澤田大定院長の独自取材記事

みなと歯科おとな子どもクリニック

(松山市／三津駅)

最終更新日：2023/04/11

松山市の沖合に浮かぶ中島の歯科医院「みなと歯科医院」が、2023年3月1日、松山市三津に移転開業した。移転先には中島のフェリーが到着する三津を選び、引き続き、島の人々の口腔内における健康を守る考えを口にするのは、澤田大定院長だ。院名を「みなと歯科おとな子どもクリニック」と改称し、子どもから大人まで、また地域のより多くの人に予防歯科の考えを広めたいという。同院では「おもてなしと確かな技術」をコンセプトに、カウンセリングから始まる丁寧な治療の提供に努める。患者のニーズに合った治療を、先進的な医療技術と機器で対応する。「地域の皆さんに一生を通して通っていただける歯科医院をめざしています」という澤田院長に、地域医療への想い、予防歯科の取り組みなどを聞いた。

（取材日2023年2月22日）

予防歯科の大切さを、地域の人々に伝えたい
「おもてなしと確かな技術」で、患者に寄り添う治療を
中島と三津をつなぐ、地域医療の担い手として

予防歯科の大切さを、地域の人々に伝えたい

中島から、三津に移転されたきっかけを教えてください。

2015年、中島に「みなと歯科医院」を開業して8年、島の歯科医院として、島民の皆さんのお口の健康づくりのため、予防歯科に注力してきました。最初は、歯ブラシの選び方やブラッシング指導など、基本的なことをお伝えする難しさに直面しましたが、歯科衛生士とも協力し、地道に取り組む中で予防歯科の意識が徐々に広まっていくのを感じたんです。そこで、次はもっと多くの方に予防歯科の意識をお伝えしていきたい、虫歯や歯周病がひどくなる前に、正しいケアをすることで健康な状態に近づけることを提案したいと思い、三津に移転を決めました。三津を選んだのは、中島からのフェリーが到着する場所であり、ここなら島の人も通いやすいかなと思ったからです。ですので、中島で最初に開業したときの「離島でも同じ治療が受けられるように」という初心は変わっていません。

院名を「みなと歯科医院」から「みなと歯科おとな子どもクリニック」に改名したのはなぜですか？

子どもから大人まで、長いスパンでお口の健康を見守りたいという思いを、この院名に込めています。当院の一番のテーマは予防歯科ですが、それは歯が生え始める赤ちゃんの頃から始まっています。虫歯の原因は、歯磨きや食事などの生活習慣が原因の1つとして考えられますから、子どものうちから、私たち歯科医院が寄り添うことができれば、虫歯や歯周病などお口のトラブルのリスクを最小限に食い止められるようにしたいと思ったのです。大人も子どもも、皆さんに来院していただける歯科医院をめざし、当院では小児歯科と一般歯科、どちらの専門性も持ちながら、幅広い診療をご提供していきたいと考えています。

とても開放感のある明るい院内で、通いやすい印象を受けます。

ありがとうございます。歯科医院ってどうしても怖い、通いづらいというイメージがあると思うので、まずはそのハードルを下げたくて、待合室は開放感のある造りにしました。交通量の多い道路に面しているので、その部分は窓を大きく取って、中の様子がわかるようにしています。また、患者さんの話をしっかりとお聞きできるように、診察室とは別にカウンセリングルームを用意。診察室もゆとりのある半個室で、リラックスして治療やメンテナンスを受けていただけるような空間になっていると思います。

「おもてなしと確かな技術」で、患者に寄り添う治療を

こちらの歯科医院の診療コンセプトを教えてください。

「おもてなしと確かな技術」。この2つを大切に、「地域の皆さんに一生を通して通っていただける歯科医院」をめざしています。おもてなしに関しては、カウンセリングでしっかりと患者さんのお声に耳を傾けて、寄り添った診療を行うこと。技術面に関しては、これまで培ってきた歯科医療の経験と先進的な機器を生かし、患者さんの幅広いニーズにお応えすることを心がけています。マイクロスコープを用いた根管治療や歯周病治療、3DCTやサージカルガイドを用いたインプラント治療、3Dプリンターによって作製したマウスピース型装置を用いた矯正にも対応しています。また、痛みへの配慮も当院が大切にしていることの1つ。例えば歯を削る場合、表面麻酔を行った上で、電動麻酔機器を用いて、患者さんの体に優しく、負担が少ない治療となるよう心がけています。お子さんや不安の強い方には、不安を和らげるために笑気ガスを活用します。

