中村 朋子 院長の独自取材記事
オハナ矯正歯科クリニック
(八王子市/八王子駅)
最終更新日:2023/08/22

八王子駅から徒歩2分の「オハナ矯正歯科クリニック」は、2016年8月に開院。現在は矯正歯科に特化する歯科クリニックだ。中村朋子院長は温かく優しい、そして話しやすい雰囲気。白を基調とする内装とブルー系の歯科用ユニットが印象的な院内は、患者がリラックスできそうだ。歯科衛生士や受付などのスタッフも生き生きと働ける空気に満ちている。大学卒業後に一般歯科で勤務したものの、矯正歯科への強い関心から大学に戻り、再度矯正を学んで、矯正専門の歯科医師の道へ進んだ中村院長。「患者が納得できる治療」にこだわるため、一人の患者と向き合う時間が長くなるという。中村院長に、これまでの道のりや、診療におけるこだわり、今後の展望などについて語ってもらった。
(取材日2023年7月11日)
矯正専門のクリニック、和やかな空気感の院内
開院までの経緯と現在の状況を教えてください。

もともと実家が歯科に関連する仕事をしていたこともあり、家族の仕事を一緒に手伝えたらいいなという思いから、自然と歯科医師をめざすようになりました。神奈川歯科大学を卒業した後、一度一般歯科に勤務しましたが、矯正歯科への強い関心から、大学で再度矯正を学び直し、矯正専門の歯科医師の道へ。一般歯科で虫歯の治療を行う場合、治療対象はその一本の虫歯になりますが、歯並びが整っていないことできれいに虫歯の治療を行うのが難しいケースがありました。トラブルを抱える歯を限定的に治療するのではなく、顔全体が治療対象となる矯正にチャレンジしたいと思ったのです。一般歯科と異なり、矯正歯科では顔全体を診て治療を施せることもやりがいの一つ。開院後、丸7年が経過しようとしている現在、一般歯科は行っておらず、矯正専門のクリニックとして地域の方にお越しいただいています。
この地域の特徴や、最近感じた変化はありますか?
開院前は子どもの患者さんが多いのかなと想像していましたが、大学が多い地域のため、実際は学生さんが多い印象です。もちろん、買い物が便利な場所でもあるので、主婦層の方やお子さんを連れたお母さん世代の方にも来院いただいています。この傾向は7年間変わらないですね。また新型コロナウイルス感染症流行の時期は、世間がマスクをしている時期こそ矯正を始めるには絶好のタイミングであると考られて矯正のご相談に訪れる患者さんが急増しました。その一方、歯科に足を向けること自体を躊躇される患者さんもいらっしゃいました。当時は二極化している状態でしたが、おかげさまで今は新型コロナウイルス感染症流行前の状態に戻ったので、既存の患者さんに向けたフォローを定期的に提供できることに安堵しています。
スタッフさんがとても温かく迎えてくれました。

当クリニックのスタッフは全員が女性。特に女性限定でスタッフを募集しているわけではありませんが、現在はそのような構成になっています。女性同士なので休憩時間にプライベートな話をすることもよくあります。和気あいあいとした雰囲気でコミュニケーションが取れているので、スタッフにはいつも感謝の気持ちを持って接しています。また講習会に参加するなどの目的で、スタッフと出張に出かける場合は、地域のおいしいお料理に興じて楽しい時間を過ごすこともありますよ。
患者が納得すること、それが診療のこだわり
矯正専門の歯科医師として、大切にしていることはありますか?

