日暮 雅一 院長の独自取材記事
ほどがや脳神経外科クリニック
(横浜市保土ケ谷区/保土ケ谷駅)
最終更新日:2024/06/21
保土ケ谷駅近くにある「ほどがや脳神経外科クリニック」の日暮雅一院長は、横浜市立大学附属病院や基幹施設などで多くの脳神経外科治療に携わってきた脳神経外科のエキスパート。頭痛やめまい、手足のしびれ、手術に関する相談、介護相談など、患者や家族の悩みや不安に真摯に耳を傾け、誠実に対応する「脳のコンシェルジュ」をめざす。片頭痛に対する注射薬の治療に取り組むほか、アルツハイマー病の新しい治療薬を扱う専門施設との連携に向けて準備を進め、情報発信や疾病啓発にも尽力する。「さらに専門性を高め、新しい治療も取り入れながら、診療の幅を広げたい」という日暮院長に、同院の特徴や脳疾患の診療について聞いた。
(取材日2024年2月27日)
身近な脳のかかりつけ医として、さまざまな疾患に対応
こちらは、頭痛や認知症など脳疾患を専門とされているのですね。
身近な脳のかかりつけ医として、近隣のクリニックや病院と連携しながら脳卒中・認知症・頭痛をはじめ、脳疾患に関するさまざまな疑問や悩みを解決するお手伝いをしています。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医として私がめざすのは「脳のコンシェルジュ」。脳疾患という分野に絞って診療することで、診断・治療の質の向上をめざしています。また、講演活動やブログを通じて、頭痛をはじめ、脳神経疾患に関する情報発信や疾患啓発にも力を入れています。患者さんの受診しやすさも重視しており、オンライン診療を取り入れているのも特徴です。
セカンドオピニオンを求める患者さんも多いと聞きました。
脳神経外科疾患の治療方針に限らず、頭痛に関する相談や認知症ケアに関するアドバイスを求められる方などが来られます。私は長年、横浜市立大学やその関連施設で脳動脈瘤や良性脳腫瘍などの手術に携わってきた経験や、開院して8年目を迎えるクリニック経験から、患者さんの状態についてはもちろん、日進月歩の妥当な治療手段や、各連携施設や医師の得意技などもよくわかっていると思います。脳神経外科手術は、たとえば脳動脈瘤や脳腫瘍、脳腫瘍にもグリオーマ(神経膠腫)、下垂体とさまざまな領域があります。各領域で私が推奨している先生をご紹介できますし、特に信頼している先生方に代診をお願いしており、それぞれに多様な専門性があるので、不安なことは院内で相談できるように配慮しています。
代診は、どのような先生が担当されているのでしょうか。
しびれなど脊椎脊髄末梢神経にまつわる症状、脳血管疾患、脳腫瘍、てんかん、正常圧水頭症など、それぞれに強みを持ち活躍されている先生方です。私の専門以外の分野についての専門家が集まることで、診療の幅を広げています。女性の医師も在籍し、脳神経外科全般はもちろんのこと、認知症を専門としていますので心強いですね。更年期のめまいなどの不定愁訴や、女性ならではの悩みも相談しやすいと思います。どの先生も当院の診療方針を理解してくださり、柔和で話しやすい方を中心にこちらからお願いしていますので、安心していつでもお気軽にご相談ください。
多くのMRI検査を提供されているそうですね。
当院のMRIは大規模病院に置かれているものと同レベルのもので、頭痛やめまいなどの脳神経症状がある方には、保険診療で迅速に検査し、当日中に結果をお伝えします。20分ほどの検査で膨大な情報が得られるだけでなく、血管や脳の小さな変化もチェックすることができます。脳神経疾患は最悪の場合、命を落としたり寝たきりになってしまったりするなど、重い後遺症を残すことが多いため、早期発見と予防が何よりも大切です。先進のMRIと脳の専門家としての知識は、良質な脳神経診療を提供するための両輪と考えています。
頭痛や認知症に関して専門的な治療やサポートを実施
頭痛では、どのような患者さんが多いのですか。
老若男女問わず幅広く来院されますが、特に30~50代の女性とお子さんが多いですね。小学生でも片頭痛はあり、スマホなどのモニター画面暴露や、学校での対人ストレスの影響、遺伝も大きく関与します。当院ではMRI検査も活用して怖い頭痛の原因がないかどうか調べ、適切な治療を行うよう努めています。頭痛の患者さんの9割は、片頭痛をはじめとした一次性頭痛で、上手に薬を使えば、ほぼ解決に導けます。残る1割は他科との連携が必要な難治例や、くも膜下出血や低髄液圧症候群などの二次性頭痛です。頭痛で仕事・学業・余暇が阻害されている場合は受診をお勧めします。薬剤の使用過多による頭痛である「薬物乱用頭痛」も多いので、頭痛薬を箱買いされる方や、漫然と痛み止めを内服されている方は、ぜひ受診していただきたいです。
