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堤 光太郎 理事長の独自取材記事

つつみクリニック福岡

(福岡市博多区/呉服町駅)

最終更新日:2020/07/17

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福岡市博多区を中心に福岡市全域、粕屋郡、春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市、鳥栖市、久留米市、小郡市まで、24時間365日の在宅医療を提供する「医療法人 徳隣会つつみクリニック福岡」。その在宅医療を支えるのは医師や看護師をはじめ、放射線技師、医療ソーシャルワーカーなどのプロフェッショナルたちだ。また在宅での検査を可能にするポータブル検査機器も各種そろえることで、病棟の診療と遜色ない在宅医療を実現している。悪性腫瘍の専門家、堤光太郎理事長が掲げるのは「地域に根差した心温まる医療」。人を思いやる「恕(じょ)」の精神を胸に、満足度の高い在宅医療サービスをめざしている。堤理事長に在宅医療の重要性やそのメリット、今後の課題などについて話を聞いた。
(取材日2020年7月2日)

テーラーメイドの在宅医療でさまざまな課題をクリア

在宅医療に携わるようになったきっかけをお聞かせください。

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福岡大学医学部を卒業後、同大学の腫瘍・血液・感染症内科に入局し、がんに対する診療一般に携わりました。2年間病棟で経験を積み、悪性腫瘍の研究を深めるために大学院に入ったのですが、時を同じくして祖父の体調が悪化。家業である土木砕石業を手伝うために、実家へと戻りました。臨床からは離れたくなかったので、仕事の合間を縫って地元の在宅医療をお手伝いさせていただきました。家業が落ち着いたタイミングで自分の道について考えるようになり、さまざまな患者さまと向き合うことができる在宅医療に携わることを決意。2014年に佐賀県鳥栖市に「つつみクリニック」を開院してノウハウを身につけた後、2016年に「つつみクリニック福岡」を開院しました。患者さまの容体がいつ急変しても駆けつけられるように、どちらのクリニックでも24時間365日の往診に対応しています。

在宅医療の中でどのような部分にやりがいを感じられたのでしょうか?

在宅医療はテーラーメイドの医療。病棟での診療は病気をいかに治療するかという課題に向き合うケースが多いのですが、在宅医療では病気だけではなく周りの社会背景や生活環境、家族のサポートの有無など、一人ひとり抱えている課題が違います。病気以外にもトラブルを抱えている場合がしばしばありますが、その課題に対して医療という立場から介入し、一つ一つ解決していくことに非常にやりがいを感じています。また病院では接点のなかった多くの方と出会えることも大きな魅力。例えばケアマネジャーや訪問看護師、介護士、リハビリスタッフなど、在宅医療には多くの方の協力が必要不可欠です。そうした医療を支える方々と出会い、一緒に患者さまのサポートができるというのも在宅医療の醍醐味だと思います。

どういった患者さまが多いのでしょうか?

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保険診療で対応できるのは、クリニックから16km圏内と決まっているのですが、主に福岡市全域、粕屋郡、春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市、鳥栖市、久留米市、小郡市まで広範囲の在宅医療に携わっています。患者さまは認知症の方が最も多く全体の4割程度。心疾患、脳血管疾患の方がそれぞれ1〜2割、がんの終末期、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病などの神経難病、指定難病の肺線維症などの患者さまも多くいらっしゃいます。このように重症患者さまがメインとなっている一方、皮膚科領域の褥瘡(床ずれ)など、とにかく疾患にこだわらず、多岐にわたる症状に対応しています。

クリニックの機動力と総合病院並みの資源力

24時間365日の往診対応には、スタッフ体制も非常に重要だと思います。

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当クリニックでは、2拠点合わせて約70人のスタッフを配置するなど、人材面でのインフラを強化しています。患者さまが満足する医療を提供するため、さまざまな人材を複合的に活用し、多様なニーズに応えられるように工夫しています。例えば医療ソーシャルワーカーを採用し、病気だけではなく生活面での課題を抽出。放射線技師や臨床検査技師を配置し、ポータブル系の医療機器も充実させているので、自宅にいながらエコーやエックス線検査を受けることができます。また言語聴覚士による嚥下訓練、管理栄養士による食べる意欲を持つための食事指導を実施するなど、さまざまなサポートが可能です。さらに、今年度からはケアマネジャーも加わり、ケアプランセンターも設立しました。クリニックの機動力、そして総合病院のような人材・機材面の資源力を併せ持った在宅医療は、当クリニックの大きな特徴になっています。

