南部 裕之 院長の独自取材記事
なんぶ眼科
(生駒市/学研北生駒駅)
最終更新日:2025/08/29

学研北生駒駅から徒歩4分ほど、駐車場も備えアクセス便利な「なんぶ眼科」。広々とした院内には患者が撮った写真やクリニックロゴをデザインした作家のハートをモチーフにした絵が飾られ、清潔感の中に温かみが漂う。2016年の開業以来、南部裕之院長は目のかかりつけ医として、ドライアイのような身近なものから、緑内障、白内障、加齢黄斑変性症といった疾患まで幅広く診療してきた。小児眼科では、視能訓練士とともに子どもの弱視、斜視の相談、近視抑制にも対応。基幹病院などで豊富な臨床経験を積んだ緑内障の専門家として、その早期発見・治療にも尽力する。「緑内障などの大病を見逃さないため、目全体を診ることを大切にしています」と院長。同院の特徴などを気さくに語る言葉の端々に、眼科医としての責任感が感じられた。
(取材日2025年7月24日)
目の相談に何でも応じる0歳からのかかりつけ眼科
先生は研究と臨床の両面で眼科医療に取り組んでこられたと聞いています。

関西医科大学大学院では網膜変性、留学先のジョンズ・ホプキンス大学では網膜新生血管の研究に携わりました。診療に関しては、関西医科大学病院、吹田市民病院、倉敷中央病院や奈良市にある永田眼科等の基幹病院・医院で診療にあたり、緑内障を中心にさまざまな眼科疾患の診断・治療を経験しました。緑内障の分野については専門家と言っても差し支えないレベルまで研鑽を積むことができました。分担執筆した、緑内障に関連する書籍がいくつかあり、開業してからも執筆依頼が数回ありました。勤務医時代の経験と知識を生かし、当院でも緑内障の早期発見・治療には力を入れているところです。
どのような患者さんが来院されていますか?
小児眼科にも対応していますので、0歳から90歳代の方まで、偏りなく幅広い年齢の患者さんがお越しになっています。ご縁があってこの場所に開業し9年ほどがたちますが、家族ぐるみで通院してくださる方も増えてきました。例えば最初にお子さまが受診され、そのご両親、ご両親の親御さん、ご兄弟のご家族が次々に受診されることもあります。患者さんを診ると、そのご家族の目の病状が浮かぶことも少なくありません。世代を超えて信頼していただけているのは本当にありがたく、うれしいことだと感じています。近隣だけなく、他府県から来院されることもあります。最近、三重県から白内障手術をご希望になり来院された方もいらっしゃいました。
どんな疾患や症状に対応しているのでしょうか。

白内障や緑内障、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症などの眼底疾患、斜視・弱視をはじめ、幅広い疾患、症状に対応可能です。緑内障、白内障には手術も選択肢として用意し、眼底疾患に対するレーザー治療、硝子体注射も行っています。小さなお子さまですと目やにや流涙を心配されて受診されることが多く、もう少し大きくなると視力や斜視の相談を受けることが増えてきます。全体の傾向としては緑内障の方をはじめ、毎回薬の調整や細かいご説明を要する患者さんが多いという特徴があります。そのため一人ひとりの診療にある程度時間がかかり、ご予約の方にも待ち時間が生じてしまうことがあります。短縮は意識していますがどうしてもという面もあり、申し訳なく思っています。
緑内障を見逃さないという強い責任感で患者と向き合う
ご専門である緑内障の患者さんが多いということでしたね。

