岡田 智彰 院長、多米 一矢 副院長の独自取材記事
広尾整形外科
(渋谷区/広尾駅)
最終更新日:2025/10/07

広尾駅から徒歩2分の好立地に「広尾整形外科」はある。2025年より新たに就任した岡田智彰(おかだ・ともあき)院長は、肩関節を得意とするが、整形外科疾患についてたくさんの経験を重ねてきたスペシャリストであり、アスリートから地域住民まで幅広く診察している。また、理学療法士の多米一矢(ため・かずや)副院長は、患者の動作を丁寧に観察し、その場で痛みを和らげるためのリハビリテーションを実施している。広々としたリハビリテーション室には防護ネットなどを備え、スポーツ動作解析を行うなど、先進の技術と専門知識を融合させた理学療法を提供している。患者とのコミュニケーションにおいて大切にしていることは「安心感」だと言う岡田院長と多米副院長に話を聞いた。
(取材日2025年9月8日)
スポーツ医療と地域医療を両立し、幅広い世代を支える
2025年4月に院長に就任されたそうですね。

【岡田院長】私の師匠である医師からの紹介で、理事長の小関博久先生とのご縁をいただき、入職しました。当院は以前から「スポーツ選手を丁寧に診るクリニック」として知られていて、アスリートから運動部の学生、スポーツ愛好家、整形外科疾患に悩む地域の方々まで、幅広くサポートできる場です。私も以前から、スポーツドクターとして地域の皆さまの健康を支えることに大きなやりがいを持っていたので、広尾整形外科ならその経験も生かせる場だと考えました。地域に根差した環境で、医師と理学療法士が一丸となって診療にあたっていることも魅力的でした。
これまでの経歴と専門分野を教えてください。
【岡田院長】私の専門は肩関節です。大学病院だとしても肩関節を得意とする医師は少ないのですが、実際には肩の不調で悩む患者さんはたくさんいらっしゃいます。肩関節を深く学ぶきっかけは、私自身が肩を負傷し痛めたことです。学生時代にアイスホッケーのけがで、手術やまひを経験したので、患者さんの気持ちを最も理解できる分野だと信じています。もちろん、肩関節だけでなく首や腰なども十分に知っていないと、原因を特定することは難しいので、整形外科学全般を詳細に学んできました。
クリニックの特色を教えてください。

【岡田院長】ご高齢の方も以前から多く来院してくださっていますが、最近では運動部で頑張る小学生~大学生や、20~40代のスポーツ愛好家の方々の受診も増えています。骨粗しょう症などの高齢者の健康管理は重要な使命でありますが、60~80代の健康志向の高い、アクティブシニアの方々の力にもなりたいと考えています。若い患者さんは早期復帰のために、シニアの患者さんはその人に合った運動習慣を続けるために、適切な治療とスポーツ理学療法を行うように努めています。また、診療では超音波検査を積極的に用いています。レントゲン検査で骨を、超音波検査で筋肉や腱、関節の腫れなどを観察します。注射も超音波ガイド下で行い、安全面に配慮しています。レントゲン検査と超音波検査を組み合わせることでしっかりと原因を探り出せます。こうして得られた診断をもとに、治療やリハビリへつなげ、患者さんにご納得いただけるように心がけています。
先進の技術と専門知識で一人ひとりに適したリハビリを
リハビリではインソールを活用することもあると伺いました。

【岡田院長】インソールは「足のサポーター」ともいえる存在です。立つ・歩くという基本動作を整えることで、膝や腰、肩にまで広がる不調の原因にアプローチできます。靴との相性も確認しながら細部を調整することで、日常生活やスポーツ動作の改善に役立ちます。当院にはインソール製作を専門的に学んだ理学療法士がおり、院内に機械もありますので微調整もすぐに行えます。立ち姿勢・歩き姿勢を確認し、インソールを作り調整するためには一般のリハビリより時間がかかるため、インソールの外来を設けるなどして力を入れています。
今後AIでの評価も導入すると、さらに精度の向上が見込まれますね。
【多米副院長】歩行や動作をAIで解析するアプリを近日中に導入する予定です。リハビリ前後の変化を視覚的に示せるため、患者さんにはリハビリの過程を実感しやすくなるでしょう。ただし、AIはあくまで見える化の道具に過ぎません。最終的な評価や判断は、理学療法士と医師が経験に基づいて行います。先進の技術を取り入れながらも、頼りきらず人の目と手で確かめる姿勢を大切にしています。
リハビリルームに吊るされている赤いバンドはどのように使うのですか?

