアドバイスすることはありません。「食べさせてもいいけど過度に食べすぎないことと、食べた後のケアをしっかりとすることは忘れないようにしてね」といっています。また、タバコに関しても「3本に1本は吸うのを我慢してね」というようにしています。ほかのことで補填できたり、ちょっとだけ頑張ってみようかなと思ってもらえる提案でなければ、続かないからです。また、お母さん方から「子どもが泣くから歯磨きができない」というお悩みを聞くのですが、「うちも嫌がりますが、泣かしても磨いていますよ」と話すと、「先生も同じなんだ」と、安堵される方は多いですね。まずは患者さんに安心感を与え、すぐに実行できるアドバイスを心がけています。
最後に読者へ、メッセージをお願いします。

今後は糖尿病と因果関係の深い歯周病治療など、より予防面を重視した治療に注力することで、お口の健康から体全体の健康にまで目を向けた健康管理を行っていければと思っています。また、内在的な疾患を抱えて通院できない方が増えていると聞きますので、当クリニックのように楽しい雰囲気の歯科クリニックを増やして、怖くて病院に行けないという人を一人でも減らしていけるような、お手伝いができればと考えています。今まで歯科クリニックを、怖い場所だと思っていた人ならどなたでも結構です。まずは遊びに来てください。最初の一歩を踏み出してほしいですね。