ええ。緑内障は視野が欠け、視力が低下する病気ですが、それを自覚して受診されることはほぼありません。視野が半分ほど欠けているのに検査を受けるまで気づかなかった、という方もおられます。患者さん側の訴えがなく、医師側も疑っていないと、緑内障が見逃されてしまうことはあり得えます。そのため、「緑内障を見逃さない」ということを徹底しており、特に罹患者が増える40歳以降の方はその可能性を念頭において診査し、必要ならば精密検査をご提案しています。緑内障は、治って治療が不要になるということは少なく、生涯にわたって付き合っていく必要がある病気です。お子さまも含め、家族歴のある方、緑内障が疑われる場合は注意深く経過を追っています。専門性を生かし治療経過の詳細な記録と分析に基づき、点眼治療、手術を行っています。
白内障の手術についても教えていただけますか?
手術を強く勧めるというより、見え具合や患者さんのご要望を確認しながら、適正なタイミングを見極めてご提案しています。安心して手術を受けていただくために、術前に十分な説明を行い、術中は音楽を流し、手順を「次はこうします」といったようにご説明しながら手術を行っています。ほかの眼科医のお手本になるとは思っていませんが、そうなってもおかしくない丁寧な手技も意識しているところです。これらは白内障に限らず手術全般で心がけています。もう一つ、白内障手術で大事なのは術後の見え方です。白内障で濁った水晶体の代わりになる眼内レンズの度数を決めるにあたっては入念なチェックが必要で、術前には何回もチェックし選択したレンズに間違いがないか確認しています。遠近とも見えるようになる多焦点眼内レンズも選択いただけますが、どの方にも合うわけではありません。その方の理想とする見え方に少しでも近づけて差し上げたいですね。
診療では何を意識されているのでしょう。

症状に関するところだけを診るのではなく、ほかにも病気がないかどうかをチェックする、ということを強く意識しています。緑内障についてはもちろん、お子さまであれば斜視や弱視がないかは確認しています。加えて、患者さんのご年齢や生活背景などを踏まえ、もし自分の家族だったらどんな治療を選択するかも意識して治療のご説明をしております。人生を100年と見たとき、80歳代以上であれば手術などの負担の大きい選択をするより、ある程度症状と付き合っていく選択をするほうがいいということもあり得るでしょう。逆にまだ40歳代なら、先のことを考え、きちんと治していく必要があります。しっかりご説明をした上で、人生に寄り添ったご提案ができればと考えています。
子どもの弱視や斜視の相談には視能訓練士とともに対応
スタッフさんや設備面についてもお聞かせください。

4人も視能訓練士が在籍しているのは、クリニックにはあまりない、当院の特徴かもしれません。視能訓練士が常時複数人いて、ほとんどの検査に対応しています。視能訓練士のおかげで、お子さまの弱視や斜視にも専門的な診療ができます。ほかにも長年働いてくれているベテランのスタッフぞろいで頼もしく思っています。設備面については、緑内障診断に必要なOCT(光干渉断層計)やOCTA(光干渉断層血管撮影)という検査機器、治療に必要なレーザー機器もそろえました。OCTAは一般的に病院レベルで行う検査で、奈良県のクリニックとしてはこの機器の導入はかなり早いほうだったと聞いています。目の血管の状態まで細かく確認できるため、黄斑変性症などの診断や治療経過の確認にたいへん役立ちます。悪い状態だった血管が治療によってどう変化してきたのか、患者さんにわかりやすくご確認いただける点もメリットに感じています。
今後力を入れていきたい分野はありますか?
一つはお子さまの近視進行抑制です。近視は完全に防げないものの、点眼薬を用いた治療も登場し、進行抑制を図れるようになってきました。視能訓練士がいる強みを生かし、専門的なアプローチを提供できればと思います。小学校低学年から10代後半くらいの期間に取り組む必要があるとされているので、早いうちにご相談いただければ。自分の専門分野である緑内障については、新しい知識を常に吸収していきたいな、と思っています。それに、エイジングケアも知識を深めたい分野です。医学的に信頼できるサプリメントのご紹介などができるようになれればと考えています。
最後に、読者にメッセージをお願いいたします。

目のかゆみなどを訴えていらした方に、緑内障などご本人が予期していなかった疾患が見つかるケースは決して珍しくありません。そのため予断を持たず、正しく診断し、わかりやすい言葉で説明し、的確に治療することを常に心がけています。私は勤務医として数多く緑内障を診てきましたので、「緑内障を見逃したら恥」というくらいの思いで、その早期発見・治療に努めています。眼病の発症、悪化を防ぐため、年齢やお悩みの大小に関わりなくどんなことでもお気軽にご相談ください。予想される効果・副作用や生活背景を踏まえて、一人ひとりに合った治療のご提案をいたします。
自由診療費用の目安
自由診療とは近視抑制点眼薬/約4500円~ 多焦点眼内レンズ/26万円~29万円