金田 宗也 院長、金田 明子 副院長の独自取材記事
かなたクリニック
(神戸市兵庫区/大倉山駅)
最終更新日:2024/05/13

神戸市兵庫区にある「かなたクリニック」は、この地に開業して以来、地域の人々の健康や不安に丁寧に寄り添う診療所。整形外科医の金田宗也院長と、神経内科医の金田明子副院長の二診制で診療し、一般的な整形外科、内科・脳神経内科疾患に対応するだけでなく、リウマチ性疾患や骨粗しょう症、片頭痛の治療にも注力する。さらに認知症診断にも対応し、高齢者やその家族の不安にも丁寧に寄り添う。「あそこに行けばどうにかしてくれる。とりあえず行ってみよう」と地域から頼られる診療所をめざし、日々の診療に取り組む2人に、診療の心がけや医療への思い、今後の展望などの話を聞いた。
(取材日2024年4月11日)
不安を少しでも軽減できるクリニックをめざす
まずは開業の経緯を聞かせてください。

【宗也院長】開業までは大学病院や市中病院に整形外科の医師として勤務し、忙しくも充実した日々を過ごしていました。開業を決意したのは、特に大きなきっかけがあったわけではないのですが、経験を重ねるにつれて患者さんの様子が見えるようになったことが大きかったように思います。病院では高度な医療や手術加療が主な治療対象となり、どうしても一時的な治療が終了すると退院や転院することになります。手術が必要な患者さんはもちろんのこと、手術が必要なまでには至らない・手術の対象にはならないが、痛みやしびれで困っている・手術対象だがさまざまな理由で手術を選択しない、そういった患者さんも含めてトータルでサポートできればと考えるようになりました。そこで、神経内科の医師である明子副院長を誘い、地域の人々のさまざまなニーズに応えられる、不安を少しでも軽減できるクリニックをめざして開業した次第です。
現在のクリニックの診療体制を教えてください。
【明子副院長】宗也院長が整形外科を、私が内科と神経内科を担当しています。ご不便をおかけしていますが、内科・神経内科は月・火・金曜日の午前中と木曜日終日、第2・4土曜の診療です。ただ、私が不在の時は院長もできる限り内科のご相談に対応していますので、安心してくださいね。
【宗也院長】当院の強みは2人の医師がいること。脳疾患や内科疾患の中には、手足の痛みやしびれ、動かしにくさなどの症状が生じるものがあり、最初に整形外科を受診する人は少なくありません。そこを丁寧に判別し、適切に診断することは命を守ることにもつながります。当院での対応が難しい場合には適切な医療機関へと紹介しますので「何かおかしいな?」と感じたら、とりあえず相談してもらえたらと思います。
どのような患者さんがいらっしゃるのでしょうか?

【宗也院長】生後間もない赤ちゃんから高齢の方まで、毎日たくさんの方が来てくださっています。整形外科では肩や腰、膝の痛み、打撲や捻挫などのけがや脱臼、スポーツ少年たちがスポーツ障害の相談に来てくれることもあります。リハビリテーション室もありますので、物理療法機器を使用したリハビリなどを受けに来る方もいらっしゃいます。整形外科を受診するついでに、体調の変化を相談してくださることも多いです。
【明子副院長】内科では健康診断や日々の体調不良はもちろん、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病の管理、脳梗塞や頭痛、めまいでの受診が主です。パーキンソン病をはじめとする難病や認知症診断にも対応しています。軽い相談だけでも大丈夫です。
リウマチ性疾患や骨粗しょう症、片頭痛にも対応
整形外科では、リウマチ性疾患や骨粗しょう症の治療にも注力されているそうですね。

