竹内 一哉 院長の独自取材記事
竹内リウマチ整形外科クリニック
(北九州市門司区/門司駅)
最終更新日:2023/07/21
門司駅から車で5分、西鉄バス・新小文字病院前バス停から徒歩すぐの場所にある「竹内リウマチ整形外科クリニック」は、2016年に開業。一般整形外科に加えて、関節リウマチの診断・治療、リハビリテーションにも力を入れているクリニックだ。院長の竹内一哉先生は、多数の手術にも携わってきた整形外科のエキスパート。日本リウマチ学会リウマチ専門医として生物学的製剤などの薬剤も活用しながら、リウマチ治療にあたってきた。もっと患者に寄り添う医療を提供したいという思いから開業を決意。そんな院長を慕って、幅広い年齢層の患者がクリニックを訪れる。優しい笑顔が印象的な竹内院長に、同院の特徴や診療にかける想いについて話を聞いた。
(取材日2021年9月30日)
一人でも多く患者の痛みや不安を取り除きたい
これまでのご経歴と開業までの経緯についてお聞かせください。
産業医科大学を卒業後、整形外科に入局し、大学病院や関連病院で研鑽を積みました。前任の新小文字病院では24時間365日、救急の対応もしていましたので幅広くさまざまな症状の患者さんを診てきました。主にケガや骨折などの外傷、関節リウマチ、関節疾患などの症例に携わり、たくさんの手術を任されて鍛えられました。もともと開業志向ではなかったのですが、たまたま新小文字病院の前にクリニックを建てるのにちょうどいい広さのスペースが空いていて。もっと身近な医師として患者さんの治療を行えるチャンスかなと思い、開業を決めました。大きな病院では、検査をして異常がなければ「病気の所見はない」ということで終わってしまいます。しかし、それでも症状は一向に治まらないとなれば、誰でも不安になるものです。クリニックならではのきめ細かな診療を心がけ、一人でも多くの患者さんの痛みや不安を取り除きたいと考えています。
クリニックの特徴を教えていただけますか?
クリニック名に「リウマチ」と入れていますが、あくまでも自分は整形外科の医師と考えています。リウマチ疾患については化学療法も含めた専門的な治療に取り組んできたので、得意な分野ではあります。「関節リウマチかも」と思って来院されたとしても、リウマチではないと診断されることは多いです。しかし、そうした患者さんも手のこわばりや痛みがあるわけですから、根本的な原因をしっかり見極めて治療をしていく必要があります。長らく現場で培った経験と知識を生かし、整形外科とリウマチ科の両面から不調にアプローチしていけるのが当院の強みといえます。私が医師になった時から掲げているテーマは、痛み止めが効かないような痛みへの取り組み。リウマチの診療に携わるようになったのも、痛みに着目したからです。患者さんの痛みをうまくコントロールし、生活の質の向上や維持をめざしています。
どのような患者さんがいらっしゃいますか?
四肢や関節などの痛みや痺れ、ケガ、骨折といった一般的な整形外科で受診される方が約7割、残りの約3割がリウマチ性疾患の患者さんです。もともと門司区はご高齢の方が多い地区ですので、以前は60歳から100歳近くまでの患者さんが中心でしたが、最近は若い患者さんが増えてきました。スポーツ障害のリハビリテーションも行っており、スポーツをされている方や学校の運動部に所属している小中高校生も多いですね。小さなお子さんからご年配の方まで、幅広い年齢層の患者さんに臨機応変に対応していきたいと考えています。
より精度の高い治療のために、先進の機器を導入
内装や設備についてこだわった点はありますか?
清潔感を第一に考えた院内づくりをしています。人が集まる待合室には空気が動くよう天井を高くしてシーリングファンを取りつけました。検査機器で特にこだわったのがエックス線装置です。当院で導入しているエックス線テレビシステムは、被ばく量が少ないことはもちろんですが、解像度が極めて良く、一つの機械で、単純撮影、断層撮影(トモシンセシス)、骨密度検査ができて、立った状態で全脊椎の撮影、全下肢の撮影が可能で、立位の背骨や骨盤、股関節、膝関節の状態を把握できるスロットアドバンス機能も備えた大規模病院に負けない機械です。また、リハビリテーション室も広く取りたかったので、100平米の専用ルームを設置しました。ウォーターベッドや低周波、中周波療器などの物理療法で用いる機器のほか、トレーニングマシンも充実させています。
関節リウマチとはどのような病気なのでしょう?
