中村 恵理子 院長の独自取材記事
恵理子内視鏡クリニック
(大阪市淀川区/新大阪駅)
最終更新日:2024/10/25

新大阪駅より徒歩5分。「恵理子内視鏡クリニック」は、ビル2階のクリニックモールにある。院長の中村恵理子先生は、和歌山県立医科大学を卒業後、大阪大学医学部の第一内科に入局。以降、内視鏡を扱う消化器内科の医師として20年以上のキャリアを積み、2016年に開業した。「早期に発見し進行がんの患者を減らしたい」とスタートして8月1日で8年になるが、最近はストレス起因の患者も多いという。中村院長は「心の病を持って胃痛や腹痛を主訴に来られる方の心をひもとくのも、私の役目と思っています」と話し、心療内科の医師と連携を取りながら患者に全力で向き合う。「患者さんたちがちょっとずつ元気になってくれたらうれしいですね」と笑顔で語る中村院長に、同院の内視鏡検査や診療について話を聞いた。
(取材日2024年6月12日)
検査・治療からストレスに起因する症状にも対応
内視鏡検査専門のクリニックを開業した理由を教えてください。

開業前は、内視鏡下の胃がんや大腸がんの手術に携わっていました。そういった中でなるべく早期に発見して進行がんの患者さんを減らしたいと思うようになり、患者さんがもっと楽に検査を受けられる環境が必要だと考え開業しました。困っている方をいかに検査に導けるか、受診のハードルを下げるのが私のテーマで、患者さんの検査への不安を払拭し、できるだけ痛みのないよう努めています。胃痛や腹痛などの症状があり、がんを疑い悩んでいる方は、検査をしないで悶々と過ごすより、思い切って来ていただくほうが絶対いいですからね。先延ばしにして悪くなるかもしれないことを考えると、少しでも早く検査することが何よりも大事だと思います。
こちらのクリニックの特徴は何ですか?
患者さんの中には、特に大腸の内視鏡検査を恥ずかしいと思う方が多いようです。それが検査受診率の低さに影響しているのか、女性のがん死亡数の1位は大腸がんです。当クリニックはドクターをはじめ、看護師、技師、受付もすべて女性ですので、気分的にはかなり楽に検査を受けていただけるのではと思います。院内も、リラックスできるように色合いもやわらかにしていますし、スタッフも皆話しやすいと思います。時々スタッフが私と同じ言葉や口調で患者さんと話しているのに出くわしびっくりしますけれども、みんな同じ方向を向いているんだなとうれしい気持ちにもなります。
どういった患者さんが検査に来られますか?

大腸内視鏡検査では、これまでにポリープを切除したことがあって継続して検査を受けたいという方が一番多いですね。それから腹痛や下痢、便秘などの症状や下血のある方、健康診断で便潜血があって大腸がんを心配して来院される方もいらっしゃいます。胃内視鏡検査の場合は、胸焼けや胃の痛みなどがあって検査に来られる方が多いですね。最近感じているのが、胃痛や消化器系の不快感に悩む患者さんには、何らかの精神的な要素も併せ持っている方が多いということです。私自身、仕事や子育て、家庭の悩みを一通り経験してきて、心を病む患者さんにも寄り添えるようになったかなと思っています。患者さんは、症状の原因が心の悩みだとは想定されていないので、悩みを引き出すのは難しいんですけど、「内視鏡検査をして、がんじゃないことを確認しましょう」と説得し、検査で何もなければ、患者さんに精神面の問題と認識してもらい、改善を試みるようにしています。
内視鏡医療の豊富なキャリアを地域に生かす
院長が内視鏡に関わるようになった理由は何ですか?