矯正歯科の中には、一般歯科と矯正歯科の両方を行うクリニックと、当クリニックのように矯正歯科に特化しているクリニックがあります。前者は、矯正専門の歯科医師が週に2回か3回来院して診療を担当するため対応可能日に制約があり、精度の高い検査を行う場合は大学病院を紹介されるケースもあるようです。当院の院内スペースは広くないものの、矯正専用のエックス線機器を備え、地域の皆さんに高いレベルの矯正の提供をめざすことを大切にしています。矯正を検討している方に知ってほしいことは、「矯正を成功させるには、本人のやる気が大切」であるということ。やはり矯正装置は邪魔ですし、治療期間中は不快に感じることもあります。成人、お子さんのいずれであっても、やりきるという気持ちが芽生えたタイミングで具体的な相談に入ることをお勧めします。
先生は、一人の患者さんと長い時間をかけて向き合っていると伺いました。
「患者さんが納得できる治療」を提供することにこだわっているので、患者さんとじっくり話すことになり、治療時間が長くなってしまいます。患者さんに、こんなはずじゃなかったと思わせるのを未然に防ぐことが私の一貫したポリシー。そのためには、初期段階で複数の選択肢を提示し、それぞれのメリットとデメリットも丁寧に説明した上で、患者さんご自身に治療方法を選択していただく方法で進めています。基本的には、選択された治療で完結するのが望ましい姿なのですが、想定外の不具合が生じた場合は、患者さんと再度丁寧なすり合わせを行っています。患者さんから、話しやすい歯科医師と思ってもらえるとうれしいですね。歯科医師である私に対して敷居の高さを感じることなく、なんでもざっくばらんに本心を伝えてくれるので、この環境はありがたいと思っています。
歯科用ユニットを追加した背景について、詳しく教えてください。

おかげさまで多くの患者さんに来院いただけるようになったことで、治療スペースが手狭になってきました。1年前、カウンセリングルームとして使用していた場所に歯科用ユニットを追加し、計3台のユニットで治療を行うことができるようになりました。ただ、3台に増やしたことで、患者さんとのコミュニケーションにあてる時間を減らさざるを得ない状況に。ユニットの数を増やすと、どうしてもコミュニケーションが薄まってしまう。患者さんに対して申し訳ないと思う今日この頃、ジレンマとの闘いです。既存の患者さんに満足いただけるフォローを継続できるように、新患枠数を制限するなどの工夫を施しています。
とても長い時間がかかる矯正。本人の気持ちが大切
先生は二児の母だとお伺いしました。

私は、夫と16歳の長男、11歳の長女の4人家族です。たまに当院を待合せ場所にして家族4人で帰宅することもありますよ。治療でお子さまと関わっていると、無意識ながら今まで子育てしてきた経験則が生かされているなと感じる場面が多いです。お子さまにはそれぞれに個性があり、みんな一人の人間。元気に口を大きく開けられる子もいれば、口を開けることをためらう子もいます。他にも、大きな声で泣くことで怖さを発散させる子など、さまざまな特性を持たれている子がいらっしゃいます。全員一律の接し方ではなく患者さんの個性に合わせた対応ができるのも、これまでの子育ての経験が生きているからではないでしょうか。
今後の展望を教えてください。
矯正技術の進歩は、目覚ましいものがあります。さまざまな講習会や勉強会に参加し、新しい技術や先端の設備情報などを積極的に入手しています。何か新しい展開をめざすというよりも、新しい技術の選別を行い、当クリニックに適切だと思われるものは必要に応じて導入していきたいです。当院の医師は私一人なので、質を落とすことなく作業効率を高めることが必要だと思っています。今行っている業務の中で、私しか対応できないことと、機械などの先端技術で代用できることの棲み分けを行うことが大切。私を含め、当クリニックのスタッフでしか対応できない部分を切り出し、その部分を精いっぱいサポートさせていただけるよう、日々精進しております。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

矯正はとても長い時間がかかります。ご自身がクリニック、歯科医師、治療方針などに関し、すべて納得できた時に初めて、矯正をスタートしてもらいたいです。また、親御さんとしてお子さんの矯正を検討する場合、矯正を行うのはお子さんです。お子さんがやりたくないのであれば、矯正を強いることは控えてもらうのが良いと考えます。虫歯治療は必要な処置の一つですが、矯正はより良いものを求めるためのものです。矯正に固執することなく、お子さんの今の気持ちを尊重した上で、親子そろって十分に検討を重ねてご判断いただければと思います。お子さんの矯正に関する不明点やご相談があれば、お気軽にお子さんと一緒にご来院ください。実際の装置を見ていただきながら、丁寧に説明させていただきます。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正
全体/70万円~
小児/30万円~
部分/10万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。