名古屋 浩章 院長の独自取材記事
和泉歯科医院
(狛江市/狛江駅)
最終更新日:2021/10/12
「僕自身、虫歯が多い子どもだったので、毎年歯科医院に通っていました」と語るのは「和泉歯科医院」の名古屋浩章院長。自身の患者経験を踏まえて、患者がストレスなく診療を受けられるようにと心を尽くしている。そんな院長のスタンスと、穏やかで優しい人柄がクチコミで広がり、紹介で来院する患者がほとんどだという。院長だけでなく、受付スタッフの対応も柔軟でこまやか。これは院長が「患者さんの話をよく聞き、何を求めているかを察して、患者さんが希望するなら、できるだけ受け入れるように」と指導していることによるものだ。名古屋院長に歯科医師としての思いを語ってもらった。
(取材日2018年7月20日)
患者歴が長いからこそ、患者の気持ちがよくわかる
歯科医師をめざしたきっかけから教えてください。
僕の両親は食料品店を経営していて、母の実家がお菓子問屋だったんです。小さい頃から甘いお菓子をたくさん食べていたため、虫歯がたくさんできてしまい、毎年のように健診で引っかかり歯科医院に通っていました。毎年治療を受けているうちに治療の手順を覚えていくようになり、気づいたときには歯科医師という仕事に興味をもつようになっていましたね。
もともと患者さんとして歯科に通われていたのですね。
そうですね。ただ、歯科に通う中で、先生からの何げない一言に傷ついたこともあるんです。そのため、患者さんへの対応にはとても気を使っていて、患者さんを傷つけるような発言はしないように注意しています。また、歯の痛みも治療の痛みも、身をもって理解しているので、患者さんにできるだけ痛みを与えないように工夫をして治療しています。もちろんまったく痛くない治療というのは時には難しいのですが、そこは日々勉強して、苦痛の少ない治療をめざしています。
現在、こちらにはどのような患者さんが来院されていますか?
ご高齢の方が中心ですね。皆さん、口腔内の健康に関する意識が高いです。4割ほどの方は、検診やクリーニングでいらっしゃっています。気になるのは、年代を問わず虫歯はないけれど「歯が痛い」と来られる方が多いという点です。咬合性外傷といって、噛みしめによって傷ができ、痛みを感じる人が多いんです。うっかり歯の病気じゃないかと思い、歯の神経の治療をしてしまったらアウトですから、診断をきちんとしなければいけません。また、歯ではなく神経の病気で歯が痛いということもあるんです。いわゆる神経痛です。ほかにも、筋肉に原因があって歯が痛むこともあります。歯の痛みには虫歯以外の原因もたくさんあるため、きちんと診断し、過剰な診療にならないように気を使っています。
歯科医療の情報をどんどん発信していきたい
歯が痛いと虫歯だと思ってしまいますが、そうではないケースもあるのですね。
虫歯と歯周病の2大疾患が歯を失う原因なのですが、それ以外にも歯ぎしりや、噛みしめ、みかんなど酸を含む食品を多く食べる人は歯を失いやすいのです。歯ぎしりや噛みしめをすると、歯の根元に負担がかかり、細菌が関与しないのに歯がどんどん欠けていってしまうのです。歯の根元が欠けると高齢になった時にいろいろな問題を起こしやすいんですね。こういった悪習慣の情報を知らない方が多いと思うので、歯科医療に関する情報を積極的に発信しています。
身近な先生からの情報発信は助かりますね。先生が診療の際に心がけていることを教えてください。
天然歯をなるべく残す治療を心がけています。つまり、あまり歯をたくさん削らないことです。虫歯の部分だけを削り、その日のうちに白いプラスチックを詰めるようにしています。強い力がかかりプラスチックでは不安なようなところは金属を使いますが、金属を詰める・かぶせる場合は健康な部分をたくさん削らなくてはいけないのです。そういうデメリットを考えると、虫歯のところだけをできるだけ少なく削り、すぐにプラスチックを詰めて1日で治療を終わらせるのが良いと考えています。また、丁寧に説明をして、患者さんとの信頼関係を築くことも大切にしています。
得意としている治療について教えてください。
地方の町立診療所では、総入れ歯の患者さんがとても多かったんです。非常にたくさんの義歯治療の経験を積むことができましたので、義歯については相当鍛えられました。うちは基本的に保険でできる範囲で治療しています。総義歯を作る際、歯の型を採るのですが、普通の型の採り方ではなく、歯を並べてから噛んで型を採るという特殊な方法を採用しています。この方法だと普通に型を採るよりもずっと精密な模型ができます。しかも保険内でできるんですよ。年金で生活されている患者さんも多いので、できるだけ患者さんの負担にならない範囲で、可能な限り精度にこだわった治療を提供できるよう努めています。
歯の寿命を延ばすため、早めの受診を
たくさんの患者さんを診てきたことと思いますが、印象に残っている患者さんのエピソードはありますか?
当院でインプラント治療を行った、ある患者さんは今でも印象に残っています。その方はもともと総入れ歯を入れておられたのですが、これまでどこで入れ歯を作っても合わないと悩まれていたのです。そこで僕は、2本だけインプラントを入れて、その上に新たに入れ歯を作るという処置を行いました。そうしたことで不具合もなく、なんでもおいしく食べられるようになったと非常に喜んでくださったのです。治療した僕としてもとてもうれしかったですね。ただクリニックの方針として、インプラント治療は、患者さんのご希望がない限り、こちらからお勧めすることはありません。きちんとメリット、デメリットを伝えた上で治療を進めていくように努めています。
今後、診療で力を入れていきたいことはありますか?
今、4割くらいの患者さんが検診やクリーニングなど、予防で来院されているのですが、そういった患者さんをもっと増やしていきたいです。患者さんにお勧めしているのが、乳酸菌の入った歯磨き粉とデンタルリンスです。口の中から虫歯の原因菌を減らせれば、それだけ予防につながります。菌を使って虫歯の原因菌を減らす、という取り組みはこれからも積極的に行っていく予定です。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
先日、若い患者さんが来られたのですが、虫歯を放置していたため、虫歯が神経まで進行していました。それがとても残念で。何か来院できなかった理由があったのだと思います。若い人の場合、神経まで達した虫歯というのは、治療の成功率が下がり、再発しやすくなります。ですので、虫歯と気づいたらなるべく早く歯科医院で治療を受けてほしいですね。「怒られるかな」と躊躇してしまっている方もいるかもしれませんが、決して怒ったりはしません。少しでも歯科医院に対するハードルを下げ、自分の歯で生涯、噛み続けることができるようサポートしていきたいです。当院には長く通ってくださる患者さんもたくさんいらっしゃって、皆さんの期待に応えられるよう僕も日々研鑽に励んでいます。これからも患者さんの歯の健康を守るため、頑張って診療を続けていきたいと思っています。