医師になったばかりの頃から内視鏡医療に携わっていましたが、専門的に取り組み始めたのは、20年程前に大阪回生病院に勤めてからです。子育て中でしたから勤務時間にも制約がありました。その中で私にできることを探した時、手先の器用さを生かし、内視鏡を専門にしようと思い立ったわけです。それからは試行錯誤の連続で、苦痛の少ないカメラの挿入法などを工夫しながらあれこれ経験を積む毎日でした。そのうちに検査を希望してくださる方が増え始め、難しい患者さんがいれば、まず私が呼ばれるようになって、最終的には消化器内科医長・内視鏡室長という職務を任せていただけるようになりました。
こちらでの内視鏡検査の流れを教えてください。
最初に問診と触診を行います。それにより検査が決まれば、鎮静剤をご希望の方には鎮静剤の注射を行い、ベッドの上で3分ほど、ぼんやりした状態になるまで横になっていただきます。検査自体は胃の内視鏡検査で10~15分程度、大腸内視鏡検査は15~20分程度です。検査が終われば、リカバリールームで30分程度の休憩を取ってもらいます。ぼんやりした状態から覚めたところで、診察室にて状態の説明や今後のプランをお話しして、薬が必要な場合は薬を処方し、他院の紹介が必要な場合はその案内をします。生検という細胞検査の結果がわかるのが後日となるので、それを待ってから最終判断を下す場合もあります。現在は内視鏡検査がかなり混んでいて、少し待っていただくかもしれません。ただし、出血している方など、急を要する場合は簡略化した検査をして診断を行い、そのまま病院に紹介することもあります。
大事にされていることは何ですか?

私の役目は、内視鏡検査の敷居を下げて、少しでも早く、楽に受けてもらうことだと考えています。それからもう一つは、診断を的確にして、内視鏡で切除できるのか、それとも手術が必要なのかということを即座に判断して、治療する病院をご紹介することだと思っています。私の場合、検査の結果は患者さんにほぼすべて告知しています。今の時代ですから、自分の人生は自分で決めていただくというのが私の方針です。もちろん患者さんに結果をお伝えする際には、かなり時間をかけますし、ご家族も一緒に話をすることもよくあります。お話しすることでその場ではかなりつらい思いをされることもあるんですけど、最終的には自分の人生をしっかりと自分で見つめて決めていただくことにつながるので、そこは大事にしたいと思っています。
最高の贈りものは「ありがとう」の言葉
クリニックを開業して8年ということですが、変わったことはありますか?

心の病を持って胃痛や腹痛を主訴に来られる方の心をひもとき、必要であれば心療内科にご紹介するのも私の役目かなと感じています。内視鏡治療に関してはほかの先生に手伝っていただきながら、そういうカウンセリングのような時間もつくるようになりました。気軽にさまざまな症状の悩みを持って、クリニックに相談にお越しください。がんの早期発見のため、できるだけつらい想いをすることなく内視鏡など検査を受けていただけるよう努めています。こうした取り組みによって患者さんが少しずつ元気になっていかれたら私はうれしいですし、幸せを感じます。
今後の展望を聞かせてください。
長男が内視鏡治療の医師となり、長女も医師としてのキャリアをスタートしました。今まで医師として30年間走り続けてきましたが、子どもたちが私と同じ道を歩んでくれて、そのバトンタッチをいつのタイミングでするか、今後どういうかたちでサポート役に回るかを考えていこうと思っています。やっと気持ち的に少し楽になり、肩肘張らずにいられる状況になってきた感じです。ただやっぱり、女性の社会進出、核家族化によってかなりなストレスを持った女性たちがここ都会には大勢いらっしゃって、昔ならおじいちゃん、おばあちゃんが孫の面倒を見てくれていましたが、今は皆さん子どもを抱えて本当に泣きそうになりながら仕事をしています。そういう方々は胃腸の不調に悩まされていることが多いのでサポートしたいですね。また、自分の経験を生かして、後進の女性医師のキャリアを途切れさせることなく、子育ても仕事も支援する場をつくりたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「気軽に」という言葉が医療に対して当てはまるかどうかはわからないですが、何かつらいことがあったら消化器症状を含めて、一度診療に来ていただければと思います。内視鏡を怖いものだと思っていらっしゃる方が多いので、そういうものではないということを、ぜひ当クリニックで実感してほしいです。患者さんから「思ったよりも楽に受けられました」と言っていただけるよう、苦痛に配慮した検査に努めていますので、ぜひお気軽に相談にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とは・胃カメラ単独コース:2万2000円
・大腸カメラ単独コース:2万7500円
・胃と大腸カメラ単独コース:4万4000円