小見山 知之 院長の独自取材記事
ひまわり眼科
(今治市/今治駅)
最終更新日:2024/05/30

岡山大学大学院や香川県丸亀市の香川労災病院で研鑽を積み、眼科を専門とする医師として白内障や糖尿病網膜症、緑内障などの患者の診察、治療に尽力してきた小見山知之先生。40年以上にわたって培ってきた医療経験や知識を生かし、地域医療に貢献したいとの思いから2023年12月より「ひまわり眼科」の院長に就任した。積極的に先進検査機器の導入に取り組み、疾患の早期発見・早期治療に努めている。「眼底三次元画像解析装置(OCT)や自動視野計も導入しましたので、今後は小さいお子さんからご年配の方まで安心して受診していただける地域のホームドクターをめざしたい」と話す小見山先生に、これまでの経験やクリニックの診療方針、先進的な検査機器などについて聞いた。
(取材日2024年5月9日)
生涯見える目をめざし、疾患の早期発見に尽力
コンタクトレンズ専門店と提携されているということで、コンタクトレンズの処方に強みがあるそうですね。

今やコンタクトレンズは遠近両用、乱視用、色つきの物などさまざまな製品が登場し、オンライン販売も普及したためより手軽に使えるようになり中高生の装用者も増えています。しかし、その一方でオンライン購入によるトラブルも増加し、装用者の約10%に目の異常が発生しているといわれています。コンタクトレンズは高度管理医療機器ですから、眼科での診察が必須です。私は眼科の医師として、しっかりと患者さんの目を診てコンタクトレンズを装用できる状態であるかを判断し、一人ひとりの目の形に合った適切なコンタクトレンズの提案に努めています。また、コンタクトレンズは装用時間や使用方法を誤ると重篤な角膜感染症を来す可能性が高くなります。そのため、当院では正しい装用方法や消毒の仕方などを説明し、定期的な検診で患者さんの大切な目の健康を一緒に守っていきたいと考えています。
クリニックの特徴について教えてください。
多くの学校や会社が休みになる土曜日、日曜日に診療を行っているのが当院の特徴の一つです。インターネットや電話、ファックスでの予約を受けつけ、予約の方はなるべく待ち時間を少なくするよう努めています。週末は混み合うことがあり、予約以外の方は待ち時間が長くなる場合もありますが、ショッピングセンターの中にありますので、お買い物などをしながら楽しくお待ちいただき、順番が来たらお呼び出しするサービスも行っています。また待ち時間も落ち着いて過ごしていただけるよう院内にはリラックスできる音楽を流し、ソファーなどはベージュ系の色味で統一しています。
検査機器も充実していると伺いました。

院長就任後に、いくつか新しく検査機器を導入しました。まずは自動視野計。緑内障などの診断に用いる機器です。従来の視野検査は片目ずつ行うため両目の検査に30分以上かかることもあり、また暗室で行うため検査にストレスを感じる患者さんもいらっしゃいました。ですが、当院で導入した自動視野計は暗室で行う必要はなく、一度に両目の検査が可能なので、暗く狭い場所が苦手な患者さんや、車いすを利用されているといった移動が難しい患者さんも、気軽に視野検査を受けることができます。次に眼底三次元画像解析に使用するOCTです。この装置を使うと、目の奥の網膜などの断層面の観察ができ、緑内障や糖尿病網膜症、加齢黄斑変性などさまざまな目の疾患の早期発見につなげられます。
診察の「見える化」で安心の眼科医療を提供
さまざまな目の疾患を早期発見できるように努めていらっしゃるのですね。

