高路 修 院長の独自取材記事
こうろ皮ふ科
(大竹市/大竹駅)
最終更新日:2025/03/24

JR山陽本線・大竹駅から徒歩15分、立戸2丁目バス停前にある「こうろ皮ふ科」。7台分の駐車場が用意され車でも通いやすい。開業は2007年だが、院内は明るく清潔で時間経過を感じさせない。待合室は天井が高く広々としており、高齢者や子ども連れでも過ごしやすそうだ。高路修院長は、長きにわたりアレルギーの研究に力を注いできた一方で幅広い診療に携わり、手術の腕も磨いてきたベテラン医師。穏やかで優しい語り口は悩みを抱えた人に大きな安心感を与えるだろう。「皮膚とアレルギーのプロ」として日々患者に向き合う高路院長に、これまでの歩みや診療で大切にしていることなどじっくり語ってもらった。
(取材日2025年2月25日)
研究に力を注ぎつつ診療でも幅広く研鑽を積み開業
医師をめざしたきっかけ、皮膚科を選ばれた理由を教えてください。

母が看護師で幼い頃から医療を身近に感じていました。もう1つ大きな出来事があり、幼稚園の頃に池に落ちて危険な状態に陥ったんです。戦争中に衛生兵だったという近隣の方が人工呼吸を施してくださり、水を吐き出して一命を取り留めたようです。その話を親から何度となく聞かされるうちに、自分も人を助けることをしたいと考えるように。漠然と医師になりたいという思いを持ち続け、高校卒業後の進路選択の際、その思いを実現するため医学部受験にチャレンジしました。
どんな学生生活を送られたのでしょうか。
広島大学に入学しましたが、クラブ活動にはほとんど参加せず、空き時間には塾の講師をしていました。チューターグループというアルバイト学生のグループがあり、行動をともにすることが多かったんです。皆同じ医学部の学生で、卒業後も何かの折に会うなど長く付き合える友人ができたのは人生の一番の宝です。また、診療科を選ぶ際に影響を受けた先生のことも忘れられません。それぞれの診療部門を統括する先生の考え方を聞いてどこに所属するか決めようと考え、いくつかの部門に説明を聞きに行ったんです。皮膚科の先生だけが医療の厳しい現実や未来について率直に語ってくださり、うそやごまかしがないところに惹かれ、その先生のもとで勉強したいと思い皮膚科に進みました。
卒業後は診療だけでなく研究にも力を注いでこられたそうですね。

初めは研究のほうに興味があり、1年目のときに先生から声をかけられ徐々に引き込まれていきました。メインテーマはアレルギーで、原因物質やメカニズムを探るような研究を手伝っていました。2年目は島根県立中央病院で厳しい指導を受けながら診療について学び、腫瘍の切除などの手術もたたき込まれました。3年目に大学に戻り、教授から「君は内科系皮膚科、外科系皮膚科のどちらをめざすのか」と問われ、「内科系なら研究に注力し、外科系なら手術の修練を」と言われたんです。実は少し前に形成外科を専門とする医師の手術を見る機会があり、到底かなわないと思い知らされたばかりでした。それで内科系皮膚科に進み、アレルギーの研究および診療に取り組んできました。
内科系皮膚科に進まれてからのご経歴をお聞かせください。
2年ほど大学に勤務し、その後ロンドンに2年間留学しました。留学先では「脂質メディエーター」というアレルギーを引き起こす物質の研究に没頭。帰国してしばらくは大学で研究と診療に従事し、その後県立広島病院で皮膚科部長を務め、2007年に51歳で当院を開業しました。この場所を選んだのは、皮膚科が少ない地域で遠方まで通院されている方が多く、お役に立てるのではと考えたからです。
一人ひとりに適した治療を重視。生活上のアドバイスも
患者さんの年齢層や受けられる治療について教えてください。