【多米副院長】赤いバンドを使うと、体を宙吊りにして無重力に近い状態をつくることができます。最初は皆さん力が入ってしまうのですが、だんだんと慣れてゆき、余計な力を抜いた状態で関節を動かしてもらうことができます。重力があると大きな筋肉に頼ってしまう動作も、小さな筋肉を働かしやすくなるのが特徴です。腰の痛みやおなかの張りなどでうつ伏せが苦しい患者さんでも、仰向けのまま背中に手を当てて治療でき、患者さんにも医療者にも負担が少ないことも利点です。目的に合わせて支点や負荷を調整し、幅広く活用しています。
【岡田院長】私も実際に体験しましたが、仰向けのまま治療できる点が大きなメリットで、体への負担も少なく感じました。導入している医療機関は珍しく、当院ならではの強みだと思います。
防護ネットに囲われたスペースもありますね。
【多米副院長】ネットで囲まれたスペースは、スポーツ特有の動作を安全面に配慮した上で再現する場所です。野球の投球や、サッカーのキック動作などを実際に行ってもらい、フォームや体重移動を細かく確認します。ネットがあることでボールが外に飛び出さないので安心です。「スポーツ外傷」に対してのリハビリも丁寧に行いますが、私たちはけがの予防にも力を注いています。慢性的な痛みや疲労を抱えながらも運動を継続することでパフォーマンスが低下することを「スポーツ障害」といいます。特に中高生では、成長期の筋肉の硬さ、進学後の急な負荷の増加、用具の変更などで体のバランスが崩れることが原因です。これらを一つ一つ見極めて修正し、解決をめざしていきます。
丁寧な説明と挑戦する姿勢で、安心と新しい選択肢を
患者さんに接する際に心がけていることはありますか?

【岡田院長】私は接遇を第一に考えています。患者さんへの説明には専門用語を避け、比喩を交えてかみ砕いた説明を徹底します。説明の際にはパンフレットや人体模型なども活用しながら、誰もが納得できる診療をめざしています。また、まれに原因がどうしてもわからないときもありますが、検査結果から推察できることを丁寧にご説明し、なぜわからないかの根拠を正直に伝えることで、患者さんに不信感を与えないよう努めています。
【多米副院長】患者さんと同じ視点や立場で向き合うことを大切にし、横になっている方には頭側ではなく、横や足元から目線を下げて話しかけることで安心感を抱いていただけるよう配慮しています。そして、「この動きが痛い」「こうすると痛みが少ない」など動作の不調を一緒に確認しています。伝わらなければ言い方を変え、模型や写真も使用し、納得の表情を確認してから次へ進むようにしています。
今後の展望をお聞かせください。
【岡田院長】現在休止しているウィメンズヘルスリハビリテーションの再開にも力を入れていきたいと考えています。若い世代では妊娠・出産による骨盤の変化や靱帯の伸びが原因による腰痛や女性器周囲痛が生じますし、中高年の方は加齢とともに尿漏れや骨盤底筋の低下、子宮脱などに悩む方も少なくありません。これらは薬物療法では解決しにくく、理学療法がとても有用です。骨盤底筋の収縮をエコーで可視化しながら運動するメニューがあり、体制が整い次第再開したい考えです。産科や婦人科、内科などとの連携を広げ、誰に相談して良いかわからずに困っている方々を支えることができたらうれしいですね。相談しやすい環境を整え、理学療法で生活の質を高めるモデルを築きたいです。
読者へのメッセージをお願いします。

【岡田院長】私たちが一方的に治療するのではなく、当院で学んだことを日常生活でも実践していただくことが改善への近道です。医師と理学療法士が一丸となり体の動きから原因を探し、患者さんと一緒に改善をめざします。子どものスポーツ障害から高齢者の慢性痛まで、多くの年代の方が安心して相談できる場であれるよう尽力してまいります。皆様の不安を希望へと変えるお手伝いができたら心よりうれしい限りです。