在宅医療には地域との連携も欠かせないと伺いました。

在宅医療は地域と二人三脚でなければ成し得ないというのが、私の持論です。どれだけ人員を充実させ患者さまに対応できても、薬が処方できなければ治療はできませんし、各種検査の結果が出せなければ正確な診断もできません。そのため地域の24時間365日対応可能な訪問薬剤師や検査会社との連携を欠かすことはできないのです。他方で地域のかかりつけ医や大学病院との連携も重要。私たちの理念は、可能な限り在宅での療養を応援することではありますが、入院したほうが医療的なメリットを享受できる場合には躊躇なく入院を勧めます。逆に在宅医療のサポートで1日でも早く退院することができれば、患者さまやご家族自身はもちろん、大学病院などの先進医療を担うべき医療機関の負担を減らすことができ、ひいては地域の医療体制に余裕を持たせることにつながるはずです。

今後の在宅医療における課題について教えてください。

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医療において、在宅医療は患者さまの最終的な受け皿になると考えています。今後ますます進む社会の高齢化に伴い、まずは独居の高齢者にいかに対応していくという目の前の課題に真摯に向き合っていくことはもちろん、在宅医療に関するシステムをつくり上げることが必要だと考えています。長寿命の日本は、先進国の中でも高い水準で高齢化が進んでいます。2040年に到来すると言われる高齢化のピークを乗り切る在宅医療の仕組みをつくることができれば、そのシステムはほかの国々にも生かせるはず。そのレベルまで在宅医療を発展させるというのは、医療界においても、一医師としても今後の課題だと思っています。

「恕(じょ)」の精神で先回りした医療サービスを

在宅医療ではさまざまな病気に対応する必要がありますが、先生のご専門が生かされている部分は?

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当クリニックでは小児科以外すべての診療科に対応しています。そのためには総合診療的な知識と技術を持っていなければなりません。私自身、大学病院時代にはがんを専門的に診てきました。その内容は、白血病などの血液がん、卵巣がんや乳がん、あるいは肺がん、胃がんをはじめとした固形がん、といった具合に当時から全身の治療に携わる必要がありました。またホスピスのような緩和医療やお看取りの経験なども、現在の在宅医療に生かすことができています。

患者さまと向き合う際には、中国古典の論語にある「恕(じょ)」の精神を大切にされているそうですね。

「恕」の精神とは論語の一節にある「己の欲せざるところ人に施す事なかれ」という言葉を意味します。これは簡単に言うと、人からされてうれしいと思うことを人に施しなさいという考え方。この考えは医療現場においても重要で、患者さまから要望を聞く前に先回りをして医療サービスを提供することを大切にしています。病気を治療する一般的な診療とは違い、在宅医療には答えがありません。表情や雰囲気、言葉などから患者さまの思いをキャッチし、かゆいところに手が届く医療が必要なのです。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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若い方は通院に困難もなく、私たちの在宅医療は必要ではないかもしれませんが、ご家族やご近所の方など、身の周りには必ずお困りの方がいらっしゃるはず。在宅医療に関する情報を知らないことで、さまざまな機会損失をしているケースもありますので、ご一報いただければシステムから料金まで、幅広い提案によって現状を改善できると思っています。もちろんご相談させていただいた上で、通院のほうがよりメリットを受けられるという結果になることもありますし、それも一つの解決方法です。そして、今後は「治せる在宅医療」というのも掲げて取り組んでいきます。例えば悪性リンパ腫は、しっかりと治療を継続すれば治癒が期待できます。病院で治療をした後は入院をしなくていいようにフォローアップしていくのが私たちの役目です。些細な疑問でも構いませんので、興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。

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