岡本 よし恵 院長の独自取材記事
だんばら耳鼻咽喉科クリニック
(広島市南区/比治山下駅)
最終更新日:2025/02/26

広電5号線比治山下電停から徒歩10分、大型ショッピングセンターに隣接するビル1階にある「だんばら耳鼻咽喉科クリニック」。院内に一歩足を踏み入れると、開放感のあるゆったりとした空間が広がっている。院長を務める岡本よし恵先生は子どもの頃に難聴を患い苦労したことから、同じような悩みを持つ患者を支えたいと願い、耳鼻咽喉科の医師をめざしたという。同院では、0歳から90代まで幅広い年齢層の、耳・鼻・喉の病気全般に対応。常に患者や家族の立場に立って丁寧に診療。「まず最初に患者さんが何を望まれるかをしっかりとお聞きするよう努めています」と優しく語る岡本院長に、医師をめざしたきっかけや診療の際の心がけ、今後の展望などについて聞いた。
(取材日2023年2月1日)
子どもから高齢者まで、耳・鼻・喉・頸部の病気に対応
医師をめざしたきっかけや開業までの経緯をお聞かせください。

10歳の時に難聴を患い苦労したことが医師をめざすきっかけになりました。難聴は見た目ではわかりにくく、伝えるまでは気づいてもらえません。「同じような悩みを持つ患者さんにきちんと対応できる医師になりたい」という思いから、大学卒業後は耳鼻咽喉科に入局。当時いろいろな診療科の説明会に参加したのですが、自分の病気のこともあり、やはり最終的に耳鼻咽喉科を選びました。その後、大学病院や関連病院で勤務し、結婚・出産を機に非常勤で働くことに。時を経て再び常勤に戻るにあたり、家庭との両立を考えると病院勤務は難しいと考え、開業を決意しました。開業にあたっては、患者さんに安心して過ごしていただけるよう、ゆったりとしたスペースづくりを心がけましたね。
どんな患者さんが来院されていますか?
0歳から90代まで幅広い年齢層の患者さんがいらしています。クリニックビルの1階にあるため、車いすをご利用の方にも来院いただきやすいと思います。当院は耳鼻咽喉科ですので、耳・鼻・喉の病気全般を診療していますが、最近はめまいなどに加え、新型コロナウイルス感染症の症状が治まった後さまざまな症状が続く方にも治療を行っています。さらに最近増えている好酸球性副鼻腔炎に対する治療や睡眠時無呼吸症候群の治療、帯状疱疹の予防接種などにも対応しています。帯状疱疹の発症や顔面神経麻痺などの合併症を防ぐためにも、50歳を過ぎたら予防接種をご検討ください。
ご自身の経験から難聴治療にも力を入れているようですね。

そうですね、やはり難聴にお悩みの患者さんをお支えしたいという思いは強いです。難聴を含め耳鼻咽喉科の病気の中には、手術することで症状の改善が期待できるものもあります。中には手術について今まで聞いたことがないという方もいらっしゃいますので、丁寧にご説明させていただいた上で、手術を望まれる場合には大学病院や基幹病院などに速やかにご紹介させていただきます。聞こえにくさは生活の質に大きく関わるので、医療機関できちんと診断してもらい、症状や状況に応じて、自分に合った治療方法やサポートを医師と一緒に考えていくことが何より大切です。選択肢の一つとして、当院では補聴器の外来も行っています。補聴器について詳しくご説明させていただいてから貸し出しを行い、生活の中でお試しいただくようにしています。まずは実際に使用して使い心地を確かめた上でご購入されるかどうかを判断してほしいと思います。
常に患者や家族の立場に立ち、丁寧な診療を心がける
アレルギー疾患の治療についても教えてください。