関節リウマチとは自己免疫疾患で、膠原病の一種です。本来は自分の体を守るべき免疫機能が、何らかの原因で自分の骨や関節軟骨を攻撃・破壊します。恐ろしい病気と考えられていますが、アレルギー疾患と同様に、適切に治療していくことで症状を緩和させ普通の日常生活を送ることもめざせるでしょう。リウマチの治療といえばステロイドで、副作用が怖いと思われがちですが、他の膠原病に比べ投与量は極めて少ないです。ただし、早期より急速に進行する難治例もあるため、早い段階で診断して治療することが必要です。従来型抗リウマチ薬や生物学的製剤や分子標的薬も適切に使うことで、寛解が見込める患者も多いです。また関節リウマチは診断に決定的な検査マーカーがなく、医師の経験や知識に頼る部分が大きい病気です。当院では、病歴や身体所見、血液検査、関節エコーなどの結果から総合的に判断し、的確な診断と適切な治療に結びつけられるよう努めています。
どんな時にご相談したらいいですか。
最近はテレビ番組でも関節リウマチが取り上げられており「もしかしたらリウマチかもしれない」と心配して来院される方が増えています。関節リウマチでは、関節の痛みや腫れ、動かしづらさなどの症状に加えて、発熱、だるさといった全身症状が現れることがあります。同じような症状を来す整形外科疾患はほかにもあり、リウマチと誤診されるケースも少なくありません。そういったことがないように、まずは整形外科を専門とする医師の診察を受けることが重要です。リウマチかどうかを判断するためにも、気になることがあれば早めにご相談いただきたいですね。
患者の声に誠実に耳を傾け、適した治療を選択する
運動療法にも力を入れているそうですね。
運動器の不調に対しては薬や注射だけでなく、運動も大切です。痛みの原因がバランスの崩れた姿勢や日常動作のちょっとした癖にあることも多いため、理学療法士による専門的なリハビリを受けていただくことが、痛みを和らげて日常生活に早く戻っていくための近道と考えています。特に成長期のお子さんのスポーツ障害は、将来の運動機能にも関わってくるので注意が必要です。早期の復帰はもちろん、再発予防のためにもリハビリを役立てていただきたいと思います。当院の理学療法士はスポーツ経験者が多く、アスリートやスポーツ選手の立場に立ってリハビリを提供させていただけると思いますよ。例えば野球でしたら、ケガをしにくい投球フォームなどについても丁寧にアドバイスさせていただいています。
診療時にどんなことを心がけていらっしゃいますか?
適切な治療を行うためには、お一人お一人の訴えに耳を傾け、体にきちんと触れる診察を行い、患者さんが何に困っているのかを深く理解することが大前提と考えます。筋肉の張りを確かめるだけでも、患者さんのつらい症状がある程度わかることが多いですからね。患者さんが話しやすい雰囲気づくりにも努めています。治療に際しては、まずは痛みを取り除いていくことが大切です。痛みを取っていく方策があれば、その治療を不安なく受けていただくべく、説得することも医師の役割だと思います。例えば、神経ブロック注射は即効性が期待できるものですが、怖いからと躊躇する方も少なくありません。皆さんに安心して治療を受けていただけるよう、きちんと説明することを心がけています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
高齢化が進む中、いつまでも元気で生き生きとした毎日を過ごすために、足腰の健康を保つことが大切です。そのためのお手伝いができたらと考えます。今は若い方、特に働いている女性がスマホを触りすぎで手先の痺れを訴えるケースが増えているようです。女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、どうしても痛みが出やすいもの。また、関節リウマチも女性に多い疾患です。リウマチについては、生物学的製剤を含む適切な薬剤治療をご提案し、痛みをできるだけ早く解決できるように努めています。何か気になることがあれば、お気軽にご相談ください。