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乾 真実 院長の独自取材記事

狛江のんびりクリニック

(狛江市/狛江駅)

最終更新日:2022/07/25

乾真実院長 狛江のんびりクリニック main

小田急狛江駅の南口を出て、徒歩5分。狛江通り沿いの住宅地にたたずむ「狛江のんびりクリニック」。かわいらしい羊の看板がトレードマークだ。乾真実(いぬい・まさみ)院長は、2004年にそれまで精神科・心療内科のクリニックがなかった近隣のニーズに応えるかたちでクリニックを開院。地域の精神科かかりつけ医として、幼児から高齢者まで幅広い相談に対応してきた。現在では、行政からの依頼で地元の知的障害や発達障害のある子どものケアにも積極的に取り組んでいる。予約がなかなか取れないクリニックとして多忙を極める中、地域にも貢献する乾院長にクリニックの特色、診療で心がけていることなどを聞いた。

(取材日2022年6月27日)

地域の精神科かかりつけ医として、行政とも協力

住宅地にあるクリニックですが、どのような患者さんが多いですか?

乾真実院長 狛江のんびりクリニック1

狛江在住の方が多いですが、川崎や調布、世田谷など周辺地域から通われている方も。中には、県をまたいで通院されている方もいらっしゃいます。患者さんの年齢層は30代〜50代の方がメイン。やはり、仕事や生活の中で無理を続け、体調を崩される方が多いですね。お年寄りもいますし、子どもや思春期の患者さんも1割くらいいます。

診療の中で大切にしていることは何ですか?

患者さんの対等なパートナーでありたいと考えています。病気は医師が治すのではなく、患者さんご自身の力で治っていくものです。家庭の問題や仕事の問題などが背景にあることで病気が治りにくくなっていることもあります。それを一緒に考え、専門家として適切なアドバイスをし、患者さんを支える存在でありたいと思っています。あとは、自分の体調が悪ければ患者さんの話も十分に聞けませんから、忙しいときでもイライラしたり焦ったりしないように、まず自分が良いコンディションであるために、早めに休んで十分に睡眠をとったり、なるべく心身のゆとりを持つことを心がけています。

プレイルームなど子ども向けの施設が充実していますね。

乾真実院長 狛江のんびりクリニック2

私も臨床心理士も年齢を重ね、開院当初のように子どもと一緒に思い切り遊ぶということはなかなかできなくなってきましたが、子どもの治療は積極的に行いたいと思っています。その一環として、行政からの依頼で知的障害や発達障害のある子どもたちにどのような支援をするべきか専門家として会議に出たり、学校まで出向いたり、教育委員会や学校と連携してお母さんや先生から相談を受けたりもしています。狛江市は特別支援教育に力を入れているんですよ。子どもの場合は、本人だけでなく保護者、特にお母さんと一緒に診ることも大切にしています。親子関係が治療に与える影響は大きいので、お母さんに「こんなふうに接してくださいね」「こんなふうに声をかけてあげてくださいね」とお伝えします。また、家庭の中に休める環境をつくってあげるためにも保護者の協力は欠かせません。

精神科専門病院、総合病院などで研鑽を積む

先生はなぜ精神科の医師になることを志されたのですか?

乾真実院長 狛江のんびりクリニック3

もともと、体と心の両方がわかる医師になりたいと思っていました。心というものは体とつながっていて、体調が悪くなれば気分も落ちるし、精神的な病気になれば体に症状が出ることもあります。まずしっかりと内科の勉強をし、その上で内科と精神科のどちらに進むかを考えようと思いました。大学卒業後は、湘南鎌倉総合病院で4年間、内科・外科を中心に小児科・産婦人科も研鑽しました。救急科外来で子どもの細い手に点滴をしたり、産科で赤ちゃんを取り上げたりもしました。その中でも、白血病の治療中に若くして亡くなられた患者さんやそのご家族と過ごした経験が、精神科の医師になる大きな転機になりました。

精神科の専門病院にも勤められたそうですね。

乾真実院長 狛江のんびりクリニック4

主に都立松沢病院、調布市の青木病院で研鑽を積みました。その他にも総合病院の精神科として都立府中病院、児童精神科の専門病院として都立梅ヶ丘病院にも勤務していました。内科・外科での診療経験を積んでいたので、精神科での当直で患者さんが急変した際に、適切な救急対応ができたということを何度も経験しました。開院後も内科での経験が役立つことは非常に多いです。

きちんと治すために「のんびり」休むサポートを

薬物療法に関しての方針はありますか?

乾真実院長 狛江のんびりクリニック5

統合失調症でも子どもの病気でも、多くの精神疾患には生まれもった素因であったり、人間関係や仕事上のストレスなど症状を引き起こす原因があります。病気からきちんと回復するためには目先の症状だけにとらわれないで、その原因に対処しなければなりません。まず、そのために必要なのは休息です。この過程を見ずに、症状だけにフォーカスして薬を使うことには賛成できません。例えば幻聴を抑えるために薬を処方するというやり方では、根本からの解決にはなりません。逆に、しっかり休むことができれば自然と症状は落ち着いていくことが望めます。休息が重要だからこそ、心と体を休ませるために不安や過敏さ、緊張感を和らげたり、夜きちんと眠るために薬を使うことは必要だと考えています。精神科のお薬を怖がる方もいますが、内科や他の診療科で出している薬と大きな違いはありません。薬は上手に使えば強い味方になります。心配し過ぎないでください。

最後に読者にメッセージをお願いします。

乾真実院長 狛江のんびりクリニック6

精神的な病気になってしまうのには、無理をしたり頑張り過ぎたり、何か原因があるものです。「元の状態に戻りたい」とおっしゃる患者さんもいらっしゃいますが、元に戻るということは、元の無理をしていた不安定な状態に戻るということです。病気になる前と同じように、無理をしていればどこかでまた具合を悪くしてしまいます。病気を機に、もうちょっと自分に合った無理のない生き方や働き方を一緒に探してみましょう。のんびりと心身をしっかり休める、元気になるためのお手伝いをします。近年では予約が多く新規の患者さんを受け入れづらい状況もあるのですが、精神科のかかりつけ医として幅広く診察していきたいと思っていますので、気になる症状があれば気軽にお問い合せください。

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