片頭痛注射薬による治療も行っているそうですね。
従来からの頭痛予防薬に加え、皮下注射をして神経伝達物質であるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)のブロックを図る抗体治療薬が使えるようになりました。これにより、他の予防薬の数を抑えて、頓服数を低減することが期待できます。ただし、事前に専門の医師の診断と重症度評価が必要です。新しい治療が始まり、学会などの啓発活動の活発化により、医師・患者さんの頭痛に関するリテラシーも高くなってきています。うまく使えばとても有用な治療なので、診療時に加えブログなどを活用して、当院からも啓発していきたいと考えています。
認知症についても治療やケアに注力されていると伺いました。
私の学位研究はアルツハイマー病にも関わる研究でした。開院前から、増えていく認知症患者さんの治療は今後重要であると感じ、先輩専門医にアドバイスをいただきながら非薬物療法や社会資源の活用の重要性を学びました。開院後も認知症の外来を設け、物忘れを主訴とする幅広い年代に対応しつつ、日々患者さんから学んでいます。家族など周囲の適切な関わり方や、トレーニング・社交・運動の機会を増やすことが認知症の進行抑制につながりますから、早期受診の啓発にも力を入れています。患者さんを支えるご家族の心のケアも視野に入れながら、介護相談に関して包括的にサポートしています。認知症は進行を遅らせることを目的とした薬が治療の中心でしたが、最近アルツハイマーに対する新たな治療薬も登場したので、専門施設と連携して取り組んでいきたいです。
初めに心ありき。和やかに接し共感することをめざす
脳ドックについても力を入れているそうですね。
脳神経外科というと、専門的なイメージが先行するのか「どのようなときに受診したらよいのかわからない」という声もよく耳にします。脳には脳動脈瘤や隠れ脳梗塞のように、無症状で静かに進行する病気も存在するのが怖いところ。脳についても40歳前後から病気にかかりやすくなるので、40歳を過ぎたら「脳神経外科受診の最初の入り口」として脳ドックを受けてみることをお勧めします。40歳未満の方でも、脳疾患の家族歴がある方や頭部に外傷を負われた経験がある方など心配な方はご相談ください。当院では1日あたり2人まで対応可能で、問診、MRI、検査結果の説明という一連の流れを約1時間で行います。MRIによる画像診断で無症状のうちに脳疾患を早期発見し、早期治療につなげたいと考えています。
先生の診療時の心がけについて聞かせてください。
書道の先生に「和顔愛語」「傾聴」と書いていただき、私やスタッフの心構えとして院内に飾っています。どのような時でも、どのような患者さんに対してでもにこにこと穏やかに接することや、患者さんの話に耳を傾け共感する姿勢は、医療や介護の世界ではもちろん人としてとても大切なことです。私自身まだまだ不十分であり、少しでもできるよう研鑽の毎日です。当院では先進の医療設備を整え、専門の医師による良質な医療の提供をめざす「脳のかかりつけ医」として地域に貢献したいと思っていますが、診療では「初めに心ありき」という気持ちでいつでも親身になって患者さんに寄り添っていきたいですね。
最後に読者にメッセージをお願いします。
今後もさらに専門性を高め、新しい治療も取り入れながら、患者さんのニーズや時代に合わせて診療の幅を広げたいと思います。認知症では、周囲が気づかないうちに症状が進行して詐欺などの金銭トラブルや交通事故、火事や服薬ミスなどに突然遭遇することもありますので転ばぬ先の杖が大切です。また、難治性の頭痛に困っている方や、頭かな?と気になる症状はもちろん、脳神経外科治療に関する質問や病院選び、術後のケアもお気軽にご相談ください。忙しい方や来院困難な時はオンライン診療を活用していただければ幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは脳ドック/2万2000円~