当院では、注射器を使わずにアレルギー検査が行える先進機器を導入しているほか、アレルギー性鼻炎や花粉症の根本的な改善が期待できる舌下免疫療法も行っています。アトピー性皮膚炎から始まり、喘息、アレルギー性鼻炎など、年齢を重ねるにつれて次々とアレルギー疾患を発症する現象を「アレルギーマーチ」と呼びます。このアレルギーマーチを抑えるためにも、適応年齢である5歳に達したらできるだけ早く舌下免疫療法を始めることがお勧めです。少なくとも3年は治療を継続する必要がありますし、有用性にも個人差があります。それでも根本的な改善が期待できることを考えると、試してみる価値があると思うのです。その他、花粉症の治療も行っていますので、アレルギー疾患にお悩みの方はぜひご相談ください。
診療の際にはどんなことを大切にされていますか?
「病気を治して差し上げたい」という思いが強く、勤務医時代には治療が難しい病気の患者さんやご家族に向き合うのに大変さを感じることもありました。説明してご理解いただけたように思えても、最終的に不満を抱かれることもあったんです。そうした経験を通じて、常に患者さんやご家族の立場に立って診療することの大切さを学びました。そのため診療の際には最初に患者さんが何を望まれるかをしっかりとお聞きするよう努めています。また耳や鼻の中は自分では見えませんから、モニターに投影してご自身にも内部の状態を見てもらうようにしています。現在はウェブ上で問診まで行える予約システムを導入し、来院前に患者さんの声を拾えるようになりました。患者さんとのコミュニケーションという面ではスタッフたちにも助けてもらっています。患者さんが望まれる方法をお聞きし、相談しながらご提案させていただくようにしています。
お子さんの場合はいかがですか?

お子さんが治療を怖がるようでしたら、親御さんに手を握っていただいたり、すぐに治療できないと判断した時には、少し時間を空けて来ていただいたり、日を変えていただいたりするなど、柔軟に対応させていただきます。最初は嫌がる子でも、そのうち治療を受けられるようになると思いますから、無理に治療を進めないことも心がけていますね。お子さんの場合でも、治療すれば症状の改善がめざせるということを、本人にきちんと説明して理解してもらうことは欠かせません。その点をご家庭でもお子さんに話していただくようお願いするんです。理解できると素直に応じてくれるようになるお子さんが多いですね。スタッフの多くも子育て中で、親御さんがお困りなら赤ちゃんを抱っこして差し上げるなど、アットホームな雰囲気。ご不安な方にもどうぞ安心していらしていただければと思います。
難聴治療に一層力を入れ、「聞こえ」をサポートしたい
スタッフさんとの協力体制も整っているのですね。

現在、看護師6人と受付スタッフ6人が在籍しています。スタッフたちには、「気になることがあったら何でも言ってね」と日頃から声をかけています。子育て中のスタッフもいますから、スタッフの働きやすさと患者さんの満足度向上をめざし、互いに情報共有して接遇などを改善していくよう努めています。当院では感染症対策として、発熱などの症状がある患者さん用の個室を造ったのですが、それもスタッフたちがアイデアを出してくれたんですよ。
先生のご趣味についても教えていただけますか?
私はテニスが好きで、大学時代は硬式テニス部に入ってテニスに打ち込んでいました。当時の部内は上下関係も厳しく、練習もとてもハード。部活動を通じて、医師として働くことの大変さも教えられたように思います。またその頃の仲間の多くが今では立派な医師になっています。良い出会いに恵まれたとも感じていますね。大学卒業後もずっとテニスを続けていたのですが、一昨年くらいにテニス中に膝が腫れてきまして。病院を受診したところ、「テニスを続けるには手術が必要になる」と言われ、それ以降テニスは中断しています。ただ、そろそろ体を鍛えたいと思っていまして。健康維持のために筋力トレーニングを行うことが今年の目標ですね。
最後に今後の展望についてお聞かせください。

難聴治療に今以上に力を入れていきたいです。マスク生活によって、軽度難聴の若い方々も、読唇できない、声が聞こえづらいなどの悩みを抱えて来院される方が増えました。また日本では、加齢性難聴の患者さんの数に対し、補聴器の所有率が低いのが現状です。補聴器に対して、「費用が高い」「煩わしい」などネガティブなイメージがあるのかもしれません。適切な補聴器の使用をサポートすることで、難聴にお悩みの患者さんをお支えすることが私の願いです。中には治療できる難聴もありますし、難聴であることをご本人が気づいていないなら、ご家族の協力も得てサポートさせていただきたいと考えています。「聞こえ」の改善ができれば、認知症の予防につながるともいわれています。耳の専門家として「聞こえ」をサポートしたいと願っていますので、まずはお気軽にご相談ください。