【宗也院長】関節リウマチは、関節に炎症を起こして軟骨や骨が破壊されていく病気です。重症化すると関節が変形して動かせなくなり、日常生活に支障が出て生活の質(QOL)の低下を招く原因ともなり得ます。しかし、現在は進展した薬物治療によって寛解をめざすことができます。「手がこわばっているな」「動かしにくいな」と感じたら、早めにご相談いただければと思います。また、骨粗しょう症は自覚症状がなく、知らない間に進行する病気です。高齢者の場合には、骨折をきっかけに筋力が低下してしまうことが寝たきりの原因となることもあるので、早めに発見して適切な治療を続けてほしいと思います。検査や治療について詳しく説明しますので、気軽にご相談ください。これまで検査を受けたことがない方もぜひ一度検査を受けてみましょう。特に女性は閉経を目安に検査を受けていただくことをお勧めしています。
脳神経内科では片頭痛に関して、専門的な治療をされていると聞きました
【明子副院長】片頭痛は20〜30代の女性に多く、中にはひどい痛みから日常生活に支障をきたす人もいらっしゃいます。市販薬で対応しているけれど症状の緩和に向かわない、どうしたらいいかわからないと悩んでいる人は想像以上に多い一方で、医療機関に相談に来られる患者さんはまだまだ多くないのが現状です。頭痛頻度が多い、程度が重い方には、頭痛が出ないように予防するための治療もありますので、ぜひ一度相談にお越しください。
スタッフの皆さんも、明るくアットホームな雰囲気ですね

【宗也院長】今いるスタッフはみんな、「気持ちに寄り添う」ことを第一に考えてくれる人たちです。当院が「なんでも相談できる場所」であるためには、私たち医師だけが頑張っても駄目です。患者さんと接するすべてのスタッフが、思いを同じくしていることが大切だと思います。開業から今まで紆余曲折がありましたので、今のスタッフのみんなには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これからもみんなの力を借りながら、患者さんのための医療を提供していけたらと思います。
特別な場所ではなく、なんでも相談できる場所へ
患者さんと接する際、特に大切にしていることはなんですか?

【宗也院長】せっかく小さな診療所なのだから、患者さんにわかりやすく説明することです。病名だけを伝えて終わりではなく、どんな病気なのかをまずはしっかり説明して、その上で治療方針についてもお伝えしています。病名は知っていても具体的なことはわからない、なぜその治療をしているかわからない、わからないままに進んでいく治療では不安は解消されません。必ず十分な時間を取れるわけではありませんが、できる限りお一人お一人とゆっくりお話ししたいと思っています。
【明子副院長】必要のないお薬を減らすことも大切にしています。服薬している患者さんにはお薬手帳を持参いただき、確認しながら処方を丁寧に検討するよう心がけています。
今後の展望を聞かせてください。
【宗也院長】一つはリハビリの機能を拡充することです。適切なリハビリは、整形外科疾患の回復・予防のためには欠かせません。現在は物理療法を中心に行っていますが、運動療法なども取り入れてこまやかなリハビリが提供できるようにできれば、より多くの方々のお役に立てるはずです。そのためにも、同じ思いを持って患者さんに向かい合ってくれる理学療法士さんとの出会いがあればと考えているところです。
【明子副院長】通院が困難になった患者さんからは訪問診療の依頼をいただくのですが、すべての依頼に対応するのは難しい状況で、お引き受けできない時もあります。今後そういった点も拡充できればと思います。
最後に地域の皆さんにメッセージをお願いします。

【宗也院長】当院は特別な診療所ではありませんが、皆さんにとってなんでも相談できる場所でありたいと願っています。「こんなこと相談してもいいのかな?」「こんな病気だと診断されたけれど、どんな病気なのかもっと説明してほしい」などと思うことがあれば、どうぞ気軽に相談してください。私たちはすべてをできるわけでありませんが、適切な医療機関につなぎ、皆さんの不安を解消するお手伝いはできます。「どうにかして!」と気軽な気持ちをお話ししに来てくれたらと思います。
【明子副院長】当院は予約制ではないため、お待たせする時間も決して短くはないかもしれません。でも、その分お一人お一人に丁寧な説明をして、納得と理解をしてもらえるように取り組んでいます。皆さんの健康のサポートをさせていただけるように、これからも励んでいきたいと思います。