そうですね。さらに角膜内皮細胞の数を検査するためのスペキュラーマイクロスコープも導入しました。角膜内皮細胞は、角膜の呼吸や代謝の役割を担い、角膜の透明性を維持するためにとても大切なものです。この角膜内皮細胞が減少すると目の奥に光が届きにくくなり、見えづらさ、視力低下を引き起こします。その減少要因としては、目の手術や長期間のコンタクトレンズ装用、加齢などが挙げられます。残念ながらこの細胞は、一度減少すると元に戻ることはありません。ですから当院では、コンタクトレンズを初めて処方する患者さんには必ずこの検査を行い、角膜内皮細胞の数値に問題がないかどうか確認します。その他に角膜形状解析装置も新たに導入しました。これは角膜表面の形状を測定するもので、円錐角膜や角膜不正乱視、白内障手術前後の診断、経過観察に使用します。
患者さんに対して大切にしていることはありますか?
小さいお子さんから高齢者まで安心して受診していただけるよう、異常が見られる箇所をできる限り撮影し、画面で見せるなどして患者さんへ丁寧でわかりやすい説明を心がけています。丁寧に診察し異常があれば、ともに治療し、手術など当院での治療が難しい場合は病診連携をしたいと考えています。治療後の患者さんの笑顔を励みに、これからも地域の皆さまの目の健康を守るホームドクターとして信頼いただける眼科医師をめざし、適切な医療を提供できるよう長く患者さんに寄り添い、支えていきたいと思います。
医師をめざしたきっかけについても教えていただけますか?

子どもの頃は小児喘息の発作や花粉症で医療機関にはよくお世話になりましたので、医師への尊敬の念がありました。しかし、なりたいという気持ちはありませんでした。医師の道を意識したのは高校3年の時。進路相談で担任から「医学部だといろいろな専門分野があるので、医学部に進んで将来を考えるのがいいのではないか」と勧められ、教師であった父の母校である岡山大学の医学部に進みました。眼科の手術ではピンポン玉くらいの大きさの眼球を手術するのですが、割と細かい作業が好きだったことと、手術には左右の手を生かせるという話を聞き、もともと左利きですが、箸を持ったりや字を書いたりするのは右手であるため、両利きの自分には向いているかもしれないと思い、眼科を選びました。白内障手術を受けた患者さんの術後の姿を見て、やりがいを感じたのも一因です。
目の健康を長い目で見守るホームドクターに
医師になられてから院長に就任されるまでの経緯を教えてください。

岡山大学大学院で眼科の臨床と網膜関連の研究を経て、香川県丸亀市の香川労災病院で39年間お世話になりました。主に白内障や糖尿病網膜症、緑内障などの患者さんの診察、治療やVDT健診を担当していました。香川県はうどん県ともいわれていますが、それもあってか糖尿病の方が多く、糖尿病網膜症のためレーザー治療の必要な方が非常に多いことに驚きました。私が医師になった当時から白内障手術一つとっても年々進化し続けているので、手術の勉強は大変でしたが、新たな知識、技術を身につけて患者さんのために尽くす日々はとても楽しく充実していました。そして70歳近くになり、そろそろ手術の引退を考えていた矢先、80歳になっても働ける眼科を探す中でご縁があり、2023年12月より当院に勤めることになったのです。
お忙しい日々だと思いますが、休日の過ごし方についても教えていただけますか?
まだ今治市に移り住んで半年ほどですので、落ち着いたら休みを利用して愛媛県内をいろいろと散策したいと思っています。学生時代に卓球をしていたので卓球をはじめ、バスケットボール、プロ野球、今治市にはプロサッカーチームもあることですし、さまざまなスポーツ観戦をして休日を過ごしています。今治市のサッカーチームのホームスタジアムが当院のすぐ近くにあり、先日も試合を観戦してきました。フィールドがとても近くて臨場感があり、観客との一体感もあって応援しがいのあるいいスタジアムでした。
読者に向けて一言メッセージをお願いします。

間違った度数の眼鏡やコンタクトレンズを装着していると、近視が進んでしまったり、眼精疲労により、さまざまな症状を引き起こしてしまったりすることがあります。さらに視力低下は目の病気が原因となることもあります。ですから眼鏡やコンタクトレンズを作る場合には、必ず眼科の医師の適切な処方を受けることが大切です。また目の病気には緑内障や糖尿病網膜症のように初期から中期までは自覚症状が乏しいものがあります。特に40歳を超えたら、目の病気の早期発見のために、眼底検査で目の健康を定期的に確認しましょう。人生100年時代にあって、長く見える状態を維持するために、自覚症状のないうちから手を打つことが何より重要です。