お子さんからご高齢の方まで患者さんの年齢層は幅広いですね。ご高齢の方では、冬になると乾燥によるかゆみを伴う湿疹、霜焼けに悩む患者さんが増えます。お子さんは1年を通してやけどや虫刺され、縫合が必要なケガなどさまざまで、食物アレルギーの相談もあります。そのほか、巻き爪の治療や炭酸ガスレーザーによるイボの切除、花粉症の舌下免疫療法なども手がけています。私の得意分野はアトピー性皮膚炎やじんましんです。アトピー性皮膚炎は副作用の少ない薬が増えており、症状の重い方には生物学的製剤という注射薬もあります。一方、じんましんは原因が特定できるものについては特定し、その原因を避けるようにします。ただし、慢性じんましんの8~9割は原因が不明です。飲み薬による治療を根気良く継続できれば、薬を徐々に減らす減薬や治癒もめざせます。
診療ではどんなことを心がけていますか?
診察室での患者さんを診るだけでなく、ご自宅での生活を想像するよう努めています。「かゆくてかいてしまうこともあるのだろう」「痛み止めを出しているけれどまだ痛むかもしれない」など、患者さんがどう感じているかを想像するのです。また、間違った知識を信じておられる方には正しい知識を丁寧に説明します。正確な知識がベースにないと治療がうまくいきませんからね。さらに皮膚科のプロとして大切にしているのは、処方する塗り薬を実際に塗って、塗り方や塗る量をしっかりお伝えすること。初めての患者さんや久しぶりに来られた患者さんの場合は特に重要です。患者さんが薬を適切に使えるよう、優秀なベテラン看護師が親身にアドバイスしています。
生活上の助言などもされますか?

入浴に関する考え方などもお話ししますね。例えば、水虫があると家族にうつしてしまうのではとご心配でしょう。入浴の際にもっともうつりやすいのは足拭きマットですが、水虫菌は皮膚について24時間たたないと感染しないため、理論上は毎日同時刻に入浴していれば感染しません。必要以上に恐れることはないのです。また、高齢になると手が届きにくくなり、足の指の間をしっかり洗えていない方が結構います。そういった日々のちょっとした困り事に気づいて対処法を助言するのも皮膚科開業医の役割だと思っています。薬を塗るべき場所に手が届かなければ、「こういう工夫をすれば塗れるんじゃないですか」といったアドバイスもします。独居の高齢者も多く、家族に頼んで塗ってもらうことができないケースも増えていますからね。
変わらぬ診療を提供し続け、地域医療への貢献をめざす
お子さんの診療ではどんなことに注意されていますか?

うそは言わないようにしています。治療に痛みを伴う場合には「痛いけれど我慢できる?」と聞いて「頑張る」というお子さんには治療を続行し、「どうしても嫌だ」という場合には別の方法を考えます。例えばイボの治療には一般的に液体窒素を使いますが、じっと我慢していてくれないと治療ができないので、痛みに敏感なお子さんには貼り薬など痛みの少ない治療を選択します。水イボも、今はピンセットで取るのではなく貼り薬などを使うケースがほとんどです。保護者の皆さんには、痛みの少ない治療選択肢もあることを知っていただきたいですね。
先生がめざすクリニック像についてお聞かせください。
当院は地方のクリニックですから、患者さんは幅広い診療を求めています。そのため、開業当初からオールラウンドプレーヤーをめざしており、これからもそのスタンスは変わりません。アレルギーの診療を中心に、皮膚科もなんでも診られるように準備しています。大きな手術はできませんが、小さな手術なら当院でも可能です。さらに年齢を重ねても今の診療を維持できるよう、休日にはジョギングなどで体を動かし、体力維持に努めています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

特に地方の開業医には、大規模病院とは別の役割があるでしょう。日常生活を想像しながら患者さんに向き合ったり、薬の塗り方を丁寧に説明したりするのもその一環です。皮膚とアレルギーのプロとしてお一人お一人に寄り添った診療を心がけていますので、どんなことでもご相談ください。これからもこまやかながら地域医療に貢献していければと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは男性型脱毛症/6600円~