診療の際に心がけていることはありますか？

患者さんには、専門的なことはなるべく言わないようにしています。お口のこと、症状のことを難しく考えてしまうと、通うのも嫌になってしまいますよね。そうではなく、来て良かったなと思えるような歯科治療を提供していきたいです。スタッフにも指導するというよりは、患者さんのサポーターになれるようにやっていこう、と伝えているんです。特に子どもの治療においては、まずは歯科医院に慣れてもらうトレーニングから始めます。その子がどのくらい治療を受け入れることができるか、器具に対する恐怖心はどのくらいあるか……。トレーニングをしながら、一人ひとりに合わせたアプローチで、少しでも歯科医院が怖くないところ、楽しいところだと思ってもらえるように工夫しています。

子どもに優しい工夫がたくさんありますね。ぜひ教えてください。

そうなんです。診察室の天井にはモニターがついており、お子さんはアニメなどを観ながら治療を受けることができます。診察室は半個室でゆとりもありますので、お母さん、お父さんに診察室に入ってもらい、様子を見守ってもらうことも可能です。治療やメンテナンスを頑張ったお子さんには、ご褒美のおもちゃのプレゼントを用意しています。また当院の2階にはキッズルームがあり、保育士資格を持つスタッフによる保護者の方の治療中の託児を行っています。歯科医院とは別空間ですので、お子さんはのびのび楽しく遊べますし、保護者の方も他の患者さんに気兼ねなく治療やメンテナンスを受けていただくことができると思います。

中島と三津をつなぐ、地域医療の担い手として

歯科医師をめざしたきっかけ、これまでの歩みを教えてください。

将来は人の役に立つ仕事がしたいと思い、当初は医師をめざしていたのですが夢がかなわず、歯科医師の道に進みました。九州歯科大学を卒業後、香川大学医学部の歯科口腔外科学講座を経て、歯科医師2年目からは香川県の「蓮井歯科・ファミリークリニック」で修業を積みました。勤務医として一般歯科の治療やインプラント治療などを経験する傍ら、香川大学の社会人大学院に入学。そこでは虫歯リスクの低い希少糖の研究をしました。キシリトールよりも優れた希少糖を見つけようというものです。その後、勤務医をしながら7年かけて卒業し、2015年に中島で歯科医院を開業しました。正直、離島で歯科医院を開業することに不安はありましたが、「困っている人を助けたい」という医療の道を志した時の気持ちが背中を押してくれました。本当に必要とされる場所で働ける喜びは、本当に大きかったですね。

中島での診療は、今後どのように行われますか？

2023年5月より、中島での訪問診療を開始する予定です。三津に来ても、中島のことを決して忘れることはない、その思いを込めたユニフォームを着て、これからも島のために力を注いでいきたいと思います。今後は、大学の後輩の歯科医師たちに中島の地域医療を体験してもらうことも考えています。島の歯科医療を絶やさないためにも、この歯科医院を地域の課題を解決できる場所にしていきたい、それが私の目標です。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

「歯の健康を管理したいけれど、どうしたらいいのかわからない」という人こそ、ぜひ当院へお越しください。健康なお口の方なら、その状態を維持して病気にならないようにケアを進めます。初期の虫歯がある方でも、削ったり切ったりという治療に至る前の段階で、症状を食い止めるために対応する。そういった治療に力を入れていきたいと考えています。予防歯科はもちろんのこと、インプラント治療や小児矯正治療、成人の矯正歯科などの専門性も高めていますし、ホワイトニングにも対応しています。今後は、歯科医師であり、1歳の子どもの母でもある妻と2診体制で、患者さんに寄り添っていけたらと思っています。歯のこと、口の中のことで困っていることや不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。