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大村 泰史 院長の独自取材記事

在宅療養支援クリニック かえでの風 さがみ

(相模原市南区/相模大野駅)

最終更新日:2020/10/28

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緑多い相模原市南区に位置する「在宅療養支援クリニック かえでの風 さがみ」。周囲にはゴルフ場や大きな公園などがあり、道を挟んだ向かいには大学病院がある。院長の大村泰史先生は、東京医科大学八王子医療センターや日野市立病院で救急医療に従事していた経験があり、同時に訪問診療も約10年間行ってきたというドクターだ。患者を救うための救急医療と、緩和ケアや看取りまで行う在宅医療は、「違うようで、実は通じるところが多いのです」と話す大村院長。患者と長く関わることができる在宅医療は、とてもやりがいがあるのだという。在宅では難しいと思われがちな治療も、大村院長は「まったく問題ありません」と笑顔で話す。在宅医療にかける思いや家族の心構えなど、詳しく話を聞いた。
(取材日2020年7月20日)

1人の患者と長く向き合えることが、在宅医療の魅力

どういった経緯でこちらの院長に赴任されたのですか?

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ここへ来る前は、日野市立病院の救急科にいました。楓の風グループの理事長である宮木大先生を通じて、前院長が辞められるので来てくれないかという話をいただきました。僕は救急科に勤務しながら、約10年間在宅医療も行っていたので、将来、開業するなら在宅と心に決めていましたが、勤務していた救急科は、僕と後輩が出向して立ち上げた診療科だったので、もう少し基盤を固めてからと思っていました。でも、宮木先生の話を聞いているうちに、ひょっとして今がいいタイミングなのではないかと感じ、2020年の4月に赴任しました。

在宅医療のどんな部分が魅力ですか?

外来では、患者さんが来て診療を行いますが、在宅医療は、自分が患者さんの所へ出向くので、その分、患者さんやご家族との関わりが深くなります。それまで患者さんがアウェイだったのが、僕がアウェイになるわけです(笑)。自宅という環境の中ですから、患者さんやご家族も本音で話してくれますし、治療以外のこともいろいろと相談してくれることもあります。僕が携わっていた救急医療と在宅医療は真逆のように思われがちですが、実はとても近い部分があります。救急センターでは、命に関わる方が運び込まれると応急処置をして、落ち着いたらそれぞれの診療科で回復に向けての治療が行われます。その点、在宅医療は、1人の患者さんに長く関わることができます。どんなことにも落ち着いて素早く処置を行うという救急医療の経験が、在宅医療にもそのまま生かすことができます。

どういった状態の患者さんが多いのでしょうか?

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がんやがんの末期、ALSの患者さんなど、どちらかというと要介護度が高い患者さんが多いかもしれません。在宅で輸血も行いますし、がんなどでたまった腹水を抜いて、がん細胞や細菌をろ過し、アルブミン等の物質を濃縮して患者さんの体内に戻すCARTという治療や、カテーテル・ドレーンの管理など、一見、在宅では困難と思われがちな治療も行っています。実は、在宅医療でこういった治療ができるとは思っていない先生方も意外に多いんですよ。がんの末期の患者さんは、点滴や管が入った状態で退院してくることもよくあるのですが、こういった患者さんでも、在宅でしっかりと管理ができる体制を整えています。救急にいた経験を生かして、患者さんが複数の科にまたがる疾患を持っていてもトータルで診るようにしています。

頑張り過ぎないこと、介護は100%でなくていい

在宅での介護は、家族側も受け入れられるかと心配になるのでは?

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医療機関の相談室を経由して患者さんが紹介されるケースが多いのですが、当院の相談員が医療機関の退院前カンファレンスに参加し、患者さんのご家族と話したり、具体的な問題点などを解決したりしていきます。在宅で介護するということは、ご家族の方にとってはそれなりに覚悟が必要になります。最初はどうしても不安がつきまといますが、ケアマネジャーさんなど、さまざまな職種が連携をとって患者さんをサポートしています。

患者さんの具合が急に悪くなったらどうするのでしょうか。

専用の電話番号を患者さんたちに伝えています。当グループには当クリニックを含め4つのクリニックがあり、その4つで連携をとり合い、僕が休みのときは、他の先生が代わりに診療したり、僕が他のクリニックの患者さんを診たりしています。非常勤の先生方もいるので、連携をとりながら24時間365日、患者さんの診療にあたっています。何でもかんでも在宅でというわけではなく、専門的な治療を通院で行い、体調を崩したら在宅医療で僕らが診療するという、通院と在宅を併用することも可能です。治療できる病気なら、医療機関で治療を受けるのがベストですから。

介護する家族にとって大事なことは何ですか?

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100%完璧に介護をしようと思わないことです。在宅介護は完璧でなくて良いのです。家族はつい完璧を望みますが、それよりも、患者さん自身がその人らしく暮らしていけるかということを優先し、その気持ちを大事にして支えていくのが良いと思います。そのためにはいろいろと工夫していくことも必要です。例えば、薬を飲ませるのが大変な場合は、1日1回で済むように工夫したり、同じ作用をする薬は減らしたりします。さらに独居の方は、ヘルパーさんが来るタイミングで飲めるようにするなど、うまく管理できるようにサポートしていきますので、安心していただければと思います。

患者の思いを優先して、支えるためのサポートを行う

先生が患者さんと接するときに大切にしていることは何ですか?

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やはり、患者さん本人の気持ちを一番尊重するようにしています。周囲のご家族はつい頑張り過ぎて、こうしたほうがいい、ああしたほうがいいと言いがちですが、患者さんにどういう希望があるのかをまず聞き出し、それを優先させるようにしています。例えば認知症でうまく気持ちが伝えられない人でも、何とか患者さんの本心を聞き出すように心がけています。

先生はなぜ医師を志したのですか?

身内に医師がいなかったのでなろうと思いました。僕には兄がいるのですが、兄は小さい頃から喘息があり、よく病院につき添っていました。診察する医師を見て、子どもながらに威圧的な態度を感じ「もし両親が病気になったら、身内に医師がいないから安心してみせられないな」と思い、医師をめざそうと思うようになりました。救急を選んだ理由は、全部の診療科が楽しく、一つに絞ることができなかったからです(笑)。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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何度も言いますが、介護をしているご家族は、とにかく頑張り過ぎないこと。いろいろやってみて駄目だったら別の手を考えればいいのです。心配事があったら、主治医やケアマネジャーなどに相談に乗ってもらい、思い詰めないことです。最近はご家族の方も、ショートステイなどを利用して介護を休む日をつくり、定期的に自分たちの時間をとるようにされている方も増えました。さまざまなサポートやサービスをしっかりと活用して、頑張り過ぎない介護をしてください。

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