和田 隆史 院長の独自取材記事
わだ歯科クリニック
(和歌山市/宮前駅)
最終更新日:2021/10/12
宮前駅より徒歩8分の場所にある「わだ歯科クリニック」。県道13号線に面しており、地域住民や近隣の施設を利用する人も訪れやすい立地だ。和田隆史院長は大学病院で再生治療や歯周病について研究し、その後勤務医を経て2016年に開業。いつまでも自分の歯を残し続けることを一番に考え、患者に「予防歯科と定期検診の大切さ」を伝えている。子どもが歯科に抵抗なく通えるように、キッズスペースを設置しDVDを上映するなど、さまざまな工夫を凝らしている。車いすでの移動や患者とスタッフの導線にも配慮。誰でも通いやすい歯科をめざしている。穏やかに話をする和田院長に、予防歯科への思いや今後の展望について聞いた。
(取材日2021年6月17日)
長く歯を残すため、予防と定期検診の大切さを伝える
力を入れている予防歯科について教えてください。
誰もが自分の歯で噛めるようにすること、1本でも多く歯を残すことを考えて診療しています。そのために予防歯科、定期検診が大切です。毎日歯を磨いていても、歯ブラシが当たっていない箇所があるとむし歯や歯周病になります。定期検診に来ていただければ、磨けていない箇所をお伝えしたり、デンタルフロスや歯間ブラシを使ったケアをアドバイスしたりできます。また、PMTCという歯面清掃をして高濃度のフッ素塗布を行うことで、むし歯の予防につながります。歯科治療に時間がかかるのは、歯の状態が悪くなってから治療を始めるからです。定期検診はむし歯を予防、もしくは早期発見する上でとても有用で、治療の時間と費用の節約にもなります。また、お子さんは乳歯のうちにきちんと歯磨きできるようになってから永久歯になったほうが、長く自分の歯で食べられると思います。歯科での定期検診は、歯の健康だけでなく身体の健康を守ることにもつながります。
歯科が苦手な子どもは多いですが、子どもの定期検診や治療で心がけていることはありますか?
「悪いことしたら歯医者さんに連れて行くよ」と言われたことはありませんか? 昔から歯科は怖い場所というイメージがありますよね。診療室の椅子が動くのが怖いというお子さんもいます。その場合は最初から椅子を倒して寝かせた状態で診療を始めます。治療で使用する器具を見せないようにもしていますね。歯科に来る前に、怖いところだと思ってもらうのもよくないので、親御さんには、「お子さんが怖がるようなことを言わないようにしてくださいね」とお願いしています。また、できたら十分に褒めてあげることも重要だとお伝えします。「歯医者さんは歯磨きの練習をするところ」と思ってもらえれば、定期検診に通いやすくなりますし、お子さんの負担も少なくなります。痛みが出た状態で歯科に来ると、歯を削るなどの怖い思いをしなければなりません。そうならないように、歯磨き指導や定期検診を受けてむし歯予防することが大事だと理解してもらいたいです。
歯周病の予防と治療について教えてください。
歯周病の治療は、歯周ポケットの深さを測って歯石を取るイメージがありますよね。これは初期症状の段階に行うことです。この段階がより進んでしまうと、歯茎の根にも歯石がつきます。当院ではこのような歯肉縁下歯石の除去もしていますが、患者さんに聞くとそこまでしたことはないという人が多いんです。歯周病は基本的に無症状で進行し、急性期と慢性期を繰り返します。急性期が長く続くと骨の吸収が急速に進むため、なるべく急性期を起こさないように安定した状態をつくらなければなりません。そのためにも定期検診で歯周病の状態を確認し、適切なアドバイスとケアを受けることが大切です。歯周病予防の最終的な目的は、自分で歯磨きをする時に、磨けない場所をつくらないことです。歯周病予防を担う歯科衛生士にもこのことを十分に理解してもらい、患者さんに説明するようにさせてもらっています。
誰もが安心して通える歯科をめざし院内の環境を整備
開業までの歩みをお聞かせください。
大学卒業後、大学病院で診療しながら骨の再生について研究しました。そこで歯を抜いてきれいにし、再び同じ場所に戻す歯牙再植(しがさいしょく)について学んだのです。歯周組織再生治療や歯周病について学ぶ中で、「皆がいつまでも自分の歯で噛める治療をしたい!」という思いが芽生えました。それまでずっと大学で勤務をと思っていましたが、開業して自分がやりたい診療をしたいと徐々に考えるようになりました。その後、経営の知識も学ぶために勤務医を経験したんです。開業するにあたりこの場所を選んだのは、私の地元だったからですが、これから発展していく場所だと聞き、できるだけたくさんの人に来ていただきたいと考えここに決めました。歯科医療を通して、地域医療の発展に貢献できればと思っています。今は少し離れた場所に住んでいますが、いつかはこの近くに住みたいですね。
患者の年齢層や主訴について教えてください。
年齢層は幅広いですね。午前中はご高齢の方、午後からはお子さんや若い世代の方、午後8時まで診療していますので、仕事後に訪れる方も多いです。主訴も時間帯によって異なります。午前中は入れ歯に関する相談が大半です。午後はむし歯や歯周病の治療、定期検診で訪れる方が多いですね。紹介やインターネット検索でクリニックを知って受診される方が多く、特にホームページを充実させてからは、若い世代の患者さんが増えました。特定の年代をターゲットにするというより、幅広く誰でも来ていただきたいです。
診療室は半個室になっていますね。内装でこだわった点はありますか?
半個室のほかに、個別診療室やカウンセリングルームを設けています。半個室は、他の患者さんを気にせず治療を受けていただけるように、個別診療室は、長い治療の時間が必要な方や泣いてどうしても動いてしまうお子さんなどに、ご利用いただいています。カウンセリングルームでは、周りを気にせずに相談したり、利用計画の説明をするのに利用しています。院内の動線は、患者さんとスタッフの移動スペースが分けられるようにしました。バリアフリーにも配慮し、通路やお手洗いを広くとって車いすでも移動しやすくしています。どなたでも安心して診療を受けていただけるよう工夫しました。
患者の声に耳を傾け一人ひとりに合った治療を提案
歯科医師になって良かったと思う瞬間はどのような時でしょうか?
患者さんに満足していただけた時ですね。治療後のお子さんの変化や反応からも喜びを感じます。手紙をくれたお子さんは、始めのうちは治療を怖がっていましたが、だんだんと慣れてきて、今では歯磨きを頑張ってくれています。お子さんが小学生から高校生になり、むし歯のない永久歯でいてくれるのもうれしいですね。幼少期からずっと通ってくださる方もいて、高校卒業後に和歌山を出られたお子さんが帰省した際に検診に来てくださることもあります。
休日はどのように過ごしていますか?
大学院時代から働き癖がついているので、趣味がないんですよね。強いて言えば料理と映画鑑賞でしょうか。診療のない日曜は家で料理を作っているかゆっくりしているか。DVDを見ることもありますね。知り合いからは「ジムに行ったほうが良いよ」と言われていますが、いつか落ち着いたら行きます(笑)。
今後の展望についてお聞かせください。
歯周病治療に一層力を入れたいですね。例えば、歯周病が進んだ口腔内の画像などをお見せするなど、よりわかりやすく歯周病治療の大切さを伝えたいです。そして、患者さんには「治療が怖い」ではなく「治療して良かった」と思ってもらいたいですね。開業してからは患者さんやスタッフに寄り添うことが大事だと感じるようになりました。私がベストな治療だと考えていても、患者さんが納得することが大切なので、意見を押しつけないようにしています。できるだけ保険診療の範囲内で治療できると良いのですが、必要に応じて自由診療も含めて治療の選択肢を増やすことも大事なことだと思います。患者さんにはいつも多くの選択肢を提案したいので、どうしても説明が長くなってしまい、スタッフから「話が長い」と言われてしまうこともありますが(笑)、これからも「その人にとって一番良い治療を見つけること」を第一に考えて、寄り添う診療を続けていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックス/8万円~、ホワイトニング/3万円~、